見出し画像

就活生と考える働き方改革【前編】|「出産と仕事の両立」に関する6つのナゾ


1.はじめに

皆さんはじめまして。株式会社SAKURUGにてインターンシップをしています、Izawaです。
私は現在大学4年生で、2025年入社に向けて就職活動を行ってます。企業説明会に出向くと多くの企業が「仕事と家庭の両立が可能です」というお話をされます。就活生としては「時短勤務制度」や「フレックス制度」のような出産や育児と両立しながら働ける制度や環境がある企業は、長期的なキャリアを考えると大変魅力的に感じます。

その一方で時短勤務制度はあっても、一旦会社を離れてから新たに短時間の正社員として就職できる企業はまだまだ多くない現状があることが就職活動をする上でわかりました。私の親世代では、出産や育児を機に正社員の仕事を辞めて、その後専業主婦やパートをする、家庭中心の働き方がマジョリティでした。当時出産・育児を経て正社員として働き始めるハードルはとても高かったようですが、今でもこの状況が続いていることに就活生になって初めて気づき、正直驚きました。

私がインターンをしているSAKURUGは短時間正社員の積極採用を行っていて、実際に時短メンバーの話を聞くとそれがSAKURUGの入社理由の一つになった方も少なくないことを知りました。そうすると、もっと潜在的にその働き方を求めている人がいると思いますし、短時間勤務の制度だけでなく短時間勤務の正社員採用を推進することで更に多くの働く人のニーズに寄り添えるのではないかと考えています。

そこで前編と後編に分けて「社会で期待されている仕事と家庭の両立とその実現」に向けた取り組みや現状をクローズアップすることにしました今回の前編では、働く人の目線から「仕事とライフイベント両立のリアル」を見ていき、近年の働き方のトレンドや新しい働き方の可能性を考えていきます。私と同じように就職活動・転職活動中の方やライフイベントとキャリアの両立を考えている方などにこの記事が届いて、新しい働き方の可能性やキャリアの選択肢が増えたと実感してもらえると嬉しいです。


2.「仕事と出産・育児」両立の高いハードル

そもそも日本の女性にとってキャリアの構築と家庭を持つことの両立はどれほど難しいのでしょうか。女性が働くことが当たり前となった現代では、結婚を機に退社するという意味の「寿退社」という言葉を以前よりも聞かなくなりました。
一方で「育休」のような女性が育児と仕事を両立しやすくなる風潮は耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか。

「女性の3人に1人は出産で退職する日本」のナゾ

厚生労働省の調査「育児・介護休業法の改正について」(2021)によると、日本では出産前有職者の30.5%が出産を機に退職しています。これは働く女性の3人に1人が出産を機に仕事を辞めていることになります。育児休業制度を利用する人は年々増加しているものの、出産を機に退職する人は未だ少なくないですね。

※図1


「育休取得ができない職場」のナゾ

わざわざ出産を機に退社しなくても、育児休業制度があるのではという意見もあるかもしれません。しかし同調査では、育児休業制度の拡充や利用が正規雇用社員にのみ限定的であるということが明らかになっています。パートや派遣社員といった非正規雇用形態の職員として働いている女性は、そもそも育児休業制度がないもしくは使えないことが多く、大半が出産後に離職しているのです。昨今育休推進の傾向が強まっていますが、実際のところはまだまだ見えていない課題が多いですね。

※図2 パート・派遣社員の就業は40%と正規職員の半分程である
パート・派遣社員が育児休業を利用できる割合は正規職員と比べても少ない。


「退職理由からみるリアルな就労継続ハードル」のナゾ

そもそも女性が妊娠出産を機に退職する理由の根本は何でしょうか。厚生労働省の調査(2015)によると、正社員と非正規社員の多くが退職理由として「家事・育児に専念したい」、「出産後家事・育児と仕事の両立が難しい」や「退職を奨励された」と回答しています。退職する女性の多くは「就業継続か育児」の二択を迫られており、育児を優先したため結果的に仕事を辞めざるを得なかったということがわかります。

