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サンセバスチャンへの旅③(チリーダ作品鑑賞編)

今回のサンセバスチャンへの旅の目的は次の3つ!全3回仕立てでお届けしています。
① カンタブリア湾の海を堪能する!


② 美味しいシーフードを食べる!

③ サンセバスチャンが生んだ芸術家・チリーダの作品を鑑賞する!

今回は最終回、③芸術家・チリーダの作品を鑑賞するをお届けいます。
最終日はエドゥアルド・チリーダ(Eduard Chillda)というサンセバスチャンを代表する近代アーティストの博物館(Chillda Leku)に行ってきました。
チリーダというと、スペインの至るところで石と鉄を用いた彼の作品を目にすることができ、有名なものはサンセバスチャンにある、風の櫛。2021年3月24日現在、なぜか付近の展望スペースは立ち入り禁止になっていたので見ることが叶いませんでしたが、私が住むビルバオの街なかにあった近代アートの多くが彼のものだったと知り、一気に親近感がわきました。例えば写真はビルバオの市庁舎ですが、前にある金属のオブジェが彼の作品です。

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バスクの山と海からインスピレーションを受け、様々な作品を生み出していた彼は、フランスなど国外でも活躍した後、最後には生まれ故郷であるバスク地方に戻ってきて、自身の作品が人々に自由に見て回ってもらえるような、広大な屋外博物館を作ったそうです。
財政難からしばらく博物館は閉館していたようですが、私が行ったときには再開、堪能することができました。
このように、自然豊かな広大な敷地に彼のアートが点在しています。

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決められた回り方もない、直感にしたがって、好きに触って(座ったりするのはさすがにだめらしいですが)、味わって欲しいという彼のフィロソフィーが存分に現れた博物館でした。

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彼は、自分自身は「木」のようなものだとよく話していたようで、幹のようにバスクという地方に根をはりつつ、でも枝は天に向かって伸びているように、自身は世界に開かれているというメタファーを用いていました。そんