カトリック学校の取り組み(Salt, for teachers)

カトリック学校の取り組み(Salt, for teachers)

最近の記事

夏休みに読みたい! 「永井隆」の本    ー平和を学び、希望に生きるために。

 8月に入ると、日本では、やはり二つの原爆記念日が思い出され、15日の終戦の日まで「平和」を祈る心となりますね。 ウクライナでの戦争が激しくなり、核兵器を使う可能性をちらつかせる国がでてきた今こそ、「もう決して核兵器は使わせない」という思いを新たにし、この決意を次の世代を担う若い方たちにも伝えたいと願います。  長崎で自分も原爆の被爆者となりながらも、被爆した方々の救護を献身的に行った医師、戦後は数々の本を書いて有名になった永井隆のことをご存じでしょうか。「長崎の鐘」「この子

    • 国際バカロレアの教育から学ぶ14:概念型カリキュラム

      「国際バカロレアの教育から学ぶ13」では、国際バカロレアですすめられている「指導のアプローチ」をご紹介しました。 今回は、その中の一つ、「概念理解に重点を置いた指導」についてまとめてみます。 「概念型の学習では、各教科や教科横断的な領域において関連性をもつ、有力な考えを体系化することを重視」しています(国際バカロレア機構, 2022, p. 16)。 国際バカロレアでは、リン・エリクソンの「概念型カリキュラム」の理論を参照しています。 エリクソンは、事実やスキルを機械的に

      • 国際バカロレアの教育から学ぶ13:「指導のアプローチ」

        新学期を、いかがお過ごしでしょうか。 新しい出会いの中で、今年度の授業を始められた先生方も多いかと存じます。 昨年は、カトリック学校の教育と親和性があると考えられている国際バカロレアの教育について、教育の理念や、理念を具体化するためのカリキュラムの一部を、ご紹介してきました。 (「国際バカロレアの教育から学ぶ1~5」では、国際バカロレアの教育から得られる、カトリック学校の教育を振り返る視点についてまとめています。) 今年も国際バカロレアの教育について、ご紹介していきます。

        • 李神父による一日静修会 小島さやか(雙葉小学校)

          イドバタ×SALT企画 8月28日(日)10:00〜17:00 上智大学校内クルトゥルハイム 李神父様を含め19名と共に祈り、学び、分かち合いの一日を過ごしました。 小学校から高校までの宗教・倫理ご担当の先生、宗教以外の科目をご担当の先生、大学生、院生、カトリック学校でお勤めの職員の方、教会学校の先生・・と、本当に幅広い学校、年齢、背景をもつメンバーで集いました。 オンライン上で顔は見たことある、名前を見たことがあるという方々と今回直接お会いする機会ともなり、「お会いしたか

        夏休みに読みたい! 「永井隆」の本    ー平和を学び、希望に生きるために。

          国際バカロレアの教育から学ぶ12「グローバルな文脈」探究の例(中等教育プログラム)

          前回に引き続き、中等教育プログラムの「グローバルな文脈」の問いと、探究の例をご紹介します。 〇科学技術の革新 自分たちが住む世界をどのように理解するのか? 例)システム/解決策/適応/人間の創造性/結果//産業化/情報化/進化/原則/原則と発見 〇グローバル化と持続可能性 あらゆることはどのようにつながっているのか? 例)環境に対する人間の影響/共通性/多様性/消費/天然資源/保全/公共の利益/都市開発/人口 〇公平性と発展 共通の人間性がもたらすものは何か? 例)民主

          国際バカロレアの教育から学ぶ12「グローバルな文脈」探究の例(中等教育プログラム)

          国際バカロレアの教育から学ぶ11「グローバルな文脈」探究の例(中等教育プログラム)

          前回、PYPの「教科の枠を越えるテーマ」と関連づけられたMYPの「グローバルな文脈」について、ご紹介しました。 MYPのカリキュラムドキュメントには、それぞれの「グローバルな文脈」から生じる探究の例が挙げられています。 今回はその中から、3つの「グローバルな文脈」と焦点となる問い、探究の例を、いくつかご紹介します。 〇アイデンティティーと関係性  私は誰なのか?私たちは誰なのか?  アイデンティティーの形成/自立/健康と福祉/人間の本質/倫理的な判断 〇空間的時間的位置づ

          国際バカロレアの教育から学ぶ11「グローバルな文脈」探究の例(中等教育プログラム)

          国際バカロレアの教育から学ぶ10:「グローバルな文脈」(中等教育プログラム)

          国際バカロレア中等教育プログラム(MYP)は、8つの教科を学びます。 MYPでは、教科で学んだことを、自分の生活に結びつけて考えることができるように「文脈に基づく学習」という考え方が採用されています。 MYPでは、PYPの「教科横断的なテーマ」と連携する形で、6つの「グローバルな文脈」が設定されています。 PYPの「教科横断的なテーマ」→MYPの「グローバルな文脈」の順で、お示しします。 私たちは誰なのか→アイデンティティーと関係性 私たちはどのような場所と時代にいるの

          国際バカロレアの教育から学ぶ10:「グローバルな文脈」(中等教育プログラム)

          国際バカロレアの教育から学ぶ9 教科の枠をこえた学習・ボイヤーの思想

          「国際バカロレアの教育から学ぶ8」では、「教科の枠をこえた学習」というIB教育の特徴についてご紹介しました。 今回は、この特徴の理論的な背景の一人である、アーネスト・L・ボイヤーの教育についての考え方を、ご紹介します。 ボイヤーは、カーター大統領政権において教育長官も務めたアメリカの教育者です。カーネギー教育振興財団理事長を務めた人物で、キリスト教会(Brethren in Christ)の牧師でもありました。 ボイヤーは、特にキリスト教教育においては、「分裂(fragm

