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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
世界中には、本当にいろいろなお薬があります。
さてさて、では、今回は、ダイエット中のみなさんが、是非に!と
欲しくなるようなお薬をご紹介しましょう。
では、お薬箱を開けてみましょうか。

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「食べなくても平気な薬」

食べなくても生きていける。
理想に思えますか?
このお薬は、1537年、
イギリスで密かに完成しました。
この薬の開発を命令したのは、
時の王、ヘンリー8世と、
主治医であった、アルフレッド・モームです。
馬上槍試合で負傷した王は、
次第に肥満してきた上に、
長い間、毒殺の不安にも悩まされていました。
そこで、医者でもあり、
製剤師でもあったハワード・デルハムに、
食事を取らなくても、生きられる薬を製剤するようにと、
とんでもない命令を出したのです。
もちろん、開発費用は、国庫から出ます。
たしかに、ハワードは、
難病の治療薬をいくつも開発していましたが、
食べなくても生きられる薬とは!
歴史書を何十冊も紐解き、
研究に研究を重ねて、
ようやく、類似する効果の薬に出会います。
資料は革の巻物で、著しく古く、
不明瞭な製剤料は、実験などで補うしかありません。
刻一刻と悪化していく王の健康状態と、
まさに、追いつ追われつの日々。
そして、ついに、1543年の春。
囚人を被検体にした実験に成功します。
まるまる一ヶ月間、囚人は、
一度も食事をしていないのに、
まったく健康なままだったのです。
ハワードは、歓喜して研究の成果を
王とアルフレッド・モームに献上しました。
しかし、ハワードは、秘密を守るために殺害されます。
調剤の成功を知る囚人も、すぐに処刑されました。
調剤法が記された書物は、
聖ジョージ礼拝堂の地下書庫から発見されました。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「食べなくても平気な薬」処方

モンクス・フード・・・・・・・・全草3本
ホースリーク・・・・・・・・・・煎じ汁、小カップ2杯
ヴァームース・・・・・・・・・・小カップ2杯
オーダンジュ・・・・・・・・・・・小匙1杯
牡牛の肝油・・・・・・・・・・・小匙2杯
蜂蜜・・・・・・・・・・・・・・大匙1杯
ヒポクラス・ワイン・・・・・・・小カップ1杯
牡蠣の乳・・・・・・・・・・・・大匙2杯
アスプクサリヘビの毒のシロップ・・・大匙1杯
べトニー・・・・・・・・・・・・全草3本
バーベインの葉・・・・・・・・・20枚

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諸注意
モンクス・フード、べトニー、バーベインの葉は、
採集してすぐに、これでもか!と言うくらいに、
磨り潰してください。
磨り潰した後は、目の細かい布で濾しましょう。
アスプクサリヘビは、かなりの猛毒ですので、
手指に傷がないかよく調べてから取り扱いましょう。
殺してはいけませんよ。
毒は、活きの良い物が一番なのです。

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備考欄
食べなくても、平気であると言うだけで、
食べたいという欲望を抑えるお薬ではありません。
ダイエットに利用しようとしているなら、
あまりお勧めいたしません。
食べたい!という衝動を抑え込むことはできないのです。
ただ、食べなくても生き続けることができるという、
そういうお薬なのですよ。
食べるという行為は、心身両立のものです。
生まれてこの方、身体が欲するままに、
食べるという行為を続けてきたならば、
食べなくてもいいという状態に、
まず、慣れなくてはいけませんね。
今まで食事に使用していた時間を
まったく別のことに使用したりする、
好きなように食べられない病気ならば、
悪化させないためになどですね。
食べなくてもいいわけですから、
やはり、痩せます。
このお薬の場合、痩せるというのは、
副作用みたいなものなのです。
つまり、骨皮筋衛門になってしまうわけです。
骨皮筋姫かもしれませんが。
ヘンリー8世は、かなりの肥満でしたから、
痩せなくては、生命の危険がありましたからね。
まあ、肥満大国であるアメリカには、
わりといいかもしれません。
しかし、食べるという幸せを高める行為とは、
簡単にサヨナラできるものとは思えません。

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