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衆院選2021 立花孝志 と 諸派党構想 ②

衆院選2021 立花孝志 と 諸派党構想 ① の続編です。
2021年10月31日、衆議院議員総選挙の投開票を終え、立花孝志氏率いる(旧)N国党 (現)「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の議席獲得は”0”、諸派党構想で臨んだ比例得票率 ”1.39%” であった。2019年参院選時に比べると、得票率は ”22%” ダウンした。

衆院選投開票から約二週間のあいだ、立花孝志氏からは動画やツイッターなどで様々な主張が繰り広げられていた。そんな中、「ぼくの先を見るチカラは凄い(先見の明がある)」と発言している。本記事では、過去の言動を振り返りつつ、現実はどうであったのかを検証していこう。


衆院選2021 諸派党構想 結果

2021年10月31日、衆議院議員総選挙の投開票を終え、約二週間が経過した。
まずは、(旧)N国党(現)NHK党・および諸派党(構想)の結果から振り返っていこう。

北海道6区 齋藤忠行氏 [ 比例重複 ](内部告発者を守る党★)
 → 得票 9,776票(4.2%)
岩手2区 荒川順子
 → 得票 3,548票(1.6%)
宮城2区 林マリアゆき氏 [ 比例重複 ](子供の未来を守る党★)
 → 得票 5,521票(2.3%)
群馬3区 説田健二氏(議席を減らします党★)
 → 得票 3,737票(2.4%)
埼玉3区 河合悠祐氏(愛の力党)
 → 得票 7,534票(3.2%)
千葉7区 渡辺晋宏氏(農業党★)
 → 得票 4,749票(2.0%)
東京7区 猪野恵司氏(バレエ大好き党 ★)
 → 得票 3,822票(1.5%)
東京16区 田中健氏 [ 比例重複 ](NHK党★)
 → 得票 6,264票(2.7%)
東京22区 長谷川洋平氏(炭を全国で作る党★)
 → 得票 4,535票(1.6%)
神奈川15区 渡辺麻里子氏(歯周病をぶっ壊す党★)
 → 得票 8,565票(3.2%)
長野3区 池高生氏 [ 比例重複 ]
 → 得票 3,722票(1.6%)
山梨1区 辺見信介
 → 得票 4,826票(1.9%)
愛知1区 門田節代氏(女性宮家・女系天皇反対党★)
 → 得票 6,988票(3.6%)
三重1区 山田いずみ氏 [ 比例重複 ](アシタノワダイ)
 → 得票 7,329票(3.8%)
滋賀1区 日高千穂氏 [ 比例重複 ](NHK党★)
 → 得票 5,092票(2.7%)
大阪16区 西脇京子氏(愛の力党)
 → 得票 9,288票(5.6%)
奈良3区 加藤孝氏(HAGE党★)
 → 得票 6,824票(3.6%)
和歌山2区 遠西愛美氏(女性議員50%を目指す党★)
 → 得票 2,700票(2.0%)
広島3区 矢島秀平氏 [ 比例重複 ](ブラック校則をぶっ壊す党★)
 → 得票 2,789票(1.6%)
高知1区 中島康治氏 [ 比例重複 ](中島やすはる後援会)
 → 得票 4,081票(2.5%)
高知2区 広田晋一郎氏(皇紀2700年党)
 → 得票 2,171票(1.2%)
福岡6区 熊丸英治氏(刑事訴訟法の開示証拠の目的外使用禁止条項を削除する党★)
 → 得票 3,753票(2.0%)
熊本3区 本間明子氏(女性が輝く党★)
 → 得票 12,909票(7.3%)
大分1区 野中美咲氏(愛煙党★)
 → 得票 4,001票(2.0%)
宮崎3区 重黒木優平氏(あなたの声をきく党★)
 → 得票 6,347票(4.6%)
鹿児島4区 宮川直輝氏(パチンコ党★)
 → 得票 6,618票(3.6%)
沖縄2区 中村幸也氏(ゆたぼん党★)
 → 得票 3,053票(1.9%)
(以下、比例単独)
北関東ブロック 黒川敦彦氏(つばさの党)
 → 比例得票 87,702票(1.4%)
南関東ブロック 渡辺敏光氏(NHK党★)
 → 比例得票 111,298票(1.5%)
九州ブロック 齊藤健一郎氏(NHK党★)
 → 比例得票 98,506票(1.6%)

