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チームへの手紙 12月のささやかなで大事な変化について

超地元採用チームであるがゆえ

うちのホテルのチームメンバーは全員コンポントム出身。しかも、1番出身地が遠いメンバーでもホテルからバイクで30分圏内在住、さらに、夫婦揃ってコンポントム出身率が9割超えという超ローカル採用です。
採用に際しての必要条件はほぼないけれど、必ず細かく聞くのがこの点です。

盆暮正月が1番の繁忙期になる観光業。だからこそ、連休を使って帰省しないといけない家族がいるとそれが辛さの一因になる。家族単位でのつながりを大切にするカンボジアでは、現在の日本で想定する以上に「帰省」の持つ意味は大きい。
連休中、各スタッフがとれる有給は1日だけ。それでも家族親族と集まれる人というのが、この少数精鋭地元ホテルの必須条件なんです。

そして、地元採用だからこそ、働きにくるチームメンバーの学歴、文字の読み書きレベル、ミーティングなどへの慣れ感にものすごく幅がある。
かつてはザ・ジャパニーズなミーティングを繰り広げたこともありますが、そもそも「座って話を聞く」が苦手なメンバーも多いし、グラフやリストへの耐性もそれぞれに違う。いわゆる“ミーティング“はうちでは機能しない。
じゃあ、ミーティングそのものを変えてみよう。(気づくのに1年以上かかったけどね。そんなにすんなり“一般的なやり方“を捨てられたわけじゃないです)

ということで、ここ4ヶ月試してきたのが、スタンディングミーティング。
イメージは試合前のサッカーの控え室(サッカーやったことないけど)。
目の前に置く資料は一つだけ、それぞれの日の客室数が書かれたペライチのみ。
ビジュアルでどの日にどのくらいの部屋にお客さんが入るのかがわかるので、数字に強くない人も文字を読むのが苦手な人もちょっと慣れれば感覚でわかる。
試合前の選手よろしく、円になって立つのも最初は違和感あったみたいだけど、数ヶ月を経て、だんだん、ああこうするのねって感じになってきた様子。
このスタンディングミーティングの前後にセクションごとの小ミーティングで具体的なことを話すので、基本全体では士気を上げるのみ!(試合前だからね!)

加えて、この年末のタイミングで新しく試してみたことが一つ。
それがこの「チームへの手紙」という方法。(前置き長かった)

ヒントはちょうどミーティングの前の日、あるメンバーとたまたま2人で話をしていた時に、彼がおもむろに話し始めた。
「前にボスが新人用に紙に書いて渡してたやつあるじゃないですか」と。

1年くらい前(感覚的にはもう紀元前レベル)にスタッフ採用時に渡していた「このホテルで働く人にはこんなあり方でいてほしい」シート。彼自身はキャリアが長いから渡していないけど、その後に働きにきた彼の妹(その後退職)に渡したんだった。

シートは現在はもう使っていない。仕事を始める前に文字で伝えるよりも、一緒に仕事をしながら背中と言葉で伝える方がここではずっとパワフルだったので。

でも、こういう伝わり方もあるのか、と。

文字が読めないスタッフも、家にいる誰かに読んでもらえる。そのときに「代わりに読む」を介して、チームメンバーと共有したいことがその家族にも伝わるかもしれない。

あとは、2022年末はかつてない大繁忙期。
ゆっくりミーティングしている余裕がない。
だから、手紙だ!

ということで、チームに手紙を書きました。
という話。
ここまで、長!

そして、どんな手紙を書いたかというと。
自らとチームのための備忘録としてここにも書いておくことにします。

うれしかったお客様からのコメント

1)敷地のどこにいても、スタッフに会うと微笑んでくれたり声をかけてくれたりして、迎えてもらっていることを感じられてしあわせだった。

2)部屋も料理もスタッフのサービスも、心を込めてくれていることがわかる。働いている人たちの心の有り様が伝わってきて、安心する。

3)いいエナジーが満ちている。国道6号線を通るとき、ここに寄らないっていう選択肢はない。いつも、このgood energy spotに元気をもらいにきているの。

新旧こもごものお客様

私が感じたうれしい変化

1)ホテル中から声がする
2)これやろう!がすぐ実現される
3)魔法の言葉、とりあえず一回やってみよう!
4)うまくいかない時には、Change System, Change Habit

