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「下戸な私が選ぶ大酒飲み自伝本」選



 今朝、足を攣って目が覚めました。寝てるはずなのに、あ、攣るぞ……いくぞ………ほらほら、攣った!!!!みたいな感じで毎回起きるのはなんでなんでしょう?
 気を取り直して二度寝したけど普通に悪化してたので前回、芝居の前日に足を攣ったときにお世話になったコムレケアを服用しました。

 原因はひとつ、昨夜お酒をガブガブ飲んだせいです。「飲まなきゃ寂しくて眠れないから〜」という可愛らしい理由でもなく、もう帰宅時の水分補給にまず一缶、食後にワイン、寝る前に梅酒という地獄のような三連コンボ。おまけに寝る直前までリングフィットで筋トレをし、エアコンでキンキンに冷やした部屋で布団もかけずに寝るという体たらく。
 まるでこむら返りの神様を祀っているかのようなコンビネーション(こむら返り=足を攣ること)

 と、今の話は全部嘘です。違いますやっぱ全部じゃないです。
 正しくは飲酒の描写のみ嘘。昨日は朝イチに水を飲んだところ気管に入り咳が止まらず、帰宅時の水分補給にブラックコーヒー、食後に咳止め薬、寝る直前に筋トレし、寝る前に咳止め薬を飲んでいました。利尿作用でいうと酒とあんま変わらない気がするが気にしないこととする。

 で、今朝盛大に足を攣りました。コムレケア3回目なのに全く効きません。痛ってぇ〜。
 我が家のこむら返りコンビは父と私なのですが、父の原因は間違いなく飲酒。アルコールは脱水になりやすく、体内の水分が減ると足が攣りやすいのです。あと夜に緑茶(カテキンは利尿作用あり)を飲みまくる。トイレにも行きまくる。体内の水分足りてんのかね……。
 比べて私の理由は何一つわかりません。ギックリ腰もたまにやるので、そういう運命(さだめ)ーーー。


 ここまで長々と前置きをし、さて本題はといいますと、飲酒です。酒。alcohol。アルコホール。hは発音しません。アルコール。

 というのも、少年期から依存症関連の書籍をよく嗜んでいたのです。ドラッグ、ギャンブル、買い物、ゲーム、セックス、共依存など様々な依存症がありますが、関連書籍で圧倒的に数が多く、そしておもろいのがアルコール依存症。病気を面白いといってはいけないのかもしれませんが、酒がもたらす出会いや酩酊感が、本人や周囲を愉快な気分にさせるのは事実でしょう。
 とはいえ、私自身アルコールが苦手な体質なため、うまい酒、つまみ、素敵なバー、赤提灯などうんちくエピソードは特にピンと来ません。

 求めるのは①酒を飲むとどんな感じになるのか②酒を飲むとどんなヤベーことが起きるのか です。下戸にとっては酒うまいうまいだ〜いすきエピソードより、トホホなエピソードがオモロいというもの。

 というわけで今回は「下戸な私が選ぶ大酒飲みの自伝本」選。


『今夜、すべてのバーで\中島らも』


  アル中の楽しさを知るならこれ!な自伝的小説。

 牛乳とはちみつしか身体が受け付けなくなり、白い便が出ても尚酒を飲み続けた小島 容(いるる)だったが、とうとうアル中病棟に入ることに。
   頭が切れて理屈っぽくもユーモアのある小島は、アル中のことについての本も読み漁りなかなか詳しい。
落語のようなエピソードのおかしさに惹かれていると、いつの間にか酒の魅力、怖さ、自分のどうしようもなさがすぐ近くまで迫っている、そんな小説。

   一九九四年初版だが、アルコール依存症の診断やテスト、治療法などは二〇二一年とあまり変わっていないように思われる。著者の、自己を客観的に捉える能力の強さから「アルコールは、こんなに理屈っぽく飲めるのだ」と思わず感心しながら読んでしまう。

『楽天的闘病論 がんとアルコール依存症、転んでもタダでは起きぬ社会学\前田益尚』

『しくじらない飲み方 酒に逃げずに生きるには\斉藤章佳』

『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白\小田嶋隆』

 
   一冊一冊特徴はあるものの、(すごくざっくりした)本のスタイルというものが似ているためまとめて紹介。
 『しくじらない〜』は精神保健福祉士という、支援者の視点から見たアルコールとの向き合い方、あとの二冊は当事者のアルコール依存症の克服法が載っている。
 飲酒は文化であり、趣味でも、コミュニケーションの手段でもある。それでも尚辞めたい、辞めさせたいと思う人々の心が覗けてなかなか面白い。


『しらふで生きる 大酒飲みの決断\町田康』


   三十年間毎日酒を飲み続けた著者。
 なぜ酒を辞めたのか。理論やら屁理屈やらをつらつら並べつつ、結局ただ淋しくなんとなく流されてるだけなんだというのは「お腹空いてなくてもメシを食う」に言い換えると下戸でもなんとなくわかる気がする。メシ食わないとめちゃくちゃ寂しい。 

『もやしもん\石川雅之』

   
   菌が見える主人公がわちゃわちゃするマンガというイメージが強いが、舞台は農学部の発酵研究をするゼミの話。
納豆でも味噌でもなんでも作るよ!なゼミだけど、個人の酒類の製造が酒税法で禁じられているぶん、酒造りのマンガってなかなかなかったよねんと思っており。
 お酒作りっておもろいのね!そして石川先生の絵が上手い!私は長谷川先輩が好き。
 ( まだ未読ですが『ワインは、毒か薬か。\岩田健太郎・石川雅之(絵)』も近々読みたいと思ってます。薬だとしてもふらふらになっちゃうから飲めないけどね!)


『失踪日記2 アル中病棟\吾妻ひでお』


   失踪日記は主に〆切に追われた際の家出(ホームレス)エピソードだったが、失踪日記2は名前の通りアル中病棟に入ったときのエッセイ漫画。
    ギャグ漫画家ゆえ、『今夜、全てのバーで』をも〜っととっつき易くした感じの話でさらさら読める。


『現実逃避してたらボロボロになった話\永田カビ』

  
    お酒の飲み過ぎでアルコール性急性膵炎と脂肪肝になり、緊急入院になった著者のコミックエッセイ。入院記だ〜いすき☆人間なのでかれこれ二〇回は読み返してる、体験したことないことってなんでこんなワクワクするんやろ!?痛みを「ウニが腹の中を跋扈する」なんて表現、死んでも思いつかないもんな。
 「精神は病気でも身体だけは健康だったのに…… 精神も身体も両方病気になってしまった…‼︎‼︎」というセリフ。うーん、一生付き合わなければならない病気に向き合う辛さはどのくらい心を蝕むものなのだろう。世間様(そんな人は居ないのだけれど)への申し訳なさで自分の首を際限なく絞めてしまう気がする。

                                 (2021.9.2.)

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