eスポーツスポットを閉鎖した私が、開店にかけたお金事情を公開
みなさまこんにちは
桜野はるです。
2021年8月末日――
私が代表と務める「株式会社chouette」が運営していた「e-Sports cafe&Gym chouette」が閉店することとなりました。
2021年10月7日現在、店舗の解体が終了し、後のテナントとして寄席がはじまりますので、興味のある方はぜひ。
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そこで、2年前の開店準備段階から思い出を振り返ってみようと思います。
ビジネスって大体こんな感じでできるんだなぁ。
程度に話をするので、創業をしたいと思っている人や、お金事情などに興味ある人は是非ご覧ください。
構想段階
株式会社chouetteは2019年9月10日に設立されましたが、実は個人事業主として同年6月7日に私が創業しております。
このときは単純にeスポーツのオフラインイベントを個人で小さくやっていて、お金がちょこちょこ発生するようになった為、個人事業主として立ち上げたのですが、様々な構想が生まれるようになります。
それが、AI×eスポーツという枠組み。
AIの画像・映像認識でeスポーツプレイシーンを分析して、それを基にコーチングを行うという内容でした。
これを達成するために、eスポーツプレイデータが莫大に必要となり、その流れでお店を立ち上げることにしたのです。
表向きにはeスポーツプレイ環境を広めたり、eスポーツについて身近になってもらったり、eスポーツを通したコミュニティスペースとして運営をしているということを言っていましたが、裏の理由としてはAIの開発に関するデータを集めるための場所として活用しようという内容でした。
そのため、様々な場面で費用が必要であると考え、ざっと見積もった結果2,000万円は初期段階で必要だと考えたのです。
ただ、AIシステムについては昨年中頃に、担当するはずだったプロジェクトマネージャーが新型コロナウイルスに感染し、重症化して闘病の末息を引き取ったことから、プロジェクトが凍結し未だ再開はできておりません。
これによって、我々は店舗運営をする真の理由を失いました。
さて、構想段階のお話に戻ります。
ここで、私は事業計画書を作り出すことにしました。
事業計画書については色々書き方があるので、ここでは特筆しませんが、1ヶ月の時間をかけて綿密に作り上げます。
どうして事業計画書を作るのか。
それは自分達が見直す為でもありますが、私の場合は「銀行に融資をもらうため」でした。
「え? どうして桜野さんが自分で投資しなかったんですか?」
たまにこういう話をされます。
私は会社を立ち上げる際、可能であれば少額でもいいので融資をしてもらうことにしてます。
というのも、信用情報が強固になるからです。
実際、コロナによって危機に面した時、普段から返済を行っていて信用を積み重ねていた結果、危機対応融資でchouetteは生きながらえることができ、今もこうして事業活動を続けることができております。
事業計画作成
本記事ではお金事情についてを主としているので、融資を受けた際の明細について簡単に公開したいと思います。
(万円)
【設備資金】
店舗初期費用 :336
家 具 類 :111
PC 周辺機器 :324
レジ用iPad :12
内装工事費 :255
システム開発費:432
WEB制作費 :100
【運転資金】3ヶ月
人件費 :90
地代家賃 :81
管理費 :45
合計 :1786
自己資金 :486
借り入れ資金 :1300
これが信用金庫から借り入れを行ったときの金額です。
合計の投資で1786万円を入れました。
400万円(当時の税率で32万円)でAIシステムが作れるはずがないので、
その他、日本政策金融公庫から借り入れを行っており、合計で数千万円もの金額をeスポーツ関連事業で借り入れられたということになります。
もちろん、コネや人脈で融資してもらったわけではありません。そんなことしたら癒着になりますかね笑
事業計画書とそれを立証するための根拠・証拠を揃えて計画に信憑性をもたせた結果、融資が決定したわけです。
ただ、新型コロナウイルス感染症の影響により、計画が大幅に変更となりましたが…
実行
さて、融資相談してからおそよ1ヶ月程度で融資が実行されます。
今回の場合ですと、2019年8月頃に融資が実行されました。
当日、事業で使う実印と銀行員を持参し、契約書を交わします。
そうすると、翌日には契約した銀行の口座に入金されています。
1300万円の資金が口座に入った状態で信用金庫の通帳を渡されます。
実際には手数料やら印紙代やら引かれているので、1300万円満額ではないんですけどね。
そして、ここから必要経費をどんどん使うことになります。
おまけ
chouetteでは、現金での取り扱いを一切しませんでした。
それは「現金を管理するリスクとコスト」を削減するためです。
私の友人が立ち上げた飲食店を立ち上げ時期だけ手伝ったことがあります。
このとき、アルバイトの子がレジからお金をヌキヌキしていたことがあり、そのときのお金は合計で13万円でした。
13万円あれば一人でザキンでシースーできますからね。
こういうリスクに加えて、釣り銭準備金や現金を銀行とやり取りするなど、時間的コストがかかり、これを従業員が行うとしたらもちろん給料が発生します。
ですので、売上の2%〜4%ほどの手数料を支払っても、キャッシュレス決済のみ対応とすることにしました。
世代が若い人たちをターゲットにしているので、すんなり受け入れられ、他のeスポーツスポットは現金チャージ式を採用していることが多く、チャージ金額を気にしなければならなく、ゲームに集中できないという声もあったことから、20代のお客様には受けがよかったです。
クレジットカードやデビットカードを持っていない10代からは、Paypayの現金チャージで対応していただいてたので、チャージが足りないとなると親御さんからアカウントに送金していただくか、スタッフがセブンイレブンまでQRコードを持ってついていき、チャージ後に決済してもらったり、最悪の場合は特別に現金対応しなければならなかったりしたので、このシステムは10代からはあまり人気ではありませんでした。
ただ、我々の目的であったプレイデータを収集するという観点で、一番はじめに行おうと思っていたゲームタイトルがAPEX・R6Sだったことから、対象年齢的に10代半ばをターゲットとしておりませんでしたので、キャッシュレス化はいろんな意味でメリットがあったと思われます。
まとめ
今回は店舗のお金事情と店舗開店に踏み切った理由についてのお話でした。
eスポーツスポット事業については撤退をいたしましたが、これからeスポーツ×ITの分野でどんどん事業展開を行おうと思っております。
また、eスポーツスポット事業撤退までの経緯についても、私の時間ができたときに公開しようと思います。
1年9ヶ月の間、e-sports cafe&Gym chouetteをご利用してくださった皆様、見守ってくれた皆様、ありがとうございました。
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