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父は泣いていた

もう15年になる、父がいなくなってから。

今思うと、父は頑張っていた、でもお酒を止められない自分にいつも蓋を閉めていた。

「お父さん、頑張ったよね!」と今なら私は言える、だって今の自分が自分に頑張っているって言えるから。


父は大手建築会社の一級建築士だった、仕事人間で、朝から晩まで仕事につき、私たち家族のために仕事一筋人間だった。

その父のお蔭で、母は専業主婦、弟も私も幼稚園から私立に行くことができていた。

外から見ると本当に温かい家庭に見えていただろう。。。

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でも私が覚えているのは、食事のあと、お酒を飲んで横になっている父の姿。

そして、ついに父がお酒に振り回されるようになった・・・もう定年間近のことだった。

それまでもお酒は飲んではいたけど、お付き合い程度

年齢と共に飲める量が減っていくのに体はそれ以上のお酒を求めていた

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「アルコール依存症」と診断された、もう20年以上も前のことだ


家の中はどんよりと曇っていた


「お父さん、お酒止めようよね、頑張って」(今から考えると本当に可哀そうなことを言っていた、逆効果だ)


周りからお酒を止めるように言われ、自分自身をも攻め立て


「寂しかったんだよね、お父さん」


母はそんな父を連れて地方のお寺の内観に行った。


そんな父から見えてきた記憶は、父のお母さん(私にとっては祖母)だった。

「仕事は疲れるよね、疲れた時は一杯ひっかけるといいよ」という愛する父のお母さんからの一言が、その後の父のお酒への勢いをつけたらしいことがわかった。

でも父はそれは気づいていない、なぜならそれを記憶していたのは潜在意識だったから。

お酒を止められない父のインナーチャイルドは泣いていた

周りからお酒を止めて欲しいことを言われたこと

止められない自分がいたこと

頑張れていない自分がいるということ

泣いていたのだ。。。

もし父が今生きているとしたら、私は父にこういうだろう

「お父さん、いつもありがとう。お酒飲みたいんだよね。。。疲れたよね。いつも頑張っているからだよね」って

もう父はここにはいないけど、自分の中のインナーチャイルドと話をするたびに父のことを思い出す

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