見出し画像

2022.7.29 日本人のお金4500億円が紙切れに?

今、プーチンが日本に対して、経済制裁の報復を開始しています。

それが、サハリン2をロシア企業に譲渡するように、という大統領令。

大手メディアでは、あまり報道されていないのですが、これによって、実は既に日本は大損失を被っています。

今回は、日本の北側で今何が起こっているのか、ほとんどのメディアが報道しない部分を書き綴っていこうと思います。


日本はどれくらいロシアに投資していた?

ロシアと共同開発を進め、日本企業も投資していた石油・ガス複合開発事業『サハリン2』。

そのサハリン2の運営会社であるサハリンエネルギーは、以下の4社が出資しています。

・ロシア国営会社のガスプロム
・イギリスのシェル社
・三井物産
・三菱商事

しかし、設立してからどれくらい運営資金を投資してきたのか?という話は
あまり出てきていません。

今年3月4日、ロイターの記事でも正確な数値は出ていませんが、三菱商事は2000億円、三井物産も2500億円相当ではないかと言われています。

総額4500億円が一瞬でゼロ価値に…

では、今回の一件で、『サハリンエネルギー』はどうなってしまうのか?

日本経済新聞も言っていませんが、はっきり言うと、完全に会社を乗っ取られたわけです。

ロシア政府によって接収されたと言って良いでしょう。

今まで民間ビジネスをやっていましたが、この企業は全てロシアのものになりました。

「えっ?なんで?」
と言われても、ロシア国家が決定したことなので逆らえません。

日本はロシアに対して経済制裁をしているのだから、報復として国家の命令で、この運営資金を全て接収しますと言われて取られてしまいました。

だから、今まではそれぞれの株の価値が2000億円、2500億円ありましたが、価値はゼロになったわけです。

三菱商事は2000億円、三井物産は2500億円を少なくとも取られたということになります。

サハリン2につぎ込んできたお金は全部無駄になった…、博打で擦ったのと同じことです。

2社が出した運営資金ではあっても、元は日本の、日本人のお金です。

もちろん今まで、儲けてきた分はあると思います。

天然ガスが毎年1000万t産出されて、そのうち600万tを日本向けに輸出する権利も持っていました。

日本の液化天然ガス輸入の10%近くは、このサハリンエネルギーから来ていました。

安定供給できて、毎年利益が上がるわけですから、それによって三井物産も三菱商事も利益を得ていたでしょうし、4500億円相当全てを損したとは言えません。

しかし、初期に投資した資金の全てを回収できるほど、まだ儲けてはいなかったでしょう。

イギリスと日本、対応の違い

一方、イギリスのシェル社は、2月末には撤退方針を明らかにしていました。

これは、戦争が起きた途端に維持できないと判断したからです。

もちろん、ただ撤退するだけでは資金を回収できないので、インドのエネルギー企業連合に権益(持ち株)を売却する交渉を進めているようです。

インドの企業は、僅かな額でもシェル社から株を買えば、そこで自分の国に輸入できる権利も出てくるということでしょう。

日本もロシア経済制裁を始める前に、こうなることは予測できたはずです。

しかし、それを粘りに粘って、
「天然ガス輸入は大事だから最後まで諦めない」
と言っていました。

諦めないと言っても、会社が日本にあるわけではないので、プーチン大統領が接収すると決めたら取られてしまいます。

今更、文句を言っても何も変わりません。

モスクワの仲裁裁判所に申し込んだところで、向こうの司法で対応するのですから、どうしようもありません。

三井物産も、三菱商事も、企業としては大損することになってしまいます。
これが厳しい世界の常識であり現実です。

サハリン2から日本人が学ぶこと

これはロシアだけではなく、中国投資でも同じことが言えます。

何百億円も投じて作った最新鋭の自動車工場であっても、様々なハイテク企業の製造工場でも、中国国内では中国共産党政府が接収すると言えば、そこでおしまいです。

「我が国に反抗した企業である」
「スパイ行為を働いた」
などと難癖を付けられて、当然そういった行為をしていなかったと講義しても中国では通用しません。

初めは中国側から中国に来てほしい、工場を作ってほしいなどと三拝九拝していました。

しかし、今や向こうの立場の方が優位になってしまい、
「これは接収します。中国の国内法に従っているので合法な措置です」
と言われたら、日本企業はどうしようもありません。

個人的に思うことは、今、中国に進出している日本企業は、有事になれば全部取られると思います。
その時は人質も取られてしまうことになります。

向こうにいる駐在員やその家族もいますが、その人たちの命があって日本へ返してもらえるだけでも良い方だろう、ということになると思います。

しかし、万一そうなった時に、生きて帰って来れるのか、安全に帰って来れるのかは誰にも分かりません。

せめて家族だけでも早く日本へ帰らせておいた方が良いと思うのですが…、何かされてしまった後では、取り返しがつかなくなってもおかしくありません。

はっきり言って中国の方がロシアより、もっと怖いです。
日本に対して、直接領土を奪うと主張しているくらいですから。

普通に考えてみれば、そのような国と安心して経済上のお付き合いなんてできないのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?