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デザイン思考が"人生"を変える

デザイン思考をご存知でしょうか?

「デザイン」というときれいな、おしゃれなものをイメージするかもしれないですが、もっと大きな意味で捉えると「現状をよりよくするための工夫」がデザインなのです。きれいな、おしゃれなものだけではなくて、日常で使っているものや着ているもの、使っているサービス、ひいては会社の事業やそれぞれの人生など、ありとあらゆるところに「デザイン」があるのです。

デザイン思考とは、システムのデザインや事業計画のデザインをする際、既存のものに囚われすぎず、イノベーションを創り出す考え方です。この考え方は、人生にも応用することが可能です。

『デザイン思考は世界を変える』の本の内容のご紹介と、デザイン思考を人生に活かすには、という視点で書いてみたいと思います。

デザイン思考とは?

本の著者がCEOを務めるデザイン・ファームIDEOは、大手自転車部品メーカーから、売り上げが伸び悩んでいる部門において、何か新しいことに挑戦したいと依頼を受けました。
今までの「デザイン」では、自転車をデザインして終わっていました。しかし、「デザイン思考」では自転車をデザインするだけではなく、自転車の販売店に対して、店舗内の販売戦略を立案するところまでやっていったのです。従来の「デザイン」から、一歩先を進んでいる思考がデザイン思考なのです。

「私たちがデザインしようとしているのは、名詞ではなく、動詞なのだ」
ー インタラクション・デザインの提唱者 ビル・モグリッチ

『デザイン思考は世界を変える』p.172

商品開発など何か作るときにやりがちなのは、「名詞」を作ってしまうことです。例えば「電話」(名詞・モノ)ではなく、本来は「電話をかけること」(動詞・経験)を実現する商品をデザインしなければならないのです。テクノロジーに頼り、性能が良いモノ(=名詞)を作ることが当たり前の時代から、人間中心のモノが必要とされる時代に変化してきているのが、現代です。

数年前に話題になったセグウェイ。今見ることはほとんどないのではないでしょうか。これは名詞を作ってしまった例です。確かに話題性はありましたが、セグウェイを実用するイメージがついていた人は少ないのではないでしょうか。

動詞をつくった好例としてはウォークマンです。
「音楽プレーヤー」という名詞の商品ではなく、「音楽を聴くこと」という動詞をまさに商品化したものがウォークマンです。移動しながら音楽を聴くという価値観がまだない世界に、移動中に音楽を聴くという動詞を作った商品です。
「音楽プレーヤー」としての良いものを作ろうとすると、音質だとかパフォーマンスなどの性能の良さなどに目がいってしまい、そもそもの利用シーンとして移動中に聴くというところにはきっと目を向けていないと思います。ウォークマンに追随したのがあのAppleのiPodであり、いかに影響を与えた商品だったかがわかると思います。

商品開発の例を挙げましたが、「デザイン思考」は商品開発以外でも生きるものだと思っています。
資格などを持っていたとしても、それを「どう使うか?」が大事なのです。英語学習であれば「TOEIC900点」を目指すのはいいことですが、その身に付けた力が使われなければ意味がありません。ただ単に英語を学ぶのではなく、それを何に使うのか、例えば貿易ビジネスで使うのか、個人の人脈を増やすために使うのか、といったように、動詞つまり「行動」に重きを置くことが重要です。目の前の部分ではなく、全体をみる思考がデザイン思考なのです。

行動を変える仕組みづくり

ビジネスでも、個人でも、大きな変化を起こすためには、それぞれの「行動」を変化させていくことが必要になります。
ただ、人々にいきなり新しい物事を試してもらうのは簡単ではありません。個人でも「明日から朝活するぞ!」と思ってできる人は少数でしょう。だからこそ、人々の「行動を変える」のではなく、「既存の行動に結びつける」ことで結果につながっていきます。

これを現実に成果を出した例が、2005年に開始された、Bank of Americaのサービス、"Keep the change(おつりを貯めよう)"というサービスです。これは、3ドル50セントをデビットカードで払ったら端数の50セントが顧客の預金口座に勝手に貯まるというサービスです。
既存の行動(=デビットカードで支払い)に新しいサービス(=支払いの端数が口座に貯まる)を結びつけることで、250万人の新規顧客獲得に繋がりました。

これを人生に当てはめるのであれば、既存の行動に新しく身につけたい習慣を結びつける方法が考えられます。

例えば、読書の習慣をつけたいのであれば、通勤時間に本を読むなど。それを実践するコツとしては、最初は小さく始める、スモールスタートが良いです。読書なら1ページでも良いので、毎日読むのがおすすめです。「1ページでもいい」と思うことで、習慣化するためのハードルを下げ、①まずは習慣化、そこから時間やページ数を増やすなど②読書量を増やす、そして本の読み方を工夫するなどして③内容の質を上げる、というステップを踏むことで、より質の高い読書習慣に繋がっていきます。

私もこの方法で本を読むことの習慣化に繋げられました。本を読むことが習慣化して、日常に入り込んでくるようになったので、朝の時間以外でもちょっと時間が空いたら読む、といったように行動が変化するようになりました。

人生はプロトタイプ

プロトタイプとは、ある製品の原型あるいは試作品のことである。システム開発においては、実際に近いシステムイメージを試作品として提供すること

https://www.weblio.jp/content/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%88%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97

商品やシステムを作る前に、イメージとして作成するものをプロトタイプと言います。これにより、作りたいもののイメージを合っているか確認したり、違いがあれば修正をしていくものです。制作に着手する前にプロトタイプで確認することによって、手戻りを少なくして、最短のスケジュールで実現することが可能になります。

人生を「漂う」のと、人生を「デザイン」するのとでは、大きく違いがある。

『デザイン思考は世界を変える』p.292

人生もデザインする対象であり、「プロトタイプ」だと言うことができます。自分のなりたい姿を描いて、そこに向かうために、試行錯誤を重ね、修正しながらゴールに向かっていく。商品のように物体的な形はありませんが、人の成長も同じものだと思います。この世界で唯一の存在である自分の人生が、うまくいくかどうかなんて、この世の誰にもわかりません。それよりも失敗することは大前提として、今はプロトタイプの時期だと思って、修正しつつ行動を重ねていくことでなりたい姿ややりたいことが実現できるのだと思います。

まとめ

『デザイン思考は世界を変える』を読んで、人生はプロトタイプなんだから、いろいろ失敗したり、試行錯誤して当たり前なんだと思うことができました。加えて、自分の(本当の!)現状を認識することも大事だと思います。理想を追うことも大事ですが、現状自分はどこにいて、あと何が必要なのか理解していないと正しい方法に進むことができないからです。

けっこう人間は願望的に自分のことを捉えがちな生き物なので、できてると自分では思っていても、実際できてないことが多々あるからです。私は最近やっと自分のできないところや現状を受け入れられるようになったので、自分を良くも悪くも受け入れることの価値の実感がとても強くなりました。

自分の人生をデザインできるのは自分しかいない。そう思って、日々何をして過ごすのか?もっと大きな視点で考えられないか?を考えるようにしています。失敗したり恥ずかしい思いをすることもありますが、少しずつでも前に進んでいく人生にしていきたいと思います。どんな人生にデザインしたいのか、考えるきっかけになれば幸いです。


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