全国平均での得票率は、約 1.39% である。前回の2019年参院選時の 約 1.8% との比較では得票が 約 22% ダウンしている。これは、今回初めて(旧)N国党に投票した有権者よりも、前回の参院選で投票したが今回はしなかった有権者が多いということだ。

では、ことある毎に立花孝志氏の口から名前の出る「山本太郎氏率いるれいわ新選組」と単純に見比べてみよう。2019年の参院選で同時に国政政党となった2党が、この2年間でどうなったのか参考くらいにはなるだろう。

立候補者数
(旧)N国党:30人
れいわ新選組:21人
当選者数
(旧)N国党:0人
れいわ新選組:3人
比例区での得票
※下記は(旧)N国党が立候補者を立てたブロック
▽北関東ブロック
(旧)N国党:立候補1人 得票 87,702票(1.4%)当選0人
れいわ新選組:立候補1人 得票 239,592票(3.9%)当選0人
▽南関東ブロック
(旧)N国党:立候補1人 得票 87,702票(1.4%)当選0人
れいわ新選組:立候補2人 得票 239,592票(3.9%)当選1人
▽九州ブロック
(旧)N国党:立候補1人 得票 98,506票(1.6%)当選0人
れいわ新選組:立候補1人 得票 243,284票(3.9%)当選0人

衆院選投開票の最中、山本太郎氏の当選確実が報じられると立花孝志氏は、「山本太郎さんが当選したのは失敗だと思う。次の参院選で立候補できないから票を減らすことになる(要約)」と発言。そして投開票を終え、結果れいわ新選組が3議席を獲得すると、「3議席取ったって何もできない。」と発言している。が、参議院議員を合わせるとすでに5議席となっている。
さらに言うと、2019年参院選時の比例投票時にれいわ新選組の支持者たちが書いた文字の多くは「山本太郎」だと言われているが、今回は「れいわ」である。

さて、皆様の目にはどう映っただろうか。

 公約と選挙戦略

立花孝志氏といえば、選挙の度に公約を変えることでもよく知られるようになった。参議院議員を辞職後、2019年10月の参議院埼玉補選を皮切りに、「〇〇県(〇〇市)をドバイにします。」「公務員の給料を倍にします。」などを連発。そして、かの有名な「予備校前演説騒動」を起こした東京都小金井市長選では、総有効投票数40,415票のうち、立花孝志氏の得票678票、得票率1.7%、公党の党首とは思えぬ驚くべき汚点となる数字を残した。

その後の立花孝志氏の大きな選挙と言えば、2020年06月の東京都知事選挙である。では、(地方首長選挙と国政選挙という違いはあるが)東京都知事選挙と今回の衆議院選挙の、公約として発表された内容を並べて見てみよう。

2019年06月 東京都知事選挙では、事前に発表された公約と、ある出来事を切欠に変更された公約がある。

2020年05月初旬(東京都知事選挙告示の約1ヶ月前)、9つの公約を発表していた。まだコ口ナ禍で緊急事態宣言が出されていた頃だ。
①NHKスクランブル化の実現
②NHKの戸別訪問規制
③都民1人1ヶ月10万円給付
④東京都債の発行
⑤失業率が5%を超えたら完全封鎖を解除
⑥出口戦略
⑦学校・幼稚園・保育園の再開
⑧東京オリンピックの中止
⑨Stay Homeならお金
(※上記公約の詳細はこちら → N国党・立花孝志と東京都知事選挙 ① )

その後、2020年05月30日発売の堀江貴文氏の著書「東京改造計画」が発表されると、その著書に書かれた37の提言をそのまま公約にすると発表した。
05月25日に開かれた立花孝志氏による会見では、記者から「著書は読んだのか」という質問が出ていたが、立花孝志氏は「読んでいないが、堀江貴文氏の考えには賛同する」としていた。
37の提言を文章にすると長くなるので、画像を使用させていただく。

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上記全てを、当時立花孝志氏が新たに設立した「ホリエモン新党」の公約として東京都知事選挙に臨み、この37の公約が発表されて以降、先に出されていた9つの公約についてはその後触れられなくなっていたのである。
(※都知事選の詳細はこちら → ホリエモン新党と東京都知事選挙 ①

