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新規事業に斬新なアイデアはいらない-そのサービス既にあるよと言われたらチャンスなんだよ。

おはようございます。本業のタスクを消化する時間よりもnoteで記事を書いている時間の方が圧倒的に長いプロコンです。
新規事業を立ち上げるというと、何かアイデアが必要かのように思いますがアイデアを最初に思いついて形にしてそのまま成功を収めた事例はほとんど聞きませんね。

今回は、新規事業を立ち上げる際にアイデアを投資家や知人に相談したところ「そのサービスは既にあるよ」「聞いたことあるよ」と言われても大丈夫ですよ。という話をしようと思います。
つまるところ、斬新で誰も思いついていないアイデアを基に新規事業を考える必要なんて全くないですよ。という話です。

以前、似たような論点で記事を書いたことがありますが、下の記事は「アイデアがない人でも起業できるような方法」について語りました。
今回は、思いついたアイデアが既にあると言われても問題がないですよという話を世界的に有名な企業の具体的事例を出しながらお伝えします。

新規事業アイデアに対して簡単に言える批判的な言葉ランキング第一位「そのサービス既にあるよ」

起業を目指してたり、新商品開発、新規事業立ち上げをする時によく言われる言葉です。プロコン調べですが、”新規事業アイデアに対して簡単に言える批判的な意見ランキング”で堂々の第一位を飾っています。

そもそも批判というのはコスパ良く頭が良く思われる手段なんです。特に深く考えてなくても「ダメな点」というのはすぐに言えるんです。
世の中に完璧なものなんて存在しないので、当然批判というのは必ず見つかるんです。大ヒットした映画も小説もドラマも、漫才も全て批判する点は見つかります。大人数が考えて作り上げたものに対してですらそうなんですから、少人数で考えたアイデアなんてものは批判になれた現代人からすれば緒ちょいのチョイです。
その割に、周囲の人は批判的な人の方が的を射ているように思えるのだから質が悪い。

今回は、そんなキング of 簡単な批判である「そのサービス既にあるよ」がいかに意味のない言葉であるかを説明します。むしろ、「わたし、ビジネスのこと何にも分かりません。」と無知をさらす言葉であることが分かっていただけると思います。

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これは何も分からないエル

サービスが既にあるということは、新規事業アイデアの価値が認められている

就活をテーマに大学生たちのヒューマンドラマを描いた作品で映画化もされている、朝井リョウの小説「何者」。この作品の中で登場する

頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな。
10点でも20点でもいいから自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。これから目指すことをきれいな言葉でアピールするんじゃなくて、これまでやってきたことをみんなに見てもらいなよ。

というセリフがあります。

これと同じように、新規事業や新規商品、アイデアというものは全て市場に出して、みんなに見てもらって評価されていきます。

多くの人はこのことが分かっていません。

そのサービスが既にあるということは価値が認められている(少なくとも存在は許されている)ということなんです。もちろん、赤字事業でどうやっても黒字化が難しそうとかはあるかもしれませんが、それはそれで未然に失敗を防げて良いことです。

既にあるサービスから100%のシェアを奪い取ろうとするのは、現実的に難しいでしょう。ネットが発達して便利になった世の中でも、FAXの無くならない先進国もあるそうですし。

100%のシェアを奪えないと同時に、「100%の満足を確約しているサービス」というのも存在しないのです。
今存在している商品・サービスに対して不満を抱いている人は必ずと言っていいほど存在します。

存在するか分からない「ぼくのかんがえた さいきょうの びじねす」の市場を創造するよりも、不満を持つ人に対してアプローチする方がよっぽど現実的じゃないでしょうか。

「俺は完全に新たな市場を作り出そうとしているんだ!これが獲れたらブルーオーシャンで総どりだー!!」って考えている人がいるなら相当な天才か頭がおめでたい人です。そして残念なことにほとんどの人が頭のおめでたい人なのです。

新規事業で斬新すぎるアイデアは市場が存在しないことを疑うべき

例えば、まだ市場に存在していない素晴らしいアイデアがあるとします。その新規事業をスタートするにあたって参入障壁となるものは何でしょうか?

法律が邪魔をする?
最初に大きな赤字を掘る必要があるから莫大な資金が必要?
希少な人材を大量に雇用する必要があるから確保が難しい?
知的財産権をとる必要がある?

