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2023.9.9 台湾有事の引き金を引くのは“日本”

昨年、日本と中国は国交正常化50周年を迎えました。

福島第一原発の処理水放出により関係悪化が加速するなど、決して良い雰囲気とは言えない状況ではありますが…。

日中関係は一つの節目を迎えたことになります。

そこで今回注目したいのは、『国交正常化』という表現。

この表現は、日本政府が正式な用語として用いているのですが…。

実は、この『国交正常化』という表現は、中国にとっての“台湾侵攻の口実”になる可能性があります。

今回は、この『国交正常化』という表現の危険性について少し書いていこうと思います。


対中外交に表れた日米の違い

まずは、中国との国交をどう表現しているか、日米で比較してみたいと思います。

アメリカは『米中国交“樹立”』という表現を、正式な用語として使用しています。

一方で、日本は『国交“正常化”』というのが正式な表現です。

なぜ、日本は国交正常化なのか?

日本と中国が“国交正常化”をしたのは、1972年のこと。

その当時、世界には“中国らしき国”が2つありました。

1つは、日本が1952年から国交を持った『中華民国』(台湾)。

もう1つは、新しく大陸で誕生した『中華人民共和国』です。

「中国らしき国が2つあるというのは異常だから、どちらか1つを正式な中国として認めて“正常な状態”にしよう」

このような流れから、『中華人民共和国』を正式な中国とすることにしたのです。

これが『国交正常化』という表現が使われるようになった理由です。

一方、アメリカは中華人民共和国と国交を『樹立』しました。

つまり、日本とアメリカでは、
日本:中華人民共和国は新しい国ではなく、元々あった中国という国の“正式な後継者”である。

アメリカ:中華人民共和国は、あくまで新しい国であり、その国と国交を開始するのだから『国交樹立』という扱いになる。

といった立場の違いがあるのです。

日本が“台湾侵攻”の口実になる?

日本は国交正常化をした当時、中国の
「台湾は中国の一部である」
という言い分に対し、
「理解して尊重する」
というスタンスをとりました。

もちろん、これは、
「台湾は中国の一部だ」
と認めたわけではなく、
「その主張は一先ず理解した」
ということに過ぎないのですが、中国は日本のこの立場を利用し、
「台湾が中国の一部だと日本政府が認めた」
と、しきりに宣伝しています。

日本の曖昧な立場を利用されてしまったのです。

そこから50年が経った今、この日本の曖昧な立場が、

中国:
「台湾は中国の一部だ。自分の国の一部を治めて何が悪い。50年前、日本も認めたじゃないか」
というような形で、“中国の台湾侵略の口実”にされる可能性があります。

そして、台湾が侵略されると、日本の生命線が中国に握られることになる…。

つまり、日本は50年前に日中国交正常化をしたことで、自分の首を絞める縄を自ら作ってしまったのです。

今後の日本がすべき動き

では、日本は今後どうしていけば良いのか?

中国の、
「台湾は中国の一部だ」
という言い分を理解して尊重するが、認めたわけではない。

その、“認めたわけではない”という部分を強調しなければなりません。

日本政府が、この部分について説明責任を果たし、国民に周知する必要があります。

また、アメリカが台湾の法的位置付けを認める台湾関係法を作ったように、日本も台湾関係法を制定することが非常に大切です。

台湾をどう法的に位置付けるか。
これによって、日本の運命が決まると言っても過言ではありません。

今まで日本政府は、中国の顔色ばかりを窺って、台湾を守るための行動を全くしてきませんでした。

このままでは、日本の運命が中国によって決まってしまいます。

正々堂々と台湾と国交を結ぶ、そのための法整備が必要なのです。

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