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日本の森、モリのニッポン紀行

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「延喜式」に掲載されている式内社をタイヤの太いFATBIKEという自転車で訪ねています🚲 2020年1月より140文字で巡拝記を書き始めました。 ・2020年12月6日〜(no…
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2022年9月の記事一覧

大江神社三座@因幡國八上郡。

JR線と若桜鉄道が分かれる郡家駅辺りから雨がパラついた。大江川沿いを走り神社に着くころには霧雨に。視界の先の山々も霞んでいる。クスノキが頭ひとつ飛び抜けた社叢の森は電灯が必要なほど薄暗い。雨のせいか黒い実が頭上から落ちてきた。羽子板の羽につける実だとか。
写真は鳥取県八頭町。

宇倍神社@因幡國法美郡。

石段に差しかかると数名の若者が降りてきたと思ったら全力で駆け上がる。部活の練習か。あいさつ交わしながら若人に遅れまいとおじさんも力を振り絞る。巨スギを始め木々から出る森の気に心落ち着く丘上の境内。本殿後方上の磐座は武内宿禰が草履を脱いで昇天したという聖跡。
写真は鳥取県鳥取市。

美歎神社@因幡國法美郡。

線刻壁画を描いた鷺山古墳を訪ねるが道は荒れ放題。自転車担いで倒木越えようとした際、ズボンにチェーンオイルつき、テンション下がる。一方、美歎神社近くの姫塚。案内通りに歩いた先に露出した石棺。原型はとどめないが側壁と被葬者を安置したという床は難なく見られます。
写真は鳥取県鳥取市。

服部神社@因幡國法美郡。

小さな境内に上がると拝殿に糸巻き型ランプシェード。さすが機織を職掌とする氏族をまつった神社。砂丘を過ぎ福部町へ。古代因幡の織物産地がここにあったことを神社は示す。村中に響き渡る「トントンカラリ」と機を織る音。境内に腰かけ頭のなかで目前の風景に重ね合わせる。
写真は鳥取県鳥取市。

手見神社@因幡國法美郡。

神社と古墳巡りに明け暮れ気がつくと昼。地図上、袋川を渡った吉野地区にそば屋を発見するも営業は日曜のみ。空腹に藁をも掴む気持ちで入った「CocoCafe」に救われた。ハヤシライスと食後のコーヒーに満たされいざ神社へ。ご主人曰く「石段上がると下りが大変」。お言葉通り。
写真は鳥取県鳥取市。

荒坂神社@因幡國法美郡。

参道が社名のように荒れた坂ならと尻込み。「住民も日参しとりますけぇ」。道を尋ねたおばあさんに励まされ鳥居をくぐり落葉こそあるが整えられた道を上がる。薄暗い森は古木生い茂り古社感上々。「三代実録」曰く、現在より北側の旧社地前は入江。貞観の昔、新羅人来着の伝。
写真は鳥取県鳥取市。

槻折神社@因幡國法美郡。

学生であふれる因美線津ノ井駅を通ったばかりなので、枝葉が伸びきった午前六時台の森はやけに寂しい。社名の「槻」の通りケヤキも見られるが、「折」というのはどういう意味だろう。折れるどころか社叢林がドーム状の森を形成。木々が呼吸するためか湿度が高くメガネが曇る。
写真は鳥取県鳥取市。

意上奴神社@因幡國法美郡。

一ノ鳥居を出発したものの崩落した道に間違いと気づく。再び戻って草ボウボウの池の横道へ。木と木の間に渡された注連縄に神社への道を確信するも、社叢は外の明るさを遮り、ひと気のない森に恐れを感じた。覆殿内に鎮座する素木の社に柏手を打つがそれを打ち消すセミ時雨。
写真は鳥取県鳥取市。

多居乃上神社二座@因幡國法美郡。

因幡でよく見られる鰹木と千木を載せた流造の社を社叢が取り囲む。手を合わせて早々に辞したのは、因幡国庁跡の周囲に点在する古墳を巡りたいから。なかでも不思議なのは安徳天皇の陵墓参考地「岡益の石堂」。柵越しに見ると石壁と石柱で構成されている。古墳なのか。
写真は鳥取県鳥取市。

甘露神社@因幡國巨濃郡。

線路脇に立つ社号碑の先に神社があるのか。意を決し線路を渡ると草が刈られた小道。鳥居を目にしてホッとした。鳥居が結界となり日差し射す外界から樹木が生い茂り暖地性シダが生育する領域へ。探検気分で岩の隙間をぬう参道を進むと、狛犬までが苔で覆われる湿度高い別世界。
写真は鳥取県岩美町。

日野神社@因幡國巨濃郡。

身を屈めた狛犬と黒光りする石州瓦。どちらも出雲国の神社巡りを終え山陰から離れた三年間、目にしなかっただけに懐かしい。祭神の誉田別命について書かれた由緒「先進的大陸文化を我が国に取り入れられ」というくだり。海が近い場所柄、渡来したひとの多さを暗示するようだ。
写真は鳥取県岩美町。

御湯神社@因幡國巨濃郡。

「ゆかむり温泉」の駐輪場に自転車を止めると軒下に小祠。もしやと思った勘は当たり、御湯神社の分社。肝心の本社は旧小学校と岩井廃寺跡の奥の高台に鎮座。御井神という水にまつわる神がまつられるのは社名の「湯」と無関係ではあるまい。参拝後の入湯、もちろんいい湯です。
写真は鳥取県岩美町。

二上神社@因幡國巨濃郡。

拝殿前の石畳でカエルが跳ねた。一匹だけでなく二、三匹。跳ねた先では動かずじっとしている。何を考えてるのだろう。深い森には彼らを狙うヘビもいるだろうに。境内から鳥居越しに二上山。もとは山頂に鎮座。祭神を気にしてたら狛犬前に神像。台座に「祭神 須佐之男命像」。
写真は鳥取県岩美町。

許野乃兵主神社@因幡國巨濃郡。

社名を記した木塔起点に石段へ。音という音はツクツクボウシ一色で、鳴き声を一生分聞いた感じ。岩美町内には兵主神社が二社あるが「佐彌乃」と「許野乃」は対みたい。しかも郡名同様「コノ」とも読める。社名=地名か。近隣に出た温泉と銅鐸。古代でも住みよき岩美町。
写真は鳥取県岩美町。