#11【営業ノウハウ】No More自社開発!
今回は営業ノウハウというか考え方というか微妙なところなのですが、お客様への価値訴求に有用な考え方、ということで【営業ノウハウ】カテゴリとして書きます。
ときにB2BのSaaS営業の方にはきっとお役に立てるかと思います。
(システム刷新を検討されている日本企業の方々には耳が痛いかもしれません・・)
さて、いきなり厳しいことを言いますが、
日本企業はシステム導入がド下手です。
SAPで営業を経験してこれをより強く感じたと言うか確信を得たのですが、誰がなんと言おうと譲りません。
ド下手です。
SAPのERPは世界中の各業界トップクラスの企業が最適化に最適化を重ねて洗練した業務の最適解が詰まった、最強の標準化ツールだと思います。
つまり、とりあえずそこにある業務フロー通りに運用すれば、世界で最も最適な業務に標準化できてしまう、ということです。
もちろん細かな設定は豊富なパラメータによって設定可能です。
スポーツや習い事をやってきた方はイメージが付くと思いますが、茶道でもゴルフでも空手でも、先人たちが築き上げてきた”型”があると思います。
習い始めはこの”型”を徹底的に身体に染み付くまで繰り返し、習得できたら徐々に自分に合わせてカスタマイズし、自身の型としていきます。
いわゆる”守破離”ですね。
当然、習いたての人がいきなり自己流のほうがもっと良い、とかドヤ顔で言い出すと、周りに鼻で笑われたり師匠にボコボコにされたり、最悪破門されてしまうわけです。
ここまでで言いたいことはわかったと思いますが、日本企業はまさにこの意味わからん初心者みたいなことをシステム導入でやってしまうのです。
せっかく”守破離の守”が詰まったSAPを導入しても、”守”をぶち壊して自社向けに都合の良いようにカスタマイズしてしまうのです。
この結果、せっかく何十億も投資してSAPを導入しても、結局表面上の業務はシステム化されたけど根本的な課題は未解決、という状況に陥ります。
様々な課題の根本原因である”現状の運用”を変えること無く、あろうことかそれを”強み”と勘違いして、”守破離の守”を捻じ曲げて多額のカスタマイズ費用を払ってでも踏襲してしまうのです。
そしてその結果が、時代の変化や技術革新に置いていかれてしまい、崖っぷちに立たされた段階で追いつこうとするも、過去の遺産にしがみつくためにまた何十億、もしかすると百億超えの再投資が必要になるという地獄です。
古くからの日本のSAPユーザーが騒いでいる2027年問題は、誰であろうユーザー自身の過去の過ちが招いたことに他ならないのです。
これを私は”自社開発の悲劇”と呼んでいますが、この悲劇を繰り返さないために、全ての企業は自社開発を今後辞めるべきだと強く主張します。
まとめると、自社開発のデメリットは主に以下の3点が挙げられます。
①陳腐化
②固定化
③ガラパゴス化
①陳腐化
まずそもそも、自社開発は時間とコストがかかります。
技術革新や文化の変遷などによる変化のスピードが加速する今後の世界において、この制約により変化に対応できないことはビジネス上大きなリスクであることは明白です。
変化のたびに柔軟に対応しようとするたびに細かな改修が必要になり、コストとリソースがかかるばかりか時間もかかるために迅速性が失われてしまうからです。
この問題を小手先で解決しようとすることで陳腐化していくのです。
様々な要因に伴う改修を回避しようとすることにより、変化に伴い発生する微妙なズレをExcelや運用によって対応するオペレーション工数増加も大きなコストになってしまい、生産性の低下を招きます。
これからの世の中において、陳腐化のスピードはますます上がっていくでしょう。
②固定化
自社開発したシステムは資産となるので、減価償却が必要になります。
当然償却が終わるまでは他のシステムに切り替えないという判断する企業が多いので、失敗に気づいたとて切り替えまでに数年を要してしまい、陳腐化は更に進行してしまいます。
また、自社開発したシステムは開発ベンダーによる保守も必要なので、ベンダーロックインのリスクも発生します。
さらに、上記で言及したとおり自社開発では必ずと言っていいほど現行業務を踏襲するので、手作業がシステム入力になるなどの表面上の効率化は履かれますが、業務運用上のそもそものボトルネックが解消されず根本的には何も変わらないということになります。
