山でもドMなら海でもドMになる
イノベーションというヤツで、とても便利な時代になった。例えば電子レンジでチンっとやればすぐご飯食べられるし、過去のどの時代よりも手近な欲望をすぐに満たすことが可能なんだと思う。
一方で、情報化が進んだことで、容易には満たすことができない渇望の対象が否応なしに視野に入ってしまう社会でもある。
だから、現代社会は人間の忍耐力の低下を招きつつも一方で、大きな我慢を強いるという構造になっていて、そこらへんが「ブチキレる人」という社会問題の背景にあるのかもしれない。
さて、僕は山登りが好きで、それはエベレストとかマッキンリーとか、そういう過酷な山岳へのアタックではないけれども、自らの気力体力の限界に挑んむのを楽しんでいることは間違いない。もちろん、登山だけでなく、様々なスポーツに共通する要素ではある。
要するに「なんで望んでキツいことすんの?」と問われるようなことを趣味としていて、自問自答もするし、実際にしばしば尋ねられるけれど、深く考えるとなかなか面倒なことになるため、単純に「ドMですから」と答えている。
そう答えるとたいてい「あ〜。そんな感じがする」と納得されることが多い。まあ、僕としてはビミョーな気持ちだ、実社会での自分は「我慢ができない質」で、食べ物屋の列に並ぶのはありえないし、だいたいの物事において、せっかちで怒りっぽい。
「あんまり怒るようには見えない」とも言われるが、怒りをさらけ出すのが見苦しいと言う意識があるから、見せてないだけで、しょっちゅう色々な物事に腹を立てている。
基本的に「我慢すること」がイヤな現代人の王道を歩んでいると言って差し支えなく、僕の生き様を知る人ならば「ワガママなヤツやなぁ」と分かっていただけると思う。
そんな「ワガママなドM」が今ハマっているのが「アジング」だ、アジを釣るからアジング。ちなみにチヌを釣る「チンニング」というのもある。
釣りについては「待つ」というイメージもあって、これまで避けていたけど、このアジングは凄く忙しくて、僕の性に合っている。
なんで忙しくなるかというとワームという疑似餌で釣るからだ。基本動かさなくてはならないし、じっとしているように見える時でも、頭の中は「あ〜ここらんのこの深さはないなぁ」「このワームで食うんかなぁ」「潮がそろそろ」など様々な情報を処理して、変化する状況の中で、最適と考えられる行動を選択していかなければならない。
ではアジング自体が釣りとして効率が良いかというと、そんなことはなくて、やっぱり本物のエサを使った方が圧倒的に釣れるのだ。実際隣でサビキする人の大漁を歯噛みしながら眺め、なかなか釣れないのがフツーで、それが故にドM向けの釣りとも言える。
単身赴任の一人暮らしだと、そんなには食べ切れないから、アジングの釣果くらいが良いだろうとも言える。だが時にはめちゃくちゃ釣れる。
釣った以上は食べる主義なので、ある程度で止めるのが賢明なのだろうけど、釣れない事の方が多いから、楽しくて止められなかった。
だから干物にした。
タイミングによってはサバも釣れます。左の魚はサバね。いわゆる「関サバ」だからお刺身でもイケます。
今日は仕事帰りに海に寄る。風が強くて、30分で撤退しましたが、
一匹だけ確保。大きさもマズマズだったから
三枚におろす!小さいとできません。
で刺身と先日の干物を焼いて晩御飯。
なんだか優雅な感じもするけれども、今日も海は寒かったし、ここに至る労力と費用を考えれば、スーパーで魚買った方が、もっと言えば、飲食店で食べた方が実際のところ優雅だろう。まあ、視点がどっち向いているかという違いなんだろうが。
さて、忍耐にも指向性はあって、ある人にとっては何でもないことが、別の人にはとっては我慢ならぬことだったりもするワケで、現代社会があらゆる個人の忍耐力を削りながら、忍耐を強いているという見解だけで「ブチギレる人」を説明することはできない。
僕らは難解な時代を生きているかもしれないから「なんでこんなことをやっているのだろう」と自問自答し悩み惑うこともあるかもしれない。
そんな時は「ドMですから」と一旦答えを出してみて、釣り糸を垂れてみるのも良かろうね。
もちろん山も良い(笑)
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