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【気づけなかった後悔】cono

私は医療現場でリハ職として携わっています。
先月から担当しているAさん、自宅で転倒し骨折しましたが手術も無事に終わり自宅退院に向け介入している方。

Aさんは介助者がいれば移動できる能力で身の回り動作も自分でできます。
認知症を併用している為、病識も無く毎日同じ事を繰り返し伝えますが全く覚えていません。

私  「この動きは控えましょう」
Aさん「分かりました。そうですね。」

と返事をしながらダメだと言われた動作をしだす。
何故、自分が入院しているのかもわかっていない。
指示を受けながら毎日同じ事を繰り返しする事で徐々に表情が変わっていくAさん。

日に日に身体の痒みを訴えたり、不安な表情をしながら黙って何かを探し続けたり…
家族の人や私たちにも声を荒げる時も…

起きる度に便座に座り15分〜20分座り続ける毎日。
1時間おきにトイレに行く事も多くなり病棟スタッフも転倒しないようにと扉の外でうんざり顔で待つ人も。

それを分かっているのか…

Aさん「いつもすみません。お世話になります」
と悲しげな表情をする事が増えてきました。
話す言葉はいつも不安な事ばかり。

どう関わればAさんは安心して生活できるのか?
どうする事がAさんにとってベストなのか?

悩んでいる中、病棟看護士が提案したポータブルトイレ設置。
夜勤帯に付き添う時間が足りない為、急遽置いたとの事でした。

すると設置直後からAさんの表情や発言に変化が…

リハビリ中も不安な発言も減り運動意欲も向上。
私にも労いの言葉をかけてくれたり笑顔を見せる事も増え表情が柔らかくなりました。

心配事であったトイレを近くに置く事で安心感が芽生え心の余裕が出来たんだと思います。

何故、私が気づけてあげなかったのか…
すぐ提示する事が出来なかったのか…

毎日Aさんと関わり入院前の生活や若い時の話し、近所付き合いまで情報としても把握していたのに…。後悔ばかり。

凄く毎日考えてました。

Aさんは自宅退院する為、歩いてトイレに行く機会を減らす事は廃用に繋がると思い、トイレの選択肢は外さずにいた事。
更に、認知症に対しては内服でコントロールが必要と思い他職種に相談する事を優先した事。

それが今の状況を改善できると思ってたんです。
しかし、間違ってました。

Aさんの不安に思ってる事について向き合えず、専門的な視点で捉えてばかりで結局は解決する術も何も出てなかったんです。

私、何してるんだろう。後悔の嵐。

けど後悔してばかりだとまた同じ事を繰り返してしまう。Aさんにちゃんと向き合おう。

それからAさんと関わる時はAさんからの発言を待つ時間を作ったり、そもそも分からない質問を投げかけず一緒に考えてみたり。

しかし、認知症が完全に良くなったわけではないので、部屋で声をかけた時は不安な表情をしたり「何故動かなければいけないのか?」と話す事もあります。

その時は丁寧に説明をして、昨日もしていた事やAさんが何をしたいのかを聞きながら動いてもらうようにしています。

身支度も時間はかかりますが、Aさんが自発的に動く事に寄り添いつつ、動いてもらえる事で協力動作も得られていきます。

運動後は「ありがとうございます。あなたも疲れたでしょう。ゆっくり私も今から休みます。」
と笑顔で話してくれるようになりました。

今回の反省を活かす為には…

普段からリハ職視点からではなく1個人として向き合う事を忘れずにしていく。
患者さんが何をしたいか?何を思ってるのか?をしっかりと時間をかける事。

日々の業務で時間に追われ、大切な事が後回しになる事があります。
それではやはりダメなんだと改めて痛感しました。

この事を常に意識していける人になり、気づけるセラピストになりたいと更に思います。

つたない文章ですが読んで頂きありがとうございました。

cono

#後悔 #医療福祉 #リハビリ #気づき

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