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自臭症(patm) の認知行動療法~その5~

さて、自臭症(patm) 完治までの道のり、もう少しでゴールです。前回の記事で書いたバス・カウント実験。これにより自動思考はだいぶ弱まりました。この実験、自動思考へのアプローチという面で重点的に取り上げてきましたが、身体反応へのアプローチもすでになされていたんです。

身体反応のおさらい

身体反応はパブロフの犬のように条件反射が出来上がっちゃうことにより起こるものです。
周囲の鼻すすりや咳を聞くと
体が自動的にこわばり
汗をかき血圧や心拍が上昇し
結果、不安な気持ちになってしまう

この点線の流れを繰り返していると、太線が出来上がってしまうわけです。すると、もう理由とか関係なく不安になっちゃうわけです。
この太線こそが身体反応なわけですけど、これは「周りの鼻すすりは自分が関係している」という自動思考とがっちり結びついて、お互いを補強しています。

解決への手段:エクスポージャー(曝露療法)

自動思考を弱らせ、身体反応、上の図の太矢印を消す。その為には、エクスポージャー(曝露療法)という手法がとられました。実際に不安の感じる状況を体験して、その不安になれていく、不安を乗り越えて小さくしていくやり方です。
これであれば、実際にバスに乗ることで、もう体験しているわけです。周りの鼻すすりの回数を数えるという別の目的で、実際に何回も乗車しています。それに、実験前は不安でバスに乗れなかったのに、乗車すること自体は慣れてできるようになっています。すでにこのエクスポージャーの第一歩は始まっていたわけです。

乗り越えるべき不安とは何かを考える
友達に正直に告白する

そこで、もう一つ次の段階に進むために、何をすべきかセラピストさんと一緒に考えました。自分が不安なことって何だろう?ともう一度考え直しました。当然自分のにおいや周りの目が気になっているんですが、そうでなくもっとコンプレックスというか、自分が怖くて避けていたことは何かということを洗い出しました。

そして、答えはでました。友達に正直に告白してみようと。samayukaは親やセラピストさん、精神科医には正直に自分の状態を話していましたが、友達には見捨てられそうな不安が強く具体的には話せていませんでした。避けてきたことです。
この避けてきたことにチャレンジすれば大きな不安を乗り越えられるのではないか、そうセラピストさんに持ち掛け、それを実行することになりました。

不自然でも自分が納得できる場を設定する
言い逃れできない真っ向勝負の場を作る

次に誰にどのように聞くか。
優しい友達であれば、臭いがあるかどうかを聞いても気を使って本当のことを言わないかもしれないという疑うかもしれません。だから、率直に本当のことを普段から言う友達を選びました。
また、ちょろっと聞いて「いや臭くないよ」と言われても、また疑いが出てきそうだったので、「samayukaの欠点を言え」と何時間か自分の悪いところを言わせた後、こちらから「実は臭いが気になって引きこもっている」と告白することにしました。そうすれば、周りが自分をどういう風に見ているか知ることができると考えました。

実際に、わりとヅケヅケとモノを言う友人に、samayukaの悪口を何時間か一対一で言ってもらいました。その中では臭いに関するものがあったのですが、どれも一般常識レベルのもので引きこもるほどのものではありません。

そして、こちらから「実は自分が臭いのではないかと引きこもっている」と告白しました。答えは「ふーん、そうなん。変なの。」

これは自分の中でとっても待ち望んでいた答えでした。もう言い逃れが全くできない状況を人為的に作って自分の臭いを質問し、真っ向から否定されました。今まで避けていた不安なことを乗り越えた瞬間です。

不安を乗り越えた結果

この体験は私には効果てきめんで、友達の家には無理して電車に乗って行ってたんですが、帰りの電車で安心して居眠りしてしまったんです。いつも不安でびくびくしながら乗っていた電車で眠ってしまうほどリラックスしていました。この日から劇的に自分の中でもエネルギーが湧き、完治まで大きく前進します。

不自然でも自分が言い逃れできない状況を作り上げ、自分の一番不安なことを、聞きづらい相手に聞く。こうして不安な状況を作り上げ、それを乗り越える。そうすると、大きく不安は軽減し、周りの目を気にすることも、周りの鼻すすりなどを見聞きして不安になることも、無くなっていく。これが私が認知行動療法を受けた中で、一番劇的に効果があったと感じている実験でした。

ここまでくれば完治まであと一歩です。不安な状況を自分で乗り越える。これができれば、認知行動療法を受けておられるあなたも完治間近の状態だと思います。
今回はここまでにしたいと思います。最後まで読んでいただき本当にありがとうございました。

次回(part最終回)
https://note.com/samayuka/n/ne3a18727400c

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