「すべて真夜中の恋人たち」を読んで、能面のような顔になった。
この本を買った理由は、装丁と題名を見て文章が美しそうだと思ったから。
期待を裏切らず、文章よりももっと、描かれている恋愛模様が美しかった。
美しすぎて、わたしには絶対にできそうにもないと思うような恋愛だったけど。
主人公の冬子は、人付き合いが苦手で、校閲の仕事をしている。
冬子が恋をする相手は、三束さん。本人が言うには、高校で物理を教えているらしい。
わたしは現実に、ロクでもない男性にしか出会わないし、それを見抜けずそこそこ深入りしてきた自分にも心底呆れている。
それに、わたしが男性に求めるものは的外れでおかしくなっちゃってるという大問題を抱えているし、冬子のように相手のステータスとかそんなの関係なく、心がぎゅっとするような、心の奥から少しずつ少しずつ湧き上がってきて、気づいた頃にはそれがすごく大きな気持ちになっていたみたいな恋って、またしてみたいなぁと思ったけれど、でももうわたしにはそんな清い心は1ミリも残っちゃいないわなと、能面みたいな無表情で読み進めた。
まぁいいの。
わたしは結婚相談所で婚活するって決めたから、心の奥から少しずつ湧き上がる気持ちなんて待っちゃいられないの。
これわたしじゃん。
この文章を読んだときは、心がズキンとした。
コロナ渦、自分と向き合う時間が増えて、本当に似たようなことに気が付いてすごく落ち込んだのは2年前くらいだったかな。
冬子ってちょっと変な人、仲良くならないタイプの人だなって思いながら読んでいたから、わたしが考えてきたことと同じじゃんって、この文章を読んだ時にちょっと目を伏せたくなった。
でも冬子もわたしも、それにちゃんと気がつけて良かった。
あんまりもう後ろは振り返らないでいこう。
過去は変えられないし、後悔しても始まらないのなら、ここからはちゃんと自分で責任を持って、自分でちゃんと選択して人生を進めていきたい。
純粋すぎてわたしにとっては遠い世界の恋愛模様だったけれど、まさに今、結婚相談所で婚活を始めようとしているわたしは、今後お見合いをする人とは清い心で向き合いたいたいなと思うのだった。
いただいたサポートは、記事を書くための活動に使わせていただきます😆