「飼育小屋」

小学五年の時に担任の佐藤先生が胸を触った

みんな跳び箱の練習をしていた
先生は私だけ呼びつけ
「おまえは飛んだ後の姿勢が悪い」と言って
なぜか胸に手を伸ばした
先生の口はタラコみたいに光ってて
並びの悪い歯が見えた
そして私の乳房をぽろんとピアノ弾くように
簡単に触った
跳び箱の列に戻ると
仲良しの優子ちゃんが目をそらし
直也君が汚い物のようにじっと胸のあたりを見る
何か私が悪いことをしたようで
思わず駆け出し飼育小屋の裏に隠れた
勢いよく走ってきたせいで
ニワトリが飛び回る
お母さんがいけないんだ
億劫がって早くブラジャーを買いにいかないから
私は苛立って足元に咲く赤爪草を踏みつけた
踏みつけて踏みつけて頭に血が上ったせいか
ますます白い体操着から
乳首が透けて見える気がした
それから保健の先生が探しにきてくれるまで
私は胸を覆ってうずくまっていた
その間 悲痛な声でニワトリがないていた



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