そして2021年10月08日、先の衆議院議員総選挙の公約が発表される。
「NHKの放送受信料徴収をめぐり、当事者でない委託業者による戸別訪問は弁護士法72条違反だとして徹底追及する。」これを唯一の公約だとした。

初心に帰ってワンイシュー復活かと思いきや、10月24日に追加公約が発表された。内容は以下の通り。(減税に関しては一度取下げられたが、再度公約であるとされた。)
①コ口ナ経済支援として、10万円以上の期限付き電子マネーの配布
②恒常的に消費税を5%に減税
③子育て政策として、1人目を出産する時のみ、母親に1000万円を支給
④高校までの教育は完全無償化。奨学金制度を拡充。
その他では保守や国防などについても持論を展開したようであるが、党の公約としてメディアで大々的に報じられたのは上記4つと言っていいだろう。

さて、今回の衆院選中、立花孝志氏は党首討論やインタビュー時に何度も繰り返し次のように発言している。
「実現できる見込みの無い公約を掲げて票を得ようとするのは詐欺みたいなものだ。(要約)」

ここは敢えて、私の見解をはっきり言わせていただこう。
「どの口が言っているのだ。」

経済を自力で回そうとする公党

衆議院選挙で惨敗したとはいえ、政党助成金の上積みには成功した立花孝志氏と(旧)N国党が、返す刀で多額の借金をするに至った。その額は8億円近くにもなるという。以前からの借金も含め、今回で借金総額残高10億円を超えたのでは、とも言われているが、その点については諸事情により本記事では割愛する。
※(旧)N国党の借金については、選挙ウォッチャー”ちだい”氏が追っておられるので、詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
→ NHKから国民を守る党・動向チェック(#299)
→ NHKから国民を守る党・動向チェック(#300)
NHKから国民を守る党・動向チェック(#301)

立花孝志氏は、今回積み増された政党助成金と多額の借金を使って「経済を回します。」と発言している。

具体的には、党や党が委託する会社で人を雇い、ポスター貼りやビラ配りをしてもらう。これは、立花孝志氏曰く「合法的な票の買収」だそうだ。
2020年東京都知事選挙でもポスター貼りのアルバイトを募集して選挙に臨んでいたはずだが、あのときは果たしてアルバイトの方々は買収されて(旧)N国党(都知事選時はホリエモン新党)に投票したのだろうか。

それはさておき、この”税金から得た政党助成金で人を雇って経済を回す”という手法。一部の熱狂的支持者の間では「天才的発明」と称えられている光景をしばしば目にする。おそらく「合法的な票の買収」と「経済を回す」を同時にやっているという点を評価しての称賛なのだと思われるが、この戦略の効果・成果は期待できるほどのものだろうか。
立花孝志氏曰く、「お金もらってポスター貼りしたら、投票するでしょ」らしいが、例えば、居酒屋でアルバイトをした人が、そのお店の上司や経営者が選挙に出たら投票するだろうか。結局のところ、その人に対する好き嫌いの感情に左右される。短期アルバイトなら尚更に、そんな感情すら介入しない可能性もあると考えられる。
とはいえ、これまでタダでボランティアをしていた支持者たちが喜ぶことは間違いないだろう。

「経済を回す」という点について、おそらくではあるが、継続的にそれを行っていくことは政党助成金のみではできず、使用する原資の割合の多くは借金したお金ということになる。実際、立花孝志氏は「この集まったお金で合法的な買収をするいい方法があったら教えてほしい」と語っている。借金をして事業をして利益を得るというのは民間企業では当たり前に行われていることだが、(旧)N国党の収入は(今のところ)政党助成金のみである。(さほど大きくない額で寄付などはあるようだが。)立花孝志氏が頼みの綱にしている政党助成金は、国政選挙の得票数によって決まる。今回の衆院選ではいくらかの上積みがされたとはいえ、この「経済を回す」を維持しつつ借金の利子を払いつつ返済をし、党の必要経費を賄い続けるには、今後の国政選挙は全て右肩上がりでなければならない計算になる。それこそ、国政選挙のある度に1人以上当選するかどうかのラインに近い得票が必要である。
立花孝志氏も言っていることだが、そのためにも「2022年の参院選は是が非でも 1.8% は確保」しなければならないのだ。

