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2023.2.27 スパイ気球は偵察ではない?…その真の狙いとは?

先日、アメリカが中国の偵察気球を撃墜したというニュースが最近話題になりました。

中国のスパイ気球は、アメリカのモンタナ州にある空軍施設の上空を飛んでいたため、核兵器の情報を盗み取っていたのではないかと言われています。

しかし、問題の本質は中国が情報収集をしていたかどうかではありません。

実は、この事件には今後の米中関係を大きく動かす、ある重要なポイントが隠されています…。

今回は、その点について書いていこうと思います。


休戦ムードをぶち壊したスパイ気球事件

中国スパイ気球事件は、一言で言えば、米中関係は非常に悪くなります。

米中関係は今、一時的に休戦ムードでした。

中国は国内、アメリカも国の内外で大変ということもあり、本格的な和解ではありませんが、この辺りで一時休戦しましょうと、習近平も戦狼外交を引っ込めていました。

それを示す典型的なものとして、中国が世界のリーダー等が集結するダボス会議へ副首相の劉鶴りゅうかくを送ってきたことです。

会議では、劉鶴とアメリカのイエレン財務長官が話をする場面も見受けられました。

中国は、ダボス会議に集まる無国籍企業の下請けではないと言っていますが、アメリカのナショナリストと戦うためには、国際的なグローバリストの
集まりであるダボス会議と融和しておこうという流れがありました。

このように、習近平もバイデンも米中関係を少し緩和しようと試みていました。

しかし、今回のスパイ気球事件で、これが全部吹っ飛ぶことになりました。

米中関係を悪化させた黒幕

ここから先は推測の域を出ませんが、今この段階で、習近平としてはこれ以上の対米関係を悪くしたくはありません。

恐らく習近平の知らないところで、彼の命令を良しとしない反習近平一派がスパイ気球を飛ばし、一時的な融和路線を潰してやろうと考えたのではないかと私は推察しています。

また、本来であれば2月5日辺りに、ブリンケン国務長官が北京へ赴き、部分的な米中関係の緩和について話す予定でしたが、今回のスパイ気球事件で無期延期となりました。

つまり米中関係は、この事件をきっかけに、また元の厳しい状態に戻るということです。

過去に類似する歴史的事件

今回の事件を受けて、2つの歴史的な事件を振り返ることが出来ます。

1つは日本の風船爆弾です。

太平洋戦争中、日本はアメリカの内地に爆撃を仕掛けるため風船爆弾を開発しました。

これは、日本からアメリカの方角に向かって吹くジェット気流に乗せて送られます。

物資が足りなかった当時、何とかこの風船爆弾でアメリカの内地に被害を与えようとしました。

これは、それほど大きな効果は発揮しませんでしたが、それでもアメリカ本土まで飛んでいき、偶然発見したアメリカ人が爆弾に触れて亡くなっています。

そして、もう1つはアメリカのU-2事件です。

U-2とは、高い高度を飛ぶスパイ偵察飛行機です。

翼が非常に長いグライダーのような形をした飛行機で、衛星が無かった冷戦時代、アメリカは油圧でこの機体を飛ばし、ソ連領内の軍事秘密を探っていました。

しかし、ソ連がこれを察知し、U-2は撃ち落とされてしまい、パイロットもソ連で捕まりました。

アメリカは裏でそんなことをやっていたのかと世界中に衝撃を与え、評判を落とした事件です。

そして、これがきっかけで米ソ関係に大きな緊張が走りました。

今回の中国スパイ気球も、このような事件からヒントを得たのではないでしょうか。



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