今後の世の中では激しい変化に迅速かつ柔軟に対応できることが企業の競争力、競合優位性となっていくため、固定化もまたビジネスにおいて大きなリスクとなります。
③ガラパゴス化
今後の世界において最も大きなリスクはこのガラパゴス化かもしれません。
人口減少や少子高齢化による労働人口不足、化石エネルギーの枯渇などに対応し、カーボンニュートラルも目指さなければならないため、今後の世界においては様々な”資源”の有効活用がキーになります。
そのためにはもはや個社最適ではなく社会最適を目指していくという流れになっていくでしょう。
競争領域における企業の強みは、これまでの資源集約・資源依存(例えば24時間365日迅速な配送など)ではなく、変化に迅速かつ柔軟に対応して顧客や市場、社会にその時々で最適な”価値”を提供できることにシフトしていくでしょう。
一方で協調領域においては、限られた資源を有効活用するための”共有”がポイントになってきます。
いわゆる”シェアリングエコノミー”や”プラットフォームエコノミー”と呼ばれる世界です。
デジタル庁がその設立に際して標榜していたとおり、各業界ごとに各民間企業にバラバラに散在していた情報を、共通情報プラットフォームに集約して、業界内のプレイヤーがそのプラットフォームにアクセスしながらビジネスを行うことで各業界内の資源が共有され最大効率で活用されます。
このプラットフォームにアクセスするには、当然ながら各プレイヤー(企業)は各々勝手に自社開発したシステムではなく、容易にアクセス可能な汎用的なシステムの利用が必要になってきます。
そんな世界で仮初の強みに固執して”自社の自社による自社のためのシステムと運用”を継続することは、社会と繋がれず取り残されるリスクにつながってしまいます。
ではどうするべきか
この記事をお読みの皆様であれば、既に答えは出ていることかと思います。
汎用的なシステム、つまりSaaSを利用することです。
しかも、最も多く利用されているトップシェアのSaaSである必要があります。
①’ 陳腐化の回避
SaaSというものは、ベンダー側が時代の変化やレギュレーションの変化、技術の進歩などにあわせて標準機能をアップデートしていくサービスです。
さらにトップシェアのSaaSは、多くのお客様の声を集約し、一般的に必要と思われる追加機能を優先的に開発してリリースしていきます。
つまり、業務の最適解がどんどんできあがっていくシステムです。
この日々洗練されていく最適解を使い続けることで、陳腐化は回避可能になります。
②’ 固定化の回避
SaaSはサブスクリプションで利用料金を支払う形式ですので、資産ではなく経費として処理できます。
また、オール・イン・ワンでなくベスト・オブ・ブリードのシステム構成が組めるため、最適でない領域はどんどん他のものに切り替えていくことも可能です(スイッチング・コストは場合により少なからずかかってしまったりしますが・・)。
また、個社向け開発を許さないSaaSだからこそ、現行業務への固執を断ち切って、根本的なボトルネックを解消するための業務運用そのものの変革に踏み切ることが可能です。
現状行っている業務ができないからSaaS導入に踏み切れない、という考え方をお持ちの方がいらっしゃれば、躊躇せず「それじゃあ何も変わりませんよ。課題を解決したいなら業務運用を変える覚悟を持って変革に臨んでください」とはっきり言ってあげましょう。
③’ ガラパゴス化の回避
これはもう上記で書いたとおりなのですが、将来的に確立されるであろう共通情報プラットフォームにアクセスしうる汎用的なシステムとはつまり、”最も多く利用されているSaaS”です。
各企業にとっての競争領域と協調領域はそれぞれどうあるべきかを明確にしたうえで、協調領域を実現するためのSaaS導入を検討することで、持続可能な社会の実現に近づいていくのです。
「そうは言っても業務運用の変革なんて簡単にはできないよ」という声も聞こえてきそうですので、近々それを実現するための”Fit to Standard”の考え方についても書いていこうと思います。
ちょっと長くなりましたが、SaaS提案の訴求ポイントとして是非使ってみてください。
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