「白髪」

「あと三年して五十のババアになったら、お前のアソコ真っ白だな」
駅まで送ってくれる運転席で
あなたは私の白くなり始めた陰毛の話をした
私はうつむいて苦笑い
今日 呼ばれたのはセックスのためだけ
二ヶ月前にふられたのに
呼ばれて私は上野のホテルに行った
たるみ始めた四十路の身体を
あなたがまた抱きたくなったのは
まだ油があるかと探したライター
まだ賞味期限があるかと開けた缶詰
手にしてみたら油はないし食えなくて
八つ当たりのように私の陰毛をバカにする

私が五十路になり
それでもまたあなたに呼ばれたら
ピンセットで陰毛の白髪を抜いて
ホテルに向かうだろう
煮ても焼いても食えぬ萎びた身体を
やはりあなたはババア ババアと罵るだろう
私は車を降りて考える
さあ どこで
どこで泣けば一番綺麗かと
上野駅を歩いてる


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?