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自臭症(patm) の認知行動療法~その3~

【自臭症(patm)の認知行動療法~その3~】

前回のあらすじ

心理学(認知行動療法)では自臭症やpatmを以下の状態であると分析します。

周りの咳き込み等が気になる出来事

周りの咳き込み等を見て自分と関係あるか不安になるを繰り返す

周りの咳き込み等をみれば意志とは関係なく自動的に不安になり自分と関係していると思ってしまう「身体反応」と「自動思考」ができあがる

自分が臭くて周りから嫌がられているという確信ができあがる

身体反応と自動思考が相互に補強しあって確信が強化されていく

こういう流れです。
恐怖条件付けはイメージでどんどん膨らんでいきます。自分を原因として周りが咳き込んでいるという確信ができあがれば
最初は咳き込み、次に鼻すすり、手を顔付近にあげられる、電車やバスで自分の隣の席が空いている、なんだがヒソヒソと話をしているなどなど
確認すれば不安になり自分と関係しているとしか思えない出来事が次々とイメージで増えていきます。
人間の想像力はすさまじいです。

この身体反応と自動思考を消し去ることが完治への最大の目的になります。

どのように身体反応と自動思考を消すか

先に結論から書きますね。消す方法は単純です。
身体反応は主に不安やイライラ(心拍や血圧の上昇、体の強ばり、発汗などによる)
その不安やイライラは「自分の臭いと関係する(と思っている)出来事が起こっても不安にならない」という成功体験を積むことで消えます。

周りの鼻すすり等を見て自分のせいだと思ってしまう自動思考はあらゆる可能性の確認や数値化によって自分のせいではないことを何度も自分で検証していくことで治ります。

めちゃくちゃ地味でしんどい作業です。
詳細なプロセスはまた後で言いますが、

私の場合は満員バスにのって乗客が目的地につくまでに何回、鼻すすり咳き込みなどをしたかカウントしたりしました。

そこでの細かい流れは、また次回に。

自動思考に気づく
セラピストとのやりとり

おそらく多くのケースで、まずは自動思考へのアプローチから入るのではないでしょうか?一番、心身への負担が少ないですし、わかりやすいところです。
私の場合、そこから始まりました

セ:改めてですが、どういう時に緊張しますか?
S:他人が鼻をすすったり、咳をしたり、顔に手をやったり。

セ:そういう時、あなたは何を考えてますか?
S:自分のせいかなぁ、自分への非難かなぁ、嫌がられてるかなぁとか。

セ:人が鼻をすする理由って何がありますか?
S:風邪とか、花粉症とか?

セ:では、あなたの周りにいる鼻をすする人たちが花粉症であった可能性は?
S:そりゃあるかもしれません。でも、自分の周りだと明らかに増えるのでおかしいんですよ。

セ:増えるってどのくらい?わからないんじゃないでしたっけ?
S:数は知らない、でも明らかに増えてる。

セ:毎日?いつもですか?
S:毎日じゃない。調子の良い日もある。

セ:調子の良い日?何のですか?
S:知らないです。でも明らかに周りから鼻をすすられる日とそうでない日がある。ストレスとかバイオリズム的な何かですかね。むしろ教えてほしいですよ。

セ:そうですか…あの、何か特定の場面でよく鼻すすられるとか、周りが気になることありますか?
S:ある。知らない人、苦手な人がいる時に緊張してる時に、すすられる。

セ:それは、ストレスがあるからですかね?
S:わからないけどそうとしか思えない。

セ:すみません、私とsamayukaさんはあまり「知らない人」ですよね?でも今、私は何にも鼻すすってませんし臭いも感じませんよ?なぜでしょう?
S:わからない。

セ:カウンセリングってセラピストの私が言うのもなんですけど、緊張しません?
S:しますね。

セ:でも私は鼻すすってませんし臭い感じませんけど?
S:.…。

セ:samayukaさんはご自身で言ったこと、どれくらい正しいと思いますか?100%正しい?
S:いや…100ではないです。

セ:100でない理由は何です?
S:自分でもよくわからないからです。自分が臭くて周りから嫌がられてるとしか思えませんけど、自分が言ってること、それらしくストレスとか色んな原因を考えてますけど、しっくり説明できないし…
花粉症とかそう考えられる可能性としては当然ありなんですけど、緊張してたらそう思えない。
それに、花粉症だとか思ったとして、結局、何の意味があるんですかね?確かにsamayukaを原因としてない鼻すすりもあるかもしれません。
でもそんなの確認する方法もないし、一部、花粉症とかで鼻すすってたとしても、samayukaを原因としての鼻すすりが無いことの証明にはならないですよね?