相当に大きな参入障壁が無い場合、あなたの考えた素晴らしいアイデアの価値を認めてくれる市場は存在しない確率が高いです。もしくは存在するけど、非常に小さくビジネスが成立しない可能性があります。

分かっていただけますか?
「誰でも簡単に参入できるのに誰も参加していない」ってことは、「市場が存在していない(需要がない)」とは考えられないでしょうか?

そうでなければ、合理化が進んでいる資本主義社会であなたより人材も資金も豊富な大企業がやらない理由が無いですよね?

例えば、「炎上する可能性がある」とか「法令のグレーゾーン」、「アダルト領域で大っぴらに参入できない」などのように大企業だからこそできないものなのか?大企業が参入しない理由が明確なのでしょうか?

例えば市場は存在するけれども、「少人数の収入としては十分だけどリスクを負ってまでやる事業ではない」と判断されるということはあると思います。
つまり中小規模のビジネス出なければ成立しないものはこれに当たるでしょう。

とにかく、自分よりも強者である大企業が参入しない理由を考えて納得感が無ければその市場は存在しない(妄想)可能性が高いのです。

「いや、俺は発想の天才なので、マジで誰も考えついていないことなんで」

あの有名なシャア・アズナブルも言っています。「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを」、と。

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機動戦士ガンダムのシャア

簡単に説明しておくと、現代社会は人類史上経験したことのない繁栄をしています。
※「世界人口白書2021」によると全世界の人口は78億人7500万人

あなたは確かに発想の天才かもしれません。それでもこれだけの数の人間がいて、あなた以外がまったく思いつかないことはないと思います。

あなたが考えた新規事業のアイデアが、「思いつくけど誰もやれない理由」を持っていて、そのだれもやれない理由をあなたが解決できるなら超セクシーで魅力的な事業だと思います。是非出資させてください。

新規事業で大事なのは最初に出すことよりも、市場成熟時期に消費者を捕まえることである

仮に、新規事業のアイデアが本当に誰も思いついていないオンリーワンのアイデアだったとします。そして、実現したのもあなたが最初、正真正銘ファーストペンギンだったとします。

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それでも、新規事業の成功が約束されるわけではありません。なぜなら、その新規事業のアイデアを市場に出した瞬間にライバルたちは「あ、そんなビジネスありなのかよ!」と知ることができるのです。

つまり、運よく斬新な新規事業のアイデアを持っていて、更に運が良く新規事業のアイデアを実現できて市場に出せたとしても、ライバルたちの参入は避けられません(アイデア勝負の場合)。

そのため、ファーストペンギンのようにアイデアの実現を急ぐのではなく、「この市場、事業は伸びそうだな」というタイミングで消費者・市場に好かれるプロダクトを作るべきなのです。

Googleも12番目の検索エンジンだった。

最初に出すことよりも、市場が成熟する時期に消費者を取り込めるかが重要であることを示す実例があります。

大企業のアイデアも最初のアイデアではない
・グーグルは12番目の検索エンジン
・フェイスブックは10番目のSNS
・iPadは20番目のタブレット

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出典: エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか

GAFAのような超巨大企業のアイデアでさえ、ファーストペンギン的なアイデアではなかったのです。
大事なのはアイデアよりも消費者をどう取り込むか?というマッチョイムズだと思うようになりましたか?

GoogleもFacebookもAppleも最初のアイデア実現者ではなかったかもしれません。
それでも、市場成熟期にGoogleはページランクを使って消費者の欲しい情報を届けました。Facebookは最初ハーバード大学に絞って消費者のニーズを満たしました。Appleは洗練されたデザインとブランド力で市場を獲得しました。

アイデアを実現する速さを競う勝負をしているのではなく、アイデアを消費者に好まれる形で提供する勝負をしているのです。
そして、この勝負に勝った人が蜜の滴る甘い果実を口にすることができることを覚えておきましょう。

スモールビジネスの教科書を執筆しています。

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参考

スモールビジネスではあんまり必要ないかもしれないけども、投資家から調達したいスタートアップ希望の人は投資家の目線を知っておくと良いですよ。

何事も顧客目線が大事ですね。

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