ーもし太陽を失ったら人間はどうなる?ー映画『8:27』
様々な惑星の中でも大きな存在感を放つ太陽。私たちにとって、当たり前のように存在している太陽ですが、太陽にも寿命があるといわれています。その寿命はなんと50億年ほど。
おそらく今を生きている私たちにとって深く関係する話ではないでしょう。しかし寿命があることは、太陽が地球を照らさなくなる日が来るということがわかります。
つまりは、地球に人が住めなくなる時が来ることを示唆していますね。
一方で、50億年が一体どれだけ先の話なのか想像がつかない部分もありますが。
これまでもたくさんの映画で「地球が滅亡したらどうなるのか?」をテーマにした作品が作られてきました。『グリーンランド』『インターステラー』『アルマゲドン』などは、地球滅亡系の映画では代表的な作品ではないでしょうか。
地球が滅亡すれば、そのまま人々が死んでいくことは容易く想像できるでしょう。
では「もし太陽が機能しなくなったらどうなるのか?」をあなたは想像することができますか?
その映画を描いたのが、今回ご紹介する『8:27』です。
あまり例がない『太陽と人間』を視点にした物語。
太陽が機能をしなくなるまで8分27秒。
残りの時間を人々は一体どのように過ごすのか。
人間の狂気的な部分を強烈なビジュアルで描いた、いかにもドイツ映画らしい本作品。危機的状況でも笑ってしまう、なんとも不思議なストーリーです。
今回は映画『8:27』を深堀りしていきます!
◎ギリギリを攻めるブラックコメディー!
「太陽が機能を停止したら人間はどうなるのか?」
これが本作品の大きなテーマ。
興味深いテーマであるのに加え、それをブラックコメディーに描き、鑑賞者にお笑いを届けてくれる、それこそこの映画の大きな特徴です。
そもそもブラックコメディーとは、イギリス英語でブラックユーモアをたくさん含んだ喜劇のことを言います。
同じ言葉としてブラックジョークがありますね。
つまりは、生死、犯罪、社会問題などの風刺的描写をコメディとして描く作品です。
現実では絶対に笑えない状況だけれども、映画という芸術作品だからこそ笑っていられるもの。
この映画はまさにブラックコメディです。誰もがパニックになる危機的状況を笑って見過ごすことができる。そこに作品の面白さが隠れているでしょう。
お葬式で悲しんでいる人々はどうなるのか?
飛行機で身動きが取れない人はどうなるのか?
会社で働く人々はそうなるのか?
普段からストレスを抱えて生活をしている人々はどうなるのか?
世紀の大混乱が起きている8分27秒。
何一つ見逃すことができません。
◎8:27の秘密
今回のタイトルにもなっている8:27。
一体、なぜ8分27秒なのでしょうか?
実は、この数字には大きな意味が隠されているのがわかりました。
重要になるのが、太陽と地球の関係です。
太陽の光が地球に届くまでの時間は、平均8分19秒と定められているそう。しかし、その時間は場所や時期によって異なります。
厳密に説明をすると以下の通り。
遠日点(太陽と地球が最も遠くなる点)から考えれば8分27秒。
近日点(太陽と地球が最も近くなる点)から考えると8分10秒。
とされているそうです。
つまりタイトルに示された『8:27』は太陽の光が地球に届く時間を表していることがわかりますね。厳密にいうと、遠日点から考えた時間を題名にしています。
私たちは、当たり前のように太陽の光を浴びています。しかし、惑星の視点から物事を考えれば、当たり前な事が奇跡に感じることも。
地球と太陽の距離は1億4960万km。光の速さは毎秒29万km。光が一年かかって届く長さを1光年と表現します。地球と太陽の距離、光の速さを考えると、太陽の光が地球に届くまでは約8分19秒。
太陽の直径は139万2000km。なんと地球の109倍。私たちから見える小さな太陽は、想像を遥かに超える大きさ。
これらを知るだけでも映画の臨場感や緊張感を深めることができるのではないでしょうか。
◎実際に太陽がなくなったらどうなるのか?
太陽がなくなったら私たちはどうなるのでしょうか?
冒頭でも示した通り「地球が滅亡をしたら?」を想像した場合、同じように人類も滅亡するのがわかります。
しかし太陽が滅亡(機能がなくなる)した場合、私たちはどうなるのでしょうか?
もしかしたら「電気を使えば暮らせるのでは?」と思う人もいるかもしれません。
実は太陽がなくなると、私たちは『地球で生きていくことができなくなる』といわれています。大きな理由は気温の急激変化です。
私たちが暮らせる気温は、太陽の光のおかげで保つことができています。
しかし、太陽の光がなくなると、地球は急激に冷え込み、気温はマイナス200度まで達するといわれています。これでは生命を維持するのが困難であることがわかります。
地球で私たちが暮らせるのも、全ては太陽があっての話。
今回は『太陽』という大きなテーマで描かれていますが、新たな解釈をすれば『当たり前が消えた時、人間がどうなるのか?』と同じことなのかもしれません。
それは電気、ガス、水道、人の死など全て同じことがいえますね。
◎全員の行動に共通していること
8分27秒のわずかな時間で、人々が起こしている行動は本当に様々。まさに十人十色。人の性格が出るのは、こういう時だと思わされる姿でした。
例えば会社で働く人々。
誰かと殴り合っている人や告白をしようとしている人、そしてこの状況で仕事を全うしている人まで。自分のやりたいことを自由にしていた印象を受けます。
それは飛行機のパイロットも同じ。
普段なら絶対にできない飛行機の縦ループ。これは8分27秒しか生命が許されていないからこそ起こした行為。
他にも映像の端まで目を届かせれば、いろんな行動をしている人がいました。実はこれには人間であるが故の共通点が。
それが『人間の衝動』に従っていることです。
人間が平和に生きていられるのは、考える力『思考』があるからといわれています。
「あの人はムカつくけど、殴ってはいけない・・・」
「本当は殺したいくらい怒りたいけど、そんなことしていけない」
「飛行機の縦ループやってみたいが、そんなことをすればクビ確定だ」
上記のように、人間は社会性を持って生きているからこそ平和なコミュニティを築くことができます。
この映画の人間の姿は、人としての社会性を失った状態。言い換えれば、野生の動物状態。
普段見ることのない、人間の破天荒な行動だからこそ面白い。これこそ、この作品が持つ大きな要素です。
あなたはならどうしますか?
太陽を失うと知った時、どのような行動をするでしょうか?
あなたが社会性を失ったとき、最初にする行動は何でしょうか?
そんな想像を膨らませて楽しめるのも、この映画の持ち味。
嫌なことがあって笑っていたい、そんな時に『8:27』をぜひ、ご覧ください!
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