購入しませんか?
シェア
さくらゆき
2022年8月3日 16:17
「…うん。私も、恒太のこと好きだよ。もう、気持ちを抑えたりしない。」栄子は戸惑いつつも、恒太の想いを受け入れた。「恒太ー、栄子ちゃーん!」山村夫妻が恒太を追って駆けつけた。「父さん…母さん。」「恒太、恒太なのね!!」波留日と恒孝は、息子の顔を見て、彼の中から亡霊がいなくなったことを理解した。
2022年8月10日 17:06
人影ははじめ、像を結んでいなかったが、ゆっくりと着物姿の男性へと変化していった。男性の顔は、恒太や恒孝の面影があり、血縁であると分かった。「こうの…しん様。」さくらが、男性の人影に話し掛けた。「え?」山村家全員が驚きの声をあげた。「急に着物の女の人と男の人が見えるようになったんだけど。栄子…あれって幽霊だよね?」恒太がさくら達を指差した。
2022年8月17日 17:42
「…喋ったっ!!」この場にいる誰もが、恒之新の亡霊が口を開くとは思っていなかった。「恒之新様、正気に戻られたのですね!」さくらが恒之新に駆け寄り、恒之新の手を握った。2人ともこの世の者ではない同士だからか、触れ合うことが出来たのだ。「──やっと会えたのは良いけど、何だか複雑だね。」恒之新とさくらを見て、恒孝がぼやいた。桜の木の祟りに振り回されたのは、栄子だけではなく、代々の山村家の
2022年8月24日 19:40
恒之新の亡霊は、長く会えなかった恋人の再会を妨害され、不快感をあらわにしていた。しかし、先程のような殺気はなかった。「質問とは、何だ」恒之新が栄子を睨んだ。「あなたが村に祟りをもたらしたのなら、何があなたをそうさせたのですか!」栄子は怯まず恒之新に問いただした。
2022年8月31日 17:35
「某は、山村恒之新。山村家は元々御家人で、それ程高い身分ではなかった。商人や豪農の家の方が、豊かに暮らせていたぐらいだった…この村に来たのは、元服して役職に就いてから。さくらと出会ったのは、その頃だった。」恒之新はさくらに熱い眼差しを向けた。