また以下の図からも仕事と出産・育児の両立が困難な背景にはいくつもの原因があるようです。単に育休制度を設けるだけでは不十分で、育休を取りやすい雰囲気や復帰後の保育園探し、時短勤務の実現などまだまだ改善点があることがわかりました。

※図3


3.政府の対応とスポットワーク需要の対比

「このピンチに政府はどう動くか」のナゾ

妊娠・出産を機に退社してしまう女性の経済的損失や企業の労働力・雇用の損失を受けて、政府は妊娠、出産、育児と仕事の両立支援を推進する法整備や取り組みを進めています。具体的には労働時間の短縮やフレックスタイム制度を導入しやすくするために労働者の福祉に関する法律や雇用保険法の一部改正を行ったり、助成金、支援事業、認定制度を設けたりするなど多くの予算を立てて女性が働きやすい環境を実現する予定です。

最近の「スポットワーク需要」のナゾ

政府が女性の就業継続を支持する一方、近年は新たな就労スタイルである「スポットワーク」が人気を集めてきています。スポットワークとは、短期間および短時間に単発で働ける、「継続した雇用関係」のない働き方のことです。雇用契約を結ばない「ギグワーク」や短期雇用契約を結ぶ「単発バイト」もスポットワークに当てはまります。【※4】自分の都合に合わせて柔軟に働けるため、主婦や高齢者、会社員の副業など幅広い層で広まっている働き方です。
スポットワーカーの数は年々増加しており、スポットワークの仲介大手4社(Timee、シェアフル、 ツナググループ、Wakrak)の会員数は2023年時点で1000万人を超えています。【※5】
こうしたスポットワーク需要から「限られた時間でも働きたい人」と「労働力を今すぐに確保したい企業」それぞれのニーズが顕在化されたようです。しかし長期的に見ると、働く人にとってはスキル向上になりにくいことや、企業にとって働く人が活躍できる場所を整備しにくくなり、企業と適切な人材のマッチングが進まないことなど根本的な問題の課題は残りそうです。企業労働力不足を補うプラットフォームに需要が高まっていますが、長期的な問題の解決にはもう少し別のアプローチが必要かもしれません。

スポットワークのメリット・デメリットまとめ
メリット
 (働く側)柔軟な働き方ができる
 (企業側)即時的な労働力不足の解消ができる
・デメリット
 (働く側)長期的なスキルの向上やキャリア構築に繋がりにくい
 (企業側)適性のある人材の長期的な確保が難しい


4.時短勤務正社員の採用を当たり前に

「広まらない短時間正社員採用」のナゾ

これまで女性の就労の現状や正規雇用や非正規雇用が抱える課題、就労形態のトレンドを見てきましたが、最後に「時短正規雇用の採用」がもっと広まることでこうした課題の解決に繋がるということを強調したいと思います。

前述の通り、私がインターン生として働くSAKURUGでは時短勤務メンバーの約9割が正社員として採用された、他社から見ると珍しい企業かもしれません。ただこの「珍しい」とされる時短勤正規雇用の採用をいつか「当たり前」の選択肢にしていかなければならないのも事実です。このまま女性の機会も経済的損失も増えていくままでは、日本の企業の労働者として行く先が不安ばかりですので、少しでも早くこの制度を導入できる企業が増えることを強く望みます。

今回は働くひとの目線から時短正規雇用や女性の就業継続の現状や課題ついて見てきましたが、次回は「なぜ未だに時短正規雇用のハードルが高いのか」を企業目線から考えていきます。政府が女性の就業継続を推進する中、労働者を受け入れる企業側の現状や課題を詳しく見ていきましょう。

参考
※図1:「育児・介護休業法の改正について」厚生労働省,p3,2021,(資料出所)国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査(夫婦調査)」
※図2:「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」厚生労働省,p1,2023
※図3:厚生労働省「平成27年 仕事と家庭の両立支援困難に関する実態調査把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果」p26,27,(2015)
※4:スポットワーク協会HP
※5:スポットワーク協会調べ・日本経済新聞社報道