          国際バカロレアの教育から学ぶ9 教科の枠をこえた学習・ボイヤーの思想

          Zoom de イドバタかいぎNO.17「宗教の授業にける探求型授業の実践と方法論の検討」

          Zoom de イドバタかいぎNO.17 「宗教の授業にける探求型授業の実践と方法論の検討」 発表者:宮島健太郎さん(サレジアン国際学園中高) 日時:7月10日(日)14:00~ 申し込み:PEATIX 入場券(無料) https://peatix.com/event/3285758/view?k=bc33801d35def21ffc25b1bea5dd0281e56529ae プロジェクト基盤学習PBL(project based learning)とは、解がまだ見つかっ

          Zoom de イドバタかいぎNO.17「宗教の授業にける探求型授業の実践と方法論の検討」

          国際バカロレアの教育から学ぶ8:教科の枠をこえた学習 

          国際バカロレアの初等教育プログラム(Primary Years Programme:PYP)では、教科の枠をこえた学習を重視しています。 3歳から12歳の子どもたちが、自分たちが生きる世界についての理解を深めるためには、既に持っている知識や経験と新しい知識や経験との間につながりを見つけていくことが有意義である、とPYPでは考えられています(IBO 2018)。 PYPで学ぶ子どもたちは、「人間の共通性」に関連するとされる次の6つの「教科の枠をこえたテーマ(Transdisc

          国際バカロレアの教育から学ぶ8:教科の枠をこえた学習 

          Zoom de いどばたかいぎNO.17 「宗教の授業における『PBL授業」の実践と方法論の検討」

          発表者:宮島健太郎さん(サレジアン国際学園中高) 日時:7月10日(日)14:00~ 参加:PEATIXで申し込み下さい!(無料) https://peatix.com/event/3285758/view?k=bc33801d35def21ffc25b1bea5dd0281e56529ae プロジェクト基盤学習PBL(project based learning)とは、解がまだ見つかっていない、あるいは解が必ずしも一つに定まらない問題に、学習者が自立的に(しばしば協

          Zoom de いどばたかいぎNO.17 「宗教の授業における『PBL授業」の実践と方法論の検討」

          Zoom de いどばたかいぎNO.17  「宗教の授業における『PBL授業」の実践と方法論の検討」

          発表者:宮島健太郎さん(サレジアン国際学園中高) 日時:7月10日(日)14:00~ 参加:PEATIXで申し込み下さい!(無料) https://peatix.com/event/3285758/view?k=bc33801d35def21ffc25b1bea5dd0281e56529ae *入手が出来ない場合はメッセージを「こばやしゆか」迄 プロジェクト基盤学習PBL(project based learning)とは、解がまだ見つかっていない、あるいは解が必ずしも一つ

          Zoom de いどばたかいぎNO.17  「宗教の授業における『PBL授業」の実践と方法論の検討」

          第70回 関東地区カトリック小学校宗教部会のお知らせ― 宗教教育に関心のある先生方の集まり ―

          関東地区カトリック小中高連盟 会長 吉川 直剛 関東地区カトリック小学校宗教部会 部長 久保田 靖 第70回 関東地区カトリック小学校宗教部会のお知らせ ― 宗教教育に関心のある先生方の集まり ― ♰主の平和  5月の部会では、初めて参加された先生や、地方に学校がある先生方にもご参加いただき、誠に ありがとうございました。新しい出会いの中で、気づきや学びを得るとともに、カトリック学校同 士の「つながり」を深めるこができました。  6月もZOOMによるオンライン部

          第70回 関東地区カトリック小学校宗教部会のお知らせ― 宗教教育に関心のある先生方の集まり ―

          国際バカロレアの教育から学ぶ7

          国際バカロレアの教育を提供する学校では、児童・生徒達は「学習の方法(Approaches to learning:ATLスキル)」と呼ばれるスキルを意識しながら学んでいます。 〇コミュニケーション Ⅰ コミュニケーションスキル  相互作用を通して思考やメッセージ、情報を効果的にやりとりする。  情報を集め、やりとりするために、言語を読み、書き、そして用いる。 〇社会性 Ⅱ 協働スキル  他者とともに効果的に取り組む。 〇自己管理 Ⅲ 整理整頓する力  時間と課題を効果的

          国際バカロレアの教育から学ぶ7

          国際バカロレアの教育から学ぶ6

          今回から、国際バカロレア(IB)の教育の理念を具体化するためのプログラムの実際や、国際バカロレア教育に取り組まれている学校の実践について紹介していきます。 まずは、これまでにご紹介してきた「IBの学習者像」は、学校でどのように使われているのか、についてです。 カトリック学校に限らず、日本の多くの学校でも、「IBの学習者像」のような教育目標が掲げられています。 しかし、「それは学級活動や行事の中で達成するものと意識されていて、教科学習の中で意識されることは少ない」とも言える

          国際バカロレアの教育から学ぶ6

          国際バカロレアの教育から学ぶ5

           これまで、「IBの学習者像」を中心に、国際バカロレアの教育の理念から、カトリック学校の教育を振り返るヒントを得てきました。  今回は理念編の最後として、「国際的な視野(international-mindedness)」を育てるとの国際バカロレアの教育の理念を表している「IBの使命(IB mission statement)」をご紹介します。 *****   「IBの使命」 国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くこと

          国際バカロレアの教育から学ぶ5