主さん
主さん 艶男と知りながらも
あっしを買いに来たのかい?
女の格好させられたあっしは
下手な見世物と違い
簡単に落ちたりはしないんよ
されど 主さんは毎度やって来ては
あっしに袖にされるのに
どうも変える気はないんしね
笑いながら酒を呑む
主さん 男色でもないんしのに
あっしばかりを買いに来る
艶男は珍しくありんすから
欲しがる男は多いけんど
主さんはなんか違うね
されど 主さん またも袖にされては
グイッと酒を口にする
「今夜は月が欠けてるから」と
理由付け 帰って行く
本当は嫌いじゃないんすよ
"主さんなら"と思ってありんす
されど 花魁は高嶺の華
簡単に許すわけにはいけないんすよ
されど 主さんは今夜も訪れて
あっしを指名するんすね
どうも今夜の月は満ちてるから
盃を交わしましょう
どうも満月は人を変えるから
盃を交わしましょう