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【読書記録】ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと


こんにちは、きくちです。
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いていますね。
2020年がもうあと4ヶ月弱だなんて信じないぞ・・・

さて、自粛期間が長く続いたこともあり最近は本を読むことも増えてきました。つい電子書籍で買ってしまうため、いい加減Kindle端末を買おうかと思っている今日この頃です。

今回は、最近読んだこちらの本を紹介したいと思います。


ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

概要

ニューヨークに拠点を持つアートディレクター、小山田育さん・渡邊デルーカ瞳さんが書かれた本です。
長年ニューヨークで活動してきたお2人が日本で仕事をする時に世界との認識のズレを感じ、日本の経営層にブランディングの大切さを伝えたいと思い筆をとったそうです。


ブランディングとは何か

ブランディングという言葉はよく聞くけど、どんなものなのかは知らないという人も多いのではないでしょうか。

しかし、海外では「商品を売る」ことと「ブランディング」はセットで考えられています。

世界のなかでの、ビジネスにおいての日本の強み。それはなんといっても日本の技術力の高さ、商品の品質の高さです。
では、日本の弱みとは何でしょうか? 世界における日本の絶対的な弱み。それは伝えることが不得意だということです。

どれだけ品質の高いものでもその商品の魅力が伝わらなければ売れることはない。日本の企業も海外のように経営にブランディングの思想を取り入れるべきではないでしょうか。

ブランディングとは企業の強みや「らしさ」を伝えることですが、そこで大切なのが「世界観を直感的に伝える」ことです。
言葉やビジュアルで表現することで、消費者により伝わる形に落とし込むことができます。

本質をわかりやすく概念化し、その概念を魅力的に表現することがクリエイティブの重要な役割なのです。


ブランディングのプロセス

私はWeb制作会社で新規Webサイトのグランドデザインを任されることもあるのですが、その時にいつもぶつかる壁が「どうしたらクライアントの持つ「らしさ」をユーザーに伝え、成果を出すことができるのか」ということです。
これはブランディングについて考えているのと同義だと思います。

本書ではブランディングを構成する要素やその1つ1つを作り上げていくプロセスについてわかりやすく説明してくれているため、非常に参考になりました。

著者のお2人の会社HY(NY)では、以下のようにブランドを定義されています。

ブランドの中枢部分をBRAND SYSTEM(ブランド・システム)、そしてこの軸に基づいて制作するウェブサイトやステーショナリー、内装、広告などの諸々の制作物をBRAND COLLATERAL(ブランド・コラテラル)と呼び、ブランディングをこの2本柱として捉えています。

ブランドシステムに内包されるブランドDNA(=そのブランド「らしさ」)の構築が重要だと言います。この要素がぶれてしまうとブランドの根幹から揺らいでしまうので、ブランドの指標となる考え方をここで定めるのは大切なことです。

ブランドシステムの構築に欠かせないのが、ヒアリング・分析です。
ヒアリングを通してクライアントから自社の理念やミッション、ブランディングを通して達成したいことなどを引き出します。

良いブランドの条件など、ブランドシステムを構築するのに考えるべき要素などを紹介してくれています。
このプロセスをおろそかにせず、ブレることのないブランドDNAを定義することができれば、ブランディングの成功はぐっと近くなるのだと思いました。

そこからビジュアルアイデンティティの構築、ブランドコラテラルの制作に進んでいくのですが、その要素を決める指標となるのはブランドシステムです。最初の段階でしっかりブランドシステムを構築することの重要性がわかります。

VI(ビジュアルアイデンティティ)の構築やブランドコラテラルについては実例を交えて解説してくださっているので、ぜひ読んでみてほしいと思います。


感想

ブランディングというと難しく考えてしまいがちですが、理念やビジョン、その企業(人)らしさというのは「ブランディング」という言葉がない時代から皆考えてきたことではないでしょうか。

しかしそれを考えてひたすら質の良い商品を作るだけではダメで、魅力的に伝える方法を考えなければ生き残れない時代です。

日本人は個を主張しない性質の人が多いですが、グローバル時代の今それは通用せず、いかにして商品やサービスの価値を伝えるべきか。その最良の手段がブランディングなのでは、と思いました。

デザイナーだけではなく、経営に近い人が読むともっと企業が成長するきっかけになるのではないかと思います。オススメの良書です。


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