セ:そうですね。確かに、その通りです。花粉症とかあったとしても、samayukaさんを原因とした鼻すすりがないことの証明にはなりません。
ですが、一体どうやったらそれを証明できます?あなた、ご自身で、周りの鼻すすりの原因が花粉症かどうかわかる方法がないって仰いましたよね?逆にsamayukaさんを原因として鼻すすりが起きてるってどう確認してどう証明するんですか?

S:…

セ:samayukaさん、あなたができることは何ですか?証明ですか?何の?それをしてあなたがどうなりますか?その証明は可能です?本当にできますか?自臭症を治すためにその証明は本当に必要ですか?

さて、以上のようなやりとりを何度も何度も繰り返します。
以下に書くことは心理学の専門的な見地に基づくものでなく
あくまでsamayukaが自分のカウンセリングを振り帰っての感想だと思ってください。

このようなやり取りで必要だったことは、周りの咳等の原因として自分以外の要因があるとsamayukaが納得できればよかったのだと思います。
100%自分が原因だという確信を99.99%にできれば
自動的に自分が原因だと考えてしまっている思考パターンに気づけます。はっきりいってこの段階でのsamayukaはまだまだ自分が原因で咳き込まれているという確信はほぼほぼ揺らいでいませんした。でも何を言っても正論で返してくるセラピストさんに根負けして、もう疲れていたというのが本音です。
「ああ、もうセラピストと話しするの疲れた!もういいよ、疲れた疲れた、認める認めるよもう、セラピストさんの言う通りです。はいはい、もうそれでいいです………………」くらいのテンションです。

ただ、ここを足掛かりにして、そうではない選択肢もありえるかもしれないと頭では理解できるようになっていきます。この段階では上のような感想で良いのだと思います。劇的に考えかたが変わって自動思考も消えました!なんてことには、残念ながらなかなかなりませんから。

まず嫌がられてるという前提で自分が考えている自動思考の存在に気づかなければ、他の現実的な可能性になかなか気づきません。

~自動思考が揺らぐそのとき、何を思うか~

カウンセリングを受ける際に、この時期にとても不安になった記憶があります。
自分が何に向き合っているか、自分は何を悩んでいるか、何をしたら良いのかわからなくなります。考えてみてください、自分が正しいと思いすぎて、もはや正しいと思っていることすら忘れてしまっているほどに、当たり前に正しいと信じている信念が揺らいでいるわけです。自分にとってはなんら必要のないpatm信念ですが、やはり正しいと信じていることが不確かだと気付いたとき、自分の足元から一気に崩れ去り、脳みその構造を疑ってしまうようなそんな気持ちになっていました。

さらに、頑張って考えて話しても、外に出れば周りと自分の臭いが相変わらず気になってしまう。

次第にカウンセラーとのやり取りが怖く、無意味に思えてくることもあるでしょう。

ですが、このやりとりで重要なのは、
自分の考えが100%正しい訳でないことを自覚したこと
自分の考えが100%正しいと言える方法は存在しないということ
この2点にsamayukaが気づいたことです。

これが後々、効いてきます。

こういうやりとりを繰り返して自分の自動思考に気づいていきます。

100だった確信→99.999→99.9→97→95……とだんだんとその確からしさの確信度合いをこういったやり取りでどんどん減らしてきます。

そして、その確信が揺らいでいるところで、次のステップとして「自動思考を消し去る」があるわけですが、その流れは次回に書きますね。
最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございます。

次回(part4前編)
https://note.com/samayuka/n/nc72548a1e073


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