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【名医取材記#7】「名医」ではなく「チーム医療の時代」という話

変わりつつある名医のイメージ

『国民のための名医ランキング』編集部です。
今回の取材記は、現在よく使われている「チーム医療」についてです。
度々、医師や読者の方から「何をもって名医というのか」という「名医の基準」について聞かれることがあります。これについては、先日の「取材記#2」に書きましたが一応、現時点で編集部が考える「名医の基準」は最新版『国民のための名医ランキング』の8ページに掲載しています。
実は何をもって名医かというのはなかなか難しい問題で、正直に言うと手探り状態ではあります。患者さんの人生観まで考えると、「それぞれにとっての名医」がいるのは当然で、比較すること自体難しいかも知れません。
しかし、「病気を確実に治療する」という目的に限定すれば、まだまだ医師個人の能力・技量に相当の差があることは事実ではあると思います。ある取材した医師は「自分も患者になるときが必ずくるから」と一緒になってこの「名医とは何か」を考えてくれました。この時のインタビューは最新版『国民のための名医ランキング』に掲載していまので、ぜひご覧になってください。

チーム医療の時代

さて、その医師の能力や技量というものついて、よく言われることがあります。それは、現在の医療現場では、一人の医師個人の能力が問われるのではなく、「チーム医療の時代」だということです。かつては名医といわれる医師の「個としての能力」が治療結果に直結していたのが、現在は「チームの総合力」が治療結果に反映されるというものです。「名医」や「スーパードクター」と医師個人に焦点を当てるのは「時代遅れ?」という考えです。
たしかに「チーム医療」の充実は患者にとって大変ありがたいことです。医師によって、診断や治療結果が変わってしまっては困ります。また、医師側にとっても一人の医師に患者が集中することなく、分散することでその診療科、病院の医療レベルが向上するという利点もあります。
以前は、例えば、外科と内科ではほとんど連携がなく、患者の情報共有も十分にはなされていませんでした。その弊害をなくすため、内科医、外科医、放射線科医、麻酔科医、病理医など複数の科が合同でカンファレンス(治療方針検討会議)を行うようになりました。個人の判断ではなく、複数の医師が診断や治療方針をチェックすることで、誤診などが防げるようになりました。また、患者と一番身近にいる看護師と医師の連携も大変重要です。日本の「国民皆保険制度」を高いベルで維持するためには、チーム医療のさらなる充実は必須でしょう。

結局問われるのはリーダーの能力?

しかし、チームの中心には「優れた求心力を持つ統率者」がトップとして全体をコントロールしています。これは、病院に限らずどこの組織でも同じだと思いますが、結局はトップの資質がチームの能力に直結します。
本書が「病院のランキング」ではなく、医師個人に焦点を当て紹介しているのにはそこに理由があります。取材した多くの医師から、「あそこは評判の良い病院だったが名医が異動して全く様変わりしてしまった」という情報が本当に多くありました。医師は病院を異動することが多く、病院や診療科の評価は固定的ではないということです。チーム医療によって治療のレベルは平均化しますが、結局は「誰がトップであるか」によって「チームの力」に差が出てしまうのが現実ではないでしょうか。

優れたチーム医療を牽引するのも名医の条件

日本は世界に誇る「国民皆保険制度」を採用しているので、患者を複数の医師に分担する必要があり、病院によっては担当する医師を指名できないことがあります。分野によっては、手術などはやはり担当する医師によって差がでることもありますので、誰が実際の担当医になるかはよく確認した方が良いでしょう。
しかし、チームのトップは、患者の見えないところで、診療科全体をカンファレンス等でコントロールしています。名医がいる診療科は高いレベルの医療を提供している可能性が十分にありますので、病院を選ぶ上ではその「チームを牽引しているのは誰か」というのは、極めて重要な判断材料になります。
まずは「評判の良い病院」を調べて行く方法もありますが、「所属している医師から病院を選ぶ」という方法がおススメです。
医師・病院選びには、3年間の独自調査、徹底取材をした『国民のための名医ランキング』を参考にして頂けたらと思います。
全国の名医を探す旅は続きます!




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