チームへの手紙

実際に書いたのはシンプルな文章だけですが、説明した内容をこちらにも。
いつかの私たちのために。

1)ホテルの敷地の中のいろんなところから元気な声がする。
すべてのエリアにエネルギーがある。死んでいるスペースがない。
→2021から2022年9月までは空気が動いていない、重いと感じる空間があった。
洪水明けの11月に改装と修繕、不用品の処分、整理整頓を徹底してやって、それぞれの空間が生気を帯びるようになった。
(空間が手をかけてもらっている、私たちケアされているわ、という顔をする)

2)これやろう、がすぐ実現される。
2022年9月までは各セクションで「また明日、また今度」
私の方でも「今はまだ。お金ができたら」が続いていた。
結果として、放置されたり、ひどくなったり、最終的に使えなくなったり・・涙

12月に入ってからは、アイデアを関係するセクションで共有するとすぐ動く。
「あれどうなった?」
「もうやりましたよ。」(早い!)
「今見積りして、$〇〇くらいかかりそうですけどいいですか?」(回答明快!)
「今メンテチームがやっているので、終わったらうちが入るって相談してます」(相談&共有済み!神か!)

各セクションの人数が増えて、機動力が格段に上がったことが下支えになっているけど、それ以上にかつては部署ごと(ときに部署内でさえも)に独立して仕事をしていて、セクション間の連絡、相談、意思決定は上位にいるマネージャを介してやるというのが知らずに染み込んだ慣習になっていた。
重なり合うセクションのリーダーも交えて最低3人で相談するかたちに変えたのがワークしている様子。最低3、という数がまたよき変化を生んでいる。
情報共有の矢印→が、一方通行からトライアングルになることで、矢印同士の間に空間が生まれ、そこに温もりが生まれる。
フロントデスクを囲むように3つの面に1人ずつ立って、デスクの上に置いた紙を見て話すという“自然な風を装った仕掛け“(実際紙には大したことは書いてない。殴り書き程度の図とメモのみ)も。

3)こうしたらどう?の次にくるリアクション→「一回、やってみよう」
いままでは「できない、〇〇がないから」「それは無理っすよ、難しい」が酸っぱい顔(カンボジア語ではそう言います)とともに最初に来るので、そう言われるだろうなと思うからみんなどんどんお互いに言わなくなっていった。
12月、エネルギーの上昇に合わせて「一回試してみてから考えよう」が自然に生まれている(心身が疲れてないって本当に大事!)

4)何かがうまくいかないときには、change system, change habit
いままでは、
「○○(人名)がやってくれない、〇〇(人名)の能力がなくてできない」
新たな変化は
「〇〇(人名)がまだやってくれない。」
→「忘れてるんじゃない?もう1回お願いしてみたら?」
→「やり方、変えてみよう」
→「個別で話しててもダメだよ。一緒に見ながら話そう。」

ともすれば、「その相手」がいない時に文句や陰口の形で行われていたやりとりが、テーブルの上に置かれ、“ダメな誰かが変わらないといけない”案件から、“みんなで習慣や環境を変えていく”案件に変わっていっている。
世の中の空気の変化と共に、少しずつ良い方に自分も、自分たちも変化していけるという感覚とともに、チームが動いていることがうれしい。

2023年もみんなと続けていきたい

今変化が生まれてきた。
これから、これを絶やさず続けることが次のステージ。チームのメンバーが増えても、同じエネルギーを保ち、さらに色どりを加えていくように。
そのための柱となること。実際の手紙に書いた内容は以下。

1)笑顔で声を掛け合う、笑い合う 
お客さんも一緒に働くチームも、疲れた時、悲しいときこそ笑いが大事。
自分たちを先に満たしてあげたら、溢れたものが誰かに届く。

2)Feeling(感覚のアンテナを立ててセンスする)の範囲をお客さんにもチームにも向ける
チームメンバーそれぞれの目と心がけが空間の隅々まで広がって場を明るくする。ひとつのスポットライトではなく、たくさんの優しい光がそれぞれの形で集まって、なんとなく全域をほんわり照らすように。

3)つなぎめを大切に。
シフトの間の情報共有、セクションごとの情報共有
ボスとだけ話すのではなく、チームメンバーとも共有する。
顔を合わせて話す機会を大切にする。
つなぎめにこそ、愛をそそぐ。

これからも、チームと訪れる人たちとともに、それぞれの人生の密度を上げて生きていく。

ありがとう皆さんの2022
これからもさらによろしく2023

2022.1.6
3日ほど

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