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逆さまに降臨した文学の神様

2月から転職し、バタバタの毎日を過ごしている今日この頃です。

休みの日も、仕事の宿題と家事とですべての時間が埋まってしまうという良くない状態……。時間の使い方が下手なんですが、読書も書き物も進まない……なんとかしたい……

転職するまでの一年間ほどは、小説を書いて生計をたてる人になりたいと考え、いくつかの文学賞に応募しました。

昨年末と1月末に結果が出たのですが、文章でごはんを食べるのはそんな簡単なものではない、ということに再び気付かされました。

と、去年はそんな感じで小説書きのプロになるために必死だったのですが、今現在はというと、その気持ちはスッキリとなくなっています。

なぜそんなにスッキリなくなってしまったのか。

去年起こったちょっと不思議な出来事について、お話ししたいと思います。


去年、私はOfficial髭男dismに突然ハマりました。
いきなり小説とは全く関係のない話のように思えますが、これがのちに伏線となるのです。

ヒゲダンにハマって、ライブに行きたいと思うようになりました。

よし、近場の大阪会場でのチケットをとろう!

そう思いましたが、大阪は競争率が高くてとれそうにないので、10月末の東京の武道館ライブに申し込んだところ当選しました。

喜び勇んで東京へ。

ライブ当日のうちに関西へ帰ることができなかったので、一晩東京に宿泊して、翌日帰ることにしました。

ライブ翌日、私には、帰るまでの時間に行きたいところがありました。

YouTubeの「ほんタメ!」チャンネルをご覧になっている方ならおそらくご存知であろう、東京駅近くにある「八重洲ブックセンター本店」です。

この書店は、街区の再開発計画に伴って、2023年3月末で一旦営業終了されることが決まっていました。YouTubeで時々見かける現在の姿を生で見てみたいと思っていたので、このタイミングで訪れるチャンスがめぐってきてラッキーでした。

八重洲に宿泊していたので、身だしなみを調えてから、歩いて八重洲ブックセンターに向かいました。Google mapに従って歩くと、目の前に見えてきました。

店内に入り、最上階からじっくり見ようと思い、エレベーターで最上階へ。
普段は立ち止まらないようなジャンルの棚もじっくり見ました。
平日の昼間だったので、どの階も人影は少なく、ワンフロアに2~3人のお客さんだけがいるような状態でした。

上から順に降りてきて最後に1階へ到着しました。文芸の新刊などが置いてあるフロアです。

新刊コーナーなどを見たあと、文芸誌のコーナーがあったので足を運びました。

いくつかの文芸誌をパラパラめくったあと、元の場所に戻して、並べられた表紙を眺めていました。

その時です。

なぜだか分からないのですが、少し気分が重くなり、「自分はこの世界に入るべきではない」という思いが頭をよぎったのです。

文学賞に応募しても結果を残せていない私が言うのは、「偉そうで申し訳ありません!」という感じなのですが、「君はこの世界へ来てはいけない」と誰かに言われたような気がしたのです。

しばらくそのまま文芸誌コーナーでぼうっと立ちすくんでいましたが、そのあとはレジに行き、1冊だけ文庫本を買いました。訪れた記念に、八重洲ブックセンターのブックカバーが欲しかったんです。
買った文庫本は、青山美智子さんの「木曜日にはココアを」でした。

あの時文芸誌コーナーで感じた嫌悪感がなんだったのか、今でもよく分からないのですが、「今書いてる応募作を応募し終えたら、その後は小説家を目指すのはやめよう」と、潔すぎるくらいにその時あっさり決めました。

このnoteのトップページで書いている自己紹介のコメントも、それまでは「作家志望者です」という文言を入れていたのですが、関西に帰ってきてから削除しました。

普通は「神が降臨した」などというと、素晴らしいアイデアが降ってきたり、「君はこの世界に入るべき人だ」といった神様が背中を押してくれる前向きなものを想像しますが、私の場合はまったく逆でした。
神は降臨した(ような気がする)けれども、神様が逆さまになって降りてきたような、なんとも言えない切ない降臨でした。

当時、応募しようとしていた文学賞が〆切間際で、何度推敲しても良くならず苦しんでいたということが原因だったのかもしれません。
だから自分の潜在意識として「楽しく小説を書きたい」と願う気持ちが強くなっていて、無意識に呼び寄せた神様だったのかもしれません。

ですが、それだけではなく何か不思議な直感みたいなものが働いた、と今でも思っています。

ヒゲダンにハマらなければ東京に行かなかったし、八重洲ブックセンターに行くこともなかったと思います。
スッパリと決断することができたのは、さかのぼるとヒゲダンにハマったからだと思っています。伏線回収です。

その後、幸いにも、楽しみながら小説を書き続けられそうな別の方法を見つけました。

Kindle出版です。

仕事に押し潰されることなく、久々に見つけた小さな楽しみを大切に守っていきたいと思います。


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