宮崎駿の「君たちはどう生きるか」を観た感想と考察 ※ネタバレ注意
観るきっかけは前日のTwitter
ながやまこはるちゃん(藤本タツキ)に感化されて急に観たくなった。
7/14が全国公開初日だったのですが、前日まではあまり観る気はありませんでした。ジブリは好きだけど全作見ている訳じゃないし、風立ちぬは見ていないし。熱心なジブリファンて訳でもないし。情報もほぼないし。
でも前日にこのツイートをみて、藤本タツキファンの私は「やっぱり観に行こうかな!ネタバレされないうちに!」と直感で決めてしまった。(単純)
映像
映像はどのシーンを切り取っても額縁で眺めていたいくらいハイクオリティだった。
アニメーションには詳しくないけど、映像が本当にすごいんです。
どこが凄いのかを一言でいうと「どのシーンを切り取っても、額縁にいれて飾りたくなる」ところ。
最初の火事のシーンのムンクの叫びのようなおどろおどろしさ、人物の動作の細やかな動き(武器を作る手先の描写とか、集合恐怖が起こりそうな魚や鳥のシーン、内臓のシーン…等)、ジブリらしい自然の描写…。
絵だけでもシュールレアリズムの美術展に行った気分にさせられました、私は(私だけか⁇)。
細かい描き込みもすべて考えつくされているんだろうなあ~と思うと、どの瞬間も見逃したくなくてずっとスクリーンから目が離せなかった。なぜなのかとかは専門じゃない私には解説できないけど、素人にも凄い!と思わせる何かを感じました。
そして問題のストーリー
タイトルは宮崎駿の伝えたいことであって原作本はあまり関係ない?
「君たちはどう生きるか」って吉野源三郎の原作があるはずなんですが、正直言って本の内容は関係ない。タイトルと、作中にその本が出てくるだけです。
なのでたぶん、宮崎駿がこの本からインスピレーションを受けて、出来上がったという意味なのかもなと。
ここは私が原作未読なので(視聴後買いました)わからない部分もあるのかもしれない。
むしろこれで気になった人が原作を買って読むことが宮崎駿の狙い????
宮崎駿本人ですら理解できてない映画
正直一度見ただけじゃわかりませんでした。
宮崎駿本人ですら「わからない」といっているくらいだから当たり前なのかもしれないのですが。
↑引用元
私的には「ジブリの今までの作品の各シーンの切り合わせ」×「宮崎駿版不思議な国のアリス」×「シュールレアリズム」×「etc...」みたいな感じでした。
宮崎駿のインタビューでも、自分自身でこの作品のことをわかっていないし、作家が夢に見たよくわからない内容を映像化したような意識があるんじゃないかと思う。
不思議の国のアリスみたいな…。
ただ、この映画を観て伝えたいことは、世代交代するにあたって、大叔父は下の世界にとどまることを選んでいるけど、主人公の眞人は、やがて火の海になる世界だとしても、そこで友達を作り生きてゆくことを選ぶ。
そして、この映画を観ている人はどういう世界を作っていくんだ?という問いかけもある気がする。
誰かから宮崎駿へ、宮崎駿からまた次の世代の誰かへ…ずっと続いていく踏襲。
その他細かいところの感想
感想を言語化するのがとても難しくて、記事にしていて自分でも何が書きたいのかわからなくなってくるんですけど、
・最初の火事のシーンはムンクの叫びのようで、戦争や火事のおどろおどろしさが伝わってきて良かった。
・火事で母親を失ってからの眞人があまりにも喋らないので、最初ショックで話せなくなったのかと思った。
・夏子って母親の妹なの?父親それですぐ再婚するんかい!好きすぎでしょ。
・父親の経営者としての権力者感すごい。息子も妻も大切にしていそう。でもちょっとズレていて、眞人の複雑な心境は理解していなさそう。
・東京から田舎に越してきた眞人の学校初日でするケンカシーン。ケンカ相手の子ども手に鎌を持って労働してるんだけど、鎌じゃなくてお互い素手で殴り合ってケンカしてるのは地味にすごい。
(小学生の頃のおじいちゃん先生が、「俺が小さい頃は子どもでも皆ナイフを持ってたけど、人に向けるやつは一人も居なかった」と言ってたのを思い出した。そういうのは弁えてる上でのケンカなのがすごいなと。)
・アオサギの序盤の不気味さはやばい。千と千尋の序盤の、あっちの世界へ入り込む前のトンネルシーンみたい。(トンネル前で両親に置いてかれかけて鳥の鳴き声と石の像が不気味なシーン。)
・重合体恐怖症注意報。(私は平気だったけど)
・ヒミのシーンを観て、やっぱり宮崎駿はマザコン入ってんのかなー。ジブリの女の子って母で姉で妹で彼女で恋人で妻だよね。男の理想。
・おばあちゃんたちが良い味を出してるけど、おじいちゃんは一人なのは平均寿命なのかハーレムなのか??
・キリコさん頼もしいな。現代では腰やられてるけど。
・わらわらの正体はわからないけど、輪廻転生のうちの転生前の存在だとは思う。
・わらわらを食べるペリカン、人を食べるインコ(でも妊婦は食べない)、インコの王、アオサギ、大叔父などは多分すべて何かのメタファーなんだろうけど、一度見ただけではわからなかった。
・宮崎駿の同人作品という感想を見たんですが、その通りだなと思う。
そして運命のエンディング
エンディング曲が米津玄師!!
いや、チェンソーマンの曲作ったりした時も思ったけど、好きなものと好きなものが不思議な縁で繋がっていくの凄すぎる。勝手に運命を感じる。
2023年はチェンソーマン第二部連載中だし、米津玄師のライブに初参戦できたし、なんとなく惹かれて行ったジブリ映画のEDも米津玄師が担当しているし、なんなんだろう素敵すぎる。
ということで、最後の最後まで楽しんで?視聴できました。
まとめ
ディスク化したら買うと思います。
でもこれは普通に人にはおすすめしにくい。万人受けはしないと思う。
親子でも恋人でも友達でも一緒に観に行きにくい誘いにくい。
一人で観るのが正解な気がしてしまう。売れるのかなーー…。
今、映画ってわかりやすくて絶対面白いものしか売れない気がしていて、値上がりもしていて、映画を見る人も減っていて、トトロみたいにファミリー向けでもないし、美術的なものが好きでないと厳しい気がしてしまう。
学校の美術の授業で、良くわからないアーティスティックな映像を見せられた、みたいに思う人もおおそう。
とりあえず、ジブリファン…というか宮崎駿ファンや美術館で楽しめる人、不思議の国のアリス、考察ありきのストーリー、薄暗い話が好きな人などなら観に行っても楽しめるのかな?でも万人受けしないし、リアルではお勧めしにくい。
そして感想文を書いてもうまく言語化できない。アーティスティックすぎて。
でも宮崎駿の売れなくてもやりたいことをやるぜ感を感じて、とても良かったです。拍手。
私は好きだしBlu-rayも買います。
おわり。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?