もし、2022年の参院選で、今回の衆院選の 約1.4% を下回るようであれば、また新たな借金をしない限りこの「経済を回す」は破綻し、党の規模は縮小することになる可能性は高く、その約3年後にある参議院選挙で現在の1議席も失うことになりかねない。そうなった場合、さて、多額の借金はどうするのか興味津々といったところだ。

2022年01月20日には、立花孝志氏の刑事裁判の一審判決も控えており、まだしばらくは立花孝志氏と(旧)N国党への逆風は止む気配は無さそうだが、まさかとは思うが、民間企業で言うところの「計画倒産」のような幕引きになる可能性も、借金が増え続けている限り無い話とは言えない。

葛飾区議会議員選挙 結果

衆院選投開票日であった10月31日は、東京都葛飾区議会議員選挙の告示日でもあった。(旧)N国党(現)NHK党からは、もう界隈では有名人となっている黒瀬信明(のぶあき)氏が立候補をしていた。

この葛飾区議会議員選挙、少しおもしろい面々が顔を揃えていたのだ。
以下、5人立候補者をピックアップする。(結果の得票順)
根本りょうすけ氏(つばさの党)得票 2,415票
ごとうてるき氏(後藤輝樹と世界を変える党)得票 1,905票
黒瀬のぶあき氏(NHK党)得票 826票
中根じゅん氏(国民主権党)得票 789票
高橋じゅんや氏(テレビ改革党)得票 578票
※全員落選

根本りょうすけ氏は、惜しくも次点で落選という結果で、当選まであと116票であった。つばさの党が諸派党構想に参加したことで、黒瀬のぶあき氏との間で票が割れたのではとの観測もある。つばさの党は、その地域での地道な活動も行ってきていたとの話もあり、諸派党構想への参加を残念がるつばさの党支持者の声もみられた。

ごとうてるき(後藤輝樹)氏は、以前から立花孝志氏や(旧)N国党に異議を唱えている人物である。衆院選のおり「NHK党を保守政党として期待するのはやめたほうがいい」と指摘。立花孝志氏と直接話したエピソードを元に、自身の考えを公表していた。東京都知事選挙では、足りなかった後藤氏のポスターを支持者がコンビニでカラーコピーをして貼って回ったという。まだ少数だが、熱い支持者を持っている。

黒瀬信明(のぶあき)氏は、(旧)N国党でこれまで数度地方選挙への立候補をし、全て落選。鹿児島市議会議員選挙では、実際に立候補していた”最勝寺しんや”氏(旧)N国党公認のタスキをかけていたことで、界隈では最勝寺しんや氏の影武者と呼ばれ、公職選挙法違反ではないかとの指摘を受けていた。(最勝寺氏が落選したこともあってか、大事にはならなかった。)直近では、埼玉県戸田市議会議員選挙で落選していた。

中根じゅん氏は、以前は(旧)N国党公認候補予定者として名を連ねた”平塚正幸”氏が率いる”国民主権党”の一員である。(旧)N国党と国民主権党は、表立って何か関係があるわけではないとされているが、ヤメN国の派生団体として界隈内の一部で注目されていた。

高橋じゅんや氏は、2019年春頃に(旧)N国党を離党した沓澤(くつざわ)亮治氏(豊島区議会議員)が率いる”テレビ改革党”からの立候補だ。沓澤氏は時折、立花孝志氏のNHKへの対応や手法を批判しており、(旧)N国党とテレビ改革党は犬猿の仲とみられている。

この葛飾区は、2017年11月に立花孝志氏が葛飾区議会議員選挙で当選した地域であり、立花孝志氏に縁のある地域とされてきた。故に、連敗続きの(旧)N国党でも今回の葛飾区議会議員選挙は少し期待ができるのではないかとの見方もあった。
図らずも、立花孝志氏と(旧)N国党にわずかでも縁のある者たち5人(2人は異議を唱えた側だが)が立候補し、5人ともが落選するという結果になった。


衆院選2021 立花孝志 と 諸派党構想 ②(完)