2024.4.30 中国が外資を潰す『アリ地獄戦略』
先月の終わり、アステラス製薬の日本人社員が、中国政府によりスパイ容疑で拘束されるという事件が起きました。
なんでも、4年間の駐在を終えて日本に帰る途中、空港で捕まって、そのまま連行されてしまったと言います…。
実は、中国にスパイ容疑で逮捕された日本人はこれで17人目。
その一方で、巨大な中国市場の魅力に負けて、中国に投資をしている日本企業も少なくありません。
日本企業は、このまま中国とビジネスを続けていて大丈夫なのでしょうか?
今回は、このことについて少し書いていこうと思います。
今後の中国との付き合い方
台湾有事が徐々に現実味を帯びてきそうな昨今、ある方から質問がありました。
「日本企業が中国と付き合う上で、政治は政治、ビジネスはビジネスと割り切って考えていくことはできないのでしょうか?」
という、この質問について考えてみたいと思います。
まず、政治と関係のないビジネスというのは基本的には存在しません。
例えば、政治の決定によって消費税が8%から10%に上がるということは、あらゆるビジネスに影響を与えるわけです。
他には、コロナ対応の緊急事態宣言なども、1つの政治の決断によってサービス業が影響を受けた事例です。
但し、民主国家の場合は、決められた手続きに則って政治を行い、なるべく害が少ないように配慮するわけです。
一方、中国は違います。
中国では、日本企業が想像もつかないようなやり方で政治が動くことがあるのです。
中国が外国企業を潰す方法
1つ事例を挙げます。
2008〜2016年、馬英九時代の台湾では、こんな事がありました。
中国共産党の関係者が、台湾で行われていた魚の養殖業を見て、
「こんなにいい魚があるのに、中国に輸出しないのはもったいない!」
「中国に輸出すれば、利益が何倍にもなる!」
と言ったのです。
その話を聞いて、台湾の企業は中国への魚の輸出を始めました。
すると今度は、中国側は、
「土地をタダにする」
「税金を安くする」
など、甘い言葉で誘惑し、台湾の養殖業を中国へと誘致したのです。
さらに、中国にやってきた台湾企業に対して、中国側は、
「魚を蒲鉾や缶詰に加工しませんか」
「できたものは全部中国が買います」
などと、さらなる事業の拡大を薦めます。
それに喜んで、台湾企業がますます事業を大きくしていくと…、ある日突然、中国当局に、
「法律違反だ!」
と、いちゃもんをつけられ、台湾企業は中国の市場から追い出されたのです。
さらに、それまで中国が台湾から輸入していた魚に対しても、
「値段を下げろ」
「安くしないなら買わない」
と文句を言い始め、最終的には、中国は台湾産の魚を一切買わなくなったのです。
台湾企業は中国のために事業を拡大していたのに、急に売り先がなくなったのですから当然潰れてしまいます。
その後、中国が台湾から奪った技術で養殖した魚が台湾の市場でも出回るようになり、台湾の養殖業は全滅してしまいました。
中国ビジネスの罠
つまり、外国の企業を中国に誘致して人質化し、最後には技術も資本も何もかも奪ってしまうというのが、中国のビジネスのやり方なのです。
中国というのは、そういう国です。
これは、中国とはビジネスを絶対にするなというわけではありません。
中国と商売をする時には、このことを知っておかないといけないということです。
中国に注ぎ込んだ投資は、いずれ共産党によって奪われてしまう可能性があることを日本企業は知っておかないといけません。
中国への投資が、全て水の泡になっても構わないという覚悟が必要で、そうなった場合の逃げ道も予め準備しておく必要があります。
中国共産党が存在する限り、このリスクは常について回るのです。
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