この1冊『N/A(エヌエー)』(年森 瑛・文藝春秋)
第167回芥川賞の候補作
年森瑛(としもりあきら)さんの「N/A(エヌエー)」は、第167回芥川賞候補作に選ばれました。
今回の候補作家は、史上初の全員女性でそのうちのひとり。
また、この作品で文學会新人賞を受賞しています。
女子高生のまどか
まどかは、中学生のときから食事を制限していて、低体重の体形を母親や先生から心配されます。
勝手に拒食症と決めつけられて発せられる言葉にまどかは違和感を感じ、その心に届くことはありません。
かけがえのない他人
まどかは、「かけがえのない他人」がほしいと思っています。
どんなことをしていてもきらめいて見えるような、代替不可能な関係をまどかはそう名付けました。
小学校を卒業する間近に告白されて付き合った男の子は、「かけがえのない他人」ではありませんでした。
うみちゃんとの出会い
高校生になって、教育実習生でやってきていたうみちゃんと知り合い、付き合わないかと誘われます。
まどかは、同性の関係なら「かけがえのない他人」に近づけるかもしれないと思い、お試しで付き合うことにしました。
でも、それも「かけがえのない他人」の関係ではありませんでした。
not applicable
年森さんは、この作品に「N/A(エヌエー)」というタイトルを付けました。
N/Aは、not applicable=「該当なし」の意。
生理によって「女」となり、低体重で「拒食症」と決めつけられ、異性と付き合うことで「恋人」にはめ込まれ、女性と付き合うことで「LGBT」の仲間とされます。
まどかは、どれにも自分を感じることができません。
そんなまどかを理解してくれる「かけがえのない他人」を探し続けてます。
それは「自分探し」でもあります。
リアルな世界でも、SNSの世界でも、慎重に言葉を選びながら生きる人々の姿も透けて見えます。
他人との距離に心を消耗させながら、自分探しを続けていくのでしょう。
いつか「かけがえのない自分」を見つけ、自分らしく生きることができるといいと思います。
そして、いつかだれかにその自分をわかってもらえるかもしれません。
ぐりとぐら、がまくんとかえるくんのような「かけがえのない他人」がたったひとり見つかればいいのではないでしょうか。
時とともに、人との関り方や距離感がずいぶん変わっています。
わかものだけでなく、すべての人が悩んでいることなのでしょう。
🌸さくらワーカーズオフィス🌸
「N/A」は、🌸さくらワーカーズオフィス🌸に置いています。
🌸さくらワーカーズオフィス🌸をご利用のみなさまは、いつでも自由に手に取っていただけます。
フリースペースは、ゆっくり過ごしていただくことできます。
さくらワーカーズオフィス
代表 山口哲史
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