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国際バカロレアの教育から学ぶ9 教科の枠をこえた学習・ボイヤーの思想

「国際バカロレアの教育から学ぶ8」では、「教科の枠をこえた学習」というIB教育の特徴についてご紹介しました。
今回は、この特徴の理論的な背景の一人である、アーネスト・L・ボイヤーの教育についての考え方を、ご紹介します。

ボイヤーは、カーター大統領政権において教育長官も務めたアメリカの教育者です。カーネギー教育振興財団理事長を務めた人物で、キリスト教会(Brethren in Christ)の牧師でもありました。

ボイヤーは、特にキリスト教教育においては、「分裂(fragmentation)ではなく一致(unity)」を、教育の目標とするべきだと考えていました。
したがって、学問間の「つながり(connectedness)」を見出すことを求め、大学ではリベラル・アーツのカリキュラムが望ましいと主張していました。

また、ボイヤーは、学んだことと、自分の生き方とのつながりを探究することが大切であると考えていたようです。そして、それは互いに仕え合うこと(service)へと導かれているといいます。

国際バカロレアの教育では、知識と知識のつながりを、学習者自身が見出していくための理論を他にも採用し、カリキュラムを提示しています。

次回は、中等教育プログラム(MYP)に見られる、生徒たちが教科を超えたつながりを見出すための要素をご紹介します。

〇参考文献
太田雅子「1.聖書・キリスト教的価値観と国際バカロレア」太田雅子・鈴木光男・飯田真也・福重浩之・和久田佳代・二宮貴之・細田直哉「国際バカロレア(IB)教育についての考察―各教員の専門・関心分野における教育との比較検討―」『聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要』第19巻、2021年、pp.51-64.
ボイヤー, E. L. 著、中島章夫監訳『ベーシックスクール―アメリカの最新小学校改革提案』玉川大学出版部、1997年.
Fea, J., Teaching Ernest L. Boyer’s Vision for Messiah College, 2020.  https://currentpub.com/2020/02/13/teaching-ernest-l-boyers-vision-for-messiah-college/ (2022年7月3日アクセス)


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