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漢方診療日記111-115

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記事一覧

「知ってもらえる安心感」漢方診療日記111回

先日、お世話になっている禅寺の住職から、どうしても「往診に行ってほしい」と連絡があった。話を聞くと、知人が鬱(うつ)だと言う。一代で企業を立ち上げた、社交的な人物だという。その人物の秘書からの伝言は「鬱になり、身体が痛いというので、話だけでも聞いてやってほしい」とのことだった。
 基本的に私は往診はしないが、いつも禅を指導してくれる老師の頼みなので断りきれず、出向くことにした。
年齢79歳、男性ー

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「疫病の不安は昔と同じ」漢方診療日記 112回

「日本のいたる所に薬師如来があるのは、なぜか?」と考えたことがあるだろうか?
私の実家の近く、西ノ京の薬師寺だけではなく、全国に薬師如来が祀(まつ)られている。温泉地に行っても、どこかに薬師如来の祠(ほこら)を見かけると思う。
昔は冬に風邪をひくと、それは「死」を意味した。肺炎になり、助からないと言われ、最後の神頼みで薬師如来に祈るという行為が一般的だったのだ。

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