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好きな事を仕事にしていなくて悩んでいる人へ、同じく悩む私の話をしよう。

2年前くらいのある日、
「好きなことを仕事にすることが人生最大の幸せだ」
と書いてある本を読んでしまった。

今となっては、ちょっとだけその著者を呪いたい。
その日から、わたしは大いに悩み続けることになる。

だってわたしは、好きなことを仕事にしていないんだから。

それを読むまでは「仕事はプライベートを楽しむためのお金を稼ぐ手段だ」と確信できていたから「あんまり仕事の愚痴を言わないよね」って友人にも褒められたことがあるくらいだったのに。
でも、周りからの影響を受けやすい日本代表のわたしは、その瞬間から「好きなことを仕事にしなきゃ幸せじゃない」という思考にとり憑かれてしまった。
自分はなんて不幸な人間なんだ、と本気でずっと悩んできた。

わたしの働き方といえば、体調不良よりもサボりで有給を消化した日の方が多い。
風邪で休みますと言ったのに、アウトレットに行ったりドライブで海に行ったりもした。
営業職だったころはサボることを前提にアポを入れていたし、架空のアポを入れてファミレスでぼーっとしてたこともある。
先輩たちと架空のアポを入れてフレンチを食べに行ったり、東京タワーで遊んだことだってある。
事務職になった今も、もう昇格は望んでいないから与えられた仕事しかしていない。
与えられた仕事を、かろうじて生まれ持った真面目さで、最後まで諦めずにやる程度だ。

なにこの最低な働き方。
こんな自分は幸せじゃないんだ。
幸せになれるわけない。

「好きなことを仕事にしないと幸せな人生じゃない」にとり憑かれたままのわたしは、2年間ずっと苦しかった。

そんなわたしが、最近すばらしい発見をしたのだ。

なんと、
わたしと似てるおっさんを見つけたのだ。
わたしと同じような感じなのに、ぜんぜん悩んでなくて幸せそうなおっさん。

それは、このドラマ。

西島秀俊さんが演じるシロさん。
わたしに似たおっさんというのは西島さんを指しているのではなく、あくまでシロさんのことなので悪しからず。

このドラマはもともと大好きで、シーズン1からお正月スペシャルも劇場版も全部見た。
ゲイのシロさんとケンジのふたり暮らしの話で、わたしの趣味でもある料理のシーンもたくさんある。
これまではただひたすらに、ケンジと友人の小日向さんに爆笑しながら観てた。
でも今期始まったシーズン2はというと、心を打たれるシーンがたびたびあるのだ。

5話でシロさんが「そうか、俺、いま幸せなんだ」と平凡な毎日の中にある幸せに気がついて涙するシーンがある。
一緒に住むケンジが、家の備品を買っておいてくれたり、洗濯物をたたんでくれていたり、足りない食材を文句も言わずさらっと買いに行ってくれたりする、さりげない優しさに触れ、そしてそれがどんなに幸せなことなのか気がつく。
日常生活にあるさりげない幸せは、実に暖かくて尊い。

もうわたしはこのシーンに胸を鷲掴みにされてしまった。
人生観変わっちゃった。世界がひっくり返っちゃった。
さすが周りからの影響を受けやすい日本代表である。

シロさんは、ぜったいに18時に仕事を終える。
そして、夜ご飯を作って、ケンジと一緒に食べる。
食費を月3万以内に収めることに全力を注いでる。
シロさんの一番の楽しみは、夜ご飯を作ること。

幸せや楽しさをどこに見つけるかは、その人次第なのだ。

わたしはおっさんじゃなくておばさんだし、17時に仕事を終えるし、一緒に食べる人はいないか、いても父だし、食費は月5万以内目標。
だけど、シロさんと同じで、1日の中で夜ご飯を作ることが一番楽しい。

わたしの幸せは、それでいいんだ。
シロさんが涙する姿を見て、そう思った。
これこれ、わたしもこういう幸せが好き。

最近は、寝る前に湯たんぽを抱いてドラマを見たり、掃除のやり方を工夫したりして綺麗を保っていることも幸せ。
安心できる昔からの友人と、気を使わずおしゃべりする時間も好き。

特別な何かをしなくてもいい、特別な何者かにならなくてもいい、平凡でもいい。
仕事をする目的が、幸せな生活をするための手段でもいいじゃん。

わたしは日常生活に根ざした、暖かい幸せを感じながらのんびり暮らしていたい。

もうあんまり悩まないようにしよう。




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