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自臭症(patm) の認知行動療法~その4~前編

さて、前回の記事のテーマは「自動思考に気づく」というもの。
(特定の条件で)周囲の鼻すすりを見聞きすれば、自動的に「自分が原因だ」と判断してしまう。これはもう自身にとっては呼吸をするようなもので、意識する間もなく「自分に関係している」と判断してしまう状態。なので、セラピストさんとお話して、別の可能性があることに気づき、自分の主張が100%正しいわけではないことを理解する、そのプロセスをお伝えしました。

さて、今回のテーマは「自動思考を消し去る」です。
前回のような正論の拳でぼっこぼこにやられ放題のやり取りを何度も何度も繰り返すことによって、自身の中での自動思考、その確信度が揺らいできます。ですがsamayukaの場合はそれだけでは自動思考は完全には消え去りませんでした。

~自動思考に気づいた後の膠着状態~
消し去るための実験へ

そこで、とある実験が行われます。「バス・カウント実験」です。

当時のsamayukaは自分の中で、自動思考や身体反応という仕組み自体は理解できていました。自分の自動思考もセラピストさんとのカウンセリングで揺らいではいた。
でも、それだけで外に出られるほど状態が良くなったわけでなく、すこしばかり膠着状態でした。

だってですよ、やっぱりsamayukaの主張(自分が原因説)が正しいわけでもないですけど、セラピストさんのいうこと(花粉症・風邪原因説)が正しいかもわからないです。それに、そんなことが証明したいわけでもないし、そもそも証明できないですから。samayukaが知りたいのは「自分が原因で咳が起こっているかどうか」ということです。これは、もっと正確に言えば「臭いが原因で自分がバカにされて下にみられてないか」ということなんです。思いっきり周りを気にしていたんですね。
当時のsamayukaはうすうす気づいてはいますが、それをはっきりとは自覚できていません。というか、認められなかったんだと思います。自分が周りから馬鹿にされているかもしれないと怖がって引きこもっていたということを。これを認めるかどうかもsamayukaの自臭症(patm) 治療にとっては大きな分岐点だったと思います。認められなければ違う世界線だったでしょう。

とにかく、周囲の咳き込みの一部が花粉症などで起こっていようとそれでは納得できなかった。samayukaが知りたいことをはっきりさせ安心するためには「周囲の咳き込みが全て自分を原因としていない」ことがわかる必要があります。が、それはどう考えても不可能です。無いことを証明する、いわゆる悪魔の証明ってやつですから。(自分の体から出る物質を数値化してもそれを原因として周りが咳き込んでいるかどうかはわかりません。周りなど気にしない、自分から出る化学物質が問題で身体の病気だというならそれはpatmではないです。patmは周りの人間がアレルギー反応を起こす病気だと主張されてます。周りの人間が関係ないならそれはpatmではありません。自分の身体だけでなく、自分から周りを見る視線、感覚、考えまでセットでかえないと)。
そこでセラピストさんが次の一手を打ってきます。それが「バス・カウント実験」。

~舞台はカウンセリングルームの外へ~
不安としっかり対峙するためのバス乗車実験

認知行動療法を始めて2、3か月もした頃でしょうか。いつものようにカウンセリングを受けに行き、自動思考についてああでもないこうでもないとの話をしていたころ、急にセラピストさんが「次回のカウンセリング、バスで来れますか?」と聞いてきました。
samayukaは引きこもっていたころ電車やバスは周りが気になりすぎて、乗れていませんでした。できる限り原付で移動し、公共交通機関に乗らないといけないときはボッコボコにKOされたような疲れ果てた状態で帰ってくるような始末でした。
いや、待ってよ、二年間ひきこもってたし、今も原付でカウンセリング来てますやん、無理やんバスとかそんなん、と泣き言を漏らしそうになったその時に、「そこで鼻すすりや咳き込みを乗客が何回したか数えてほしいんです」とセラピストさん。
いやいや無理やってバスとか無理や………ん?待てよ?数える?どういうこと?となるsamayuka。この実験の手順をセラピストさんは次のように語ります。

☆彡バス・カウント実験の手順☆彡
1. カウンセリングの通院を最寄の駅からバスで来るようにする。時間は朝の通勤時間帯など満員バスに乗るよう調整。そこで乗客の咳き込みや鼻すすりの回数を数え、記録する。
2. 同区間の別便の満員バスにセラピストが乗車し、同じように乗客の咳・鼻すすりを数え記録する。
3. カウンセリングの際にその数を見せあい比較する

つまり、自分がいることによって咳き込みや鼻すすりが増えているのか、実際に数値化して確かめてみようという実験です。

確かにsamayukaは「自分が原因で周りの咳き込みが増える」と言いました。そして「それは自分が原因で自分が臭いからだ」と思っています。ですが、samayukaさんは臭くないですよ、samayukaさんが原因じゃないですよ、と丁寧に説得しても治らなかったわけです。それならどっちの言ってることが本当なのか数値化してハッキリさせてやろうじゃねーか!という、「もうどっちが本当か話し合っても決まらないから相撲で決めようぜ」みたいな昭和の子どものような力技が提案されたわけです。

戸惑いましたが、この実験に参加することを決めました。実際にsamayukaは「明らかだ」というあいまいな根拠や「以前言われたこともある」という過去のショックな出来事を連想してそれを一般化するような荒っぽい推論で、「自分が原因説」を事実だと確信しきっていたわけです。もうこうなったらハッキリさせてやる!!という野となれ山となれ精神・清水の舞台から飛び降り鴨川まで走っていきユニバまで泳いでいくような気持ちで、実験に真摯に取り組む決意をしました。

さて、ちょっとこの「バス・カウント実験」はかなりの長文になりそうなので、前後編で分けたいと思います。USJとか無駄なこと書いてるからだとかいうご批判を真摯に受け止めながらも後編に参りたいと思います。
この状態でバスに乗るって本当にしんどいんですね。重たい話ですし、想像したら辛くなる人もいるかもしれません。ですけど、この実験と更に次の段階を境に、わたしは劇的に良くなっていきます。まさに、踏ん張りどころだったと思います。

後編、しばしお待ちくださいね、最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました✨



次回(part4後編)
https://note.com/samayuka/n/n15026ca84580


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