Performance Residence in Museum

世田谷美術館とNPO法人アートネットワーク・ジャパンは、身体表現やパフォーマンス表現を…

Performance Residence in Museum

世田谷美術館とNPO法人アートネットワーク・ジャパンは、身体表現やパフォーマンス表現を行う若手アーティストを対象としたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)事業を実施します。幅広い視野で自身の作家性を追求し表現する、次代を担う若手アーティストの支援・育成を目的にしています。

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プログラムディレクターコメント 米原晶子

Performance Residence in Museumの2年目は、演劇家の藤原佳奈が世田谷美術館に15日間滞在しました。演劇活動を始めてちょうど10年目を迎えた藤原は、「上演は、場を結び、ひらくことである」という考えの元、自身の足元や周囲を丁寧に見つめ、そこにいる人々と言葉に耳を澄ませ、場を立ち上げる実験を積み重ねているアーティストです。そんな彼女が世田谷美術館に滞在することで何を考え、何を発見するのか。世田谷美術館で過ごす時間が、今後の創作活動の糧になることを願い、

    • 担当学芸員コメント 吉田絵美

       藤原佳奈の滞在は、「いま、すでにここにあるものを見つめる」ことに集中し、真摯に創作が紡がれた尊い時間となりました。藤原は近年、創作に向かう態度や「上演とは何か?」という根本的な問題と向き合い、上演芸術を解体して編み直すことを試みています。今回の滞在もそのような意識のもと、さらに純度を高めることを目指して、「美術館を戯曲と捉え、それをいま、上演するとしたら」という問いを設定しました。滞在最終日の上演では、いかに「触媒」となりうるか模索していましたが、滞在期間全体を振り返ってみ

      • 世田谷美術館滞在を振り返って 藤原佳奈

        滞在の問いに至るまで  YouTubeの動画を二倍速で観るとき、申し訳なく思うのはなぜだろう。倍速視聴をすると、情報は短時間で手に入るけれど、語っている他者を単なる“情報”と捉えることになり、相手の存在が矮小化し、そこに“声を聴く”態度が失われてしまうことが気になるからじゃないか。     SNSのおかげでこれまで社会の中で見えないものとされてきた意見や訴えが、ずいぶん可視化されるようになった。それをはっきり意識するようになったのは、#MeTooの動きがあった2017年頃か

        • 滞在日誌 2024年2月4日(15日目)

          滞在最終日となりました。この日は上演と滞在報告会(トーク)を行います。 午前中に集合し、最後の確認をしていた藤原さんと坂口さん。お昼には、上演の前半パートで協力を頂く橋本副館長、鈴木学芸員、鑑賞リーダー(世田谷美術館ボランティア)の中村さんと打ち合わせをして、段取りや立ち位置などを確認しました。 あっという間に開場時間となり、観客の皆さんが少しずつ集まってきます。 ここからは上演の様子を、主に写真でお伝えしていきます。 上演 滞在報告会 滞在報告会では、吉田学芸員

        プログラムディレクターコメント 米原晶子

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        • 滞在日誌 2023-2024
          8本
        • 滞在日誌 2022-2023
          12本
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        記事

          滞在日誌 2024年2月1日-3日(12-14日目)

          滞在最終日に向けて、ラストスパートです。上演の内容や流れが固まってきていますが、最後まで細かい調整を続けていきます。 2月1日(12日目)歌詞を検討 上演の中で俳優の坂口彩夏さんが歌う歌詞を検討することからスタートしました。それぞれのパートがどのように作用し合って行くのかという大きな流れを考えながら、単語の微妙な違いにも気を配り、聞いた人の中に立ち上がる感覚や印象を一つ一つ丁寧に検討していきます。 オープンデー この日は、オープンデーとして15:00-17:00の間に

          滞在日誌 2024年2月1日-3日(12-14日目)

          滞在日誌 2024年1月28日-31日(8-11日目)

          2月4日(日)の上演に向けて本格的に創作を進めていきます。次第に見えてきた大きな流れや方針を、少しずつ具体的なシーンや動きに落とし込んでいきます。 1月28日(8日目) 枝と共存する 前日の滞在で、技術のない自分達が短期間で人の形を目指そうとすると、今回の上演で使用したい媒体としての人形にはならない、と感じた藤原さんと坂口さん。そこで砧公園に出かけ、落ちていた木の枝を採集。この枝を上演で使うことにしました。 今日は枝に処理を施して、講堂で使える状態にするところからスタ

          滞在日誌 2024年1月28日-31日(8-11日目)

          滞在日誌 2024年1月26日-27日(6-7日目)

          後半の滞在がスタートしました。ここから最終日の2月4日(日)まで一気に駆け抜けていきます!前回の滞在が終了した昨年の12月24日(日)からの約1ヶ月間、藤原さんの中で上演のイメージや構想が立ち上がってきたようです。 1月26日(6日目)人形製作にトライ 上演では人形を使うというプランを考えているため、この日は人形遣い・人形美術・人形劇作演出家の長井望美さんにお越しいただき、様々なアドバイスをいただきました。 上演を通してそこにどんな場を立ち上げたいのか、その時に人間と人

          滞在日誌 2024年1月26日-27日(6-7日目)

          2月オープンデー開催のお知らせ

          2023年12月より実施している、身体表現やパフォーマンス表現を行う若手アーティストを対象としたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラム「Performance Residence in Museum 2023-24」。 2023年度は、12月から2月までの計15日間、演劇家の藤原佳奈が世田谷美術館に通い、「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」という問いを元にリサーチとパフォーマンス作品の創作を行ってきました。 12月にはオープンデーを開催

          2月オープンデー開催のお知らせ

          藤原佳奈インタビュー動画が公開されました!

          12月の滞在中に撮影した、藤原さんのインタビュー動画が公開されました。 世田谷美術館の公式YouTube「世田美チャンネル」(https://youtu.be/nL4mzUgUfbY)からご覧いただけます。 インタビューでは、プログラムディレクターの米原と前半の滞在中におこなった当館学芸員や設立時の職員への取材、内井昭蔵が設計した当館の建築に関するリサーチなどをふりかえり、印象に残った出来事や言葉について語っていただきました。また、藤原さんが世田谷美術館をどのように戯曲と捉

          藤原佳奈インタビュー動画が公開されました!

          上演+滞在報告会(トーク)開催のお知らせ

          2023年12月より実施している、身体表現やパフォーマンス表現を行う若手アーティストを対象としたアーティスト・イ ン・レジデンス(AIR)プログラム「Performance Residence in Museum 」。 2年目となる2023年度は、12月から2月までの計15日間、演劇家の藤原佳奈が世田谷美術館に通い、「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」という問いを元にリサーチとパフォーマンス作品の創作を行ってきました。 このプログラムのまとめと

          上演+滞在報告会(トーク)開催のお知らせ

          滞在日誌 2023年12月22日-24日(3-5日目)

          藤原佳奈さんの12月の滞在(全5日間)も後半に入っていきます。インタビューを続けながらオープンデーも実施し、「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」という問いについて具体的に迫っていきます。 12月22日(3日目)インタビュー:遠藤望さん 世田谷美術館の特色のひとつである”素朴派”の作品を特集したものをはじめ、同館にて数多くの展覧会を手がけてきた学芸員OGの遠藤望さんにお話を伺いました。インタビューを終えて「学芸員という仕事は本当にすごい仕事だ…」と

          滞在日誌 2023年12月22日-24日(3-5日目)

          滞在日誌 2023年12月20日-21日(1-2日目)

          今年度の滞在アーティストによる、1回目の滞在がいよいよスタートしました。 藤原佳奈さんの滞在は、12月20日(水)から24日(日)までの5日間と、2024年1月から2月にかけての10日間の2回に分けて行われます。 12月の滞在では「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」という問いを元に、世田谷美術館のこれまでのあゆみを知るために、その歴史に関わってきた方々にインタビューを行います。 12月20日(1日目)美術鑑賞教室を見学 初日の滞在は、美術鑑賞教

          滞在日誌 2023年12月20日-21日(1-2日目)

          オープンデー「世田谷美術館をひとつの戯曲として考えてみるオープンラボ」参加者募集!

          2023年12月20日より、今年度の参加アーティストである藤原佳奈による活動がスタートする「Performance Residence in Museum 2023-2024」。 プログラムの詳細、アーティストについての詳しい情報はこちら。 「Performance Residence in Museum 2023-24」滞在アーティスト決定! さっそくオープンデーを開催し、“世田谷美術館をひとつの戯曲として捉えてみたら、今、どう上演するだろうか?”という問いを皆さんと考

          オープンデー「世田谷美術館をひとつの戯曲として考えてみるオープンラボ」参加者募集!

          「Performance Residence in Museum 2023-24」滞在アーティスト決定!

          2023年12月から2024年2月までの期間に計15日間、演劇家の藤原佳奈が世田谷美術館に滞在し、「世田谷美術館を戯曲だと捉え、それをいま、上演するとしたら?」をテーマで活動します。 ■美術館にパフォーマンス分野のアーティストが滞在する、アーティスト・イン・レジデンス 世田谷美術館とNPO法人アートネットワーク・ジャパンは、身体表現やパフォーマンス表現を行う若手アーティストを対象としたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラムを実施を通して、アーティストの創造環

          「Performance Residence in Museum 2023-24」滞在アーティスト決定!

          セタビブログにてダイジェストレポートが公開されました!

          世田谷美術館公式ブログ「セタビブログ」にて、「Performance Residence in Museum 2022-23」のダイジェストレポートが公開されました! セタビブログ 2023.04.18「Performance Residence in Museum 2022-23」ダイジェストレポートはこちら 昨年度の額田大志さんの滞在や、担当学芸員のコメントなどをダイジェストで振り返った内容です。 ぜひご覧ください! #アーティストインレジデンス #砧公園 #世田

          セタビブログにてダイジェストレポートが公開されました!

          米原晶子 プログラムディレクターコメント

          本プログラムは、身体表現やパフォーマンス表現を行う若手アーティストを対象としたアーティスト・イン・レジデンス(AIR)プログラムです。アーティストの創造環境・活動のフィールドを拡張し、幅広い視野で自身の作家性を追求し表現する、次代を担う若手アーティストの支援・育成を目的にしています。また美術分野以外を専門とするアーティストの視点によって、世田谷美術館の魅力が再発見されることも期待しています。 プログラムの開始年である2022年度は、音楽家・演出家の額田大志が〈ボーダレスな音

          米原晶子 プログラムディレクターコメント