見出し画像

自臭症(patm)の認知行動療法~その4~後編

さて、前回のバス・カウント実験の続きを書きたいと思います。

前回、清水寺からユニバまで泳いでいく気持ちでバスに乗り周囲の鼻すすりや咳き込みの回数を数える決心をしたところでしたね。

乗車へ

さて、samayukaは週に二回、カウンセリングを受けていました。なので、あっという間にバスに乗る日はやってきます。

緊張しました。待っている間、帰ってしまおうかとも思いましたが、意を決して久しぶりにバスに乗ります。バスは満員。確かバス中央付近の席に座りました。紙とペンを握りしめ、必死に回数を数えていた記憶があります。通勤ラッシュ時は道も混んでおり、30分ほど必死にカウントすることにだけ集中していました。

そして、目的地へ到着。とても疲れました。なんせ、満員の公共交通機関なんて二年以上乗っていません。下車と同時にバス停のベンチに座り込んだ記憶があります。そこで心を落ち着かせ、いざ、カウンセリングに挑みました。

初っぱなから落ち着きません。早くセラピストのカウント数を知りたくてたまりませんから。挨拶もそこそこに早速数えてきた値を比較し合います。結果は………大差ありませんでした!私の方がすこし少なかったという結果でした。

セラピストさんが聞いてきます。
「samayukaさんはこの結果を見てどう思いますか?」

嬉しいは嬉しいが…

実際のところ、私の気持ちは戸惑っていました。嬉しいことは嬉しかったです。けれど、こんなのたまたま一回だけかもしれない、偶然かもしれない、まだ全然納得しきれてなかったから。
ということは、納得するまでまたバスに乗るのか?いやいやキツいキツい、キツいって…。でも納得してないのに納得したと嘘をついてもなんの意味もないし…。何回もこれやるんやろか…。
となっていた記憶があります。

むしろ、とても喜んでおられたのはセラピストさんでした笑。やっぱり!ほら!って🤭結果を押し付けるようなことは当然されなかったですけどね。今考えたらセラピストさんも結構ドキドキしておられたんじゃないかなと思います😏

こうして横綱対わんぱく相撲レベルで、samayukaは完全敗北したわけです。でもまだまだ土がついたことを認められていません。
その結果を踏まえた上で、次回からもカウント実験を兼ねてのバス通院を続けることになりました。

何度もやりましたよ。私の方が数値が大きいことも当然ありました。その際は体調の悪そうな人がいなかったかなど、当然考えられる可能性を自分に叩き込みます。

そして、何度も繰り返すうちに、もう数値にこだわりがなくなっていきました。慣れてきたら自発的にカウンセリング日以外も満員バスに飛び込んだりもしたのですが、毎回そこまで大きな数値の違いって出てこないんですよ。
カウントする際はどんな小さな鼻すすりや咳も逃さず数えてました。ばらつきは当然ありますし、同じ人が何度も咳き込んだりする日もありますけど、実は毎回そんなに大きな差はない。私だけでなく当然、セラピストさん側の数字も、です。

どのように振り帰るか

こだわりがなくなったというのは、納得するというより、そういう結果が出て当然なんでしょうね、というようなどこか他人事のような感じ。嬉しいですし、自分のせいで他人に咳や鼻すすりなどが劇的に増えていることもなさそうだとも理解できました。でもやっぱり不安にはなります、周りから迷惑がられているかも、という不安の根源は完全には消えなかったんですね。

最初はユニバまで泳いでいくくらいの決意でやっていたバス実験も自動思考を消し去るまではいきませんでした…といってもですよ、最初はバスに乗れなかったんです。この実験を境に疲れはありますけどバスに乗れるようになったわけです。


この実験には、色々な認知行動療法の要素が詰まっていると思います。自動思考や曖昧な不安の対象を現実的な考えや数値などでハッキリと捉えて変えていく、という狙いは当然あるでしょう。
それだけでなく、不安を感じたときに何か外の対象に注意をわざと向けて、不安にのみこまれないようにする「注意シフト」や
不安な状況に実際に飛び込んで、思ったより不安にならないことを学習していく「エクスポージャー(曝露療法)」など、
実際に外に出て不安に馴れていき、不安そのものを小さくさせていく要素もあったんだと思います。何にせよ引きこもっていた状態からは大きな進歩でした。

さて、自動思考を消し去るまでは行かなくとも、だいぶと揺らぎました。それに少しですけど外には出れるようになった。自分の中にも「これ、ひょっとして治って外に出れるんじゃないか?」という現実的な希望が見えてきたんですね。そこで次のステップに移るわけです。
それはまた次回のお話しということで、最後まで読んでいただき、本当に本当にありがとうございました✨

次回(part5)
https://note.com/samayuka/n/n7865f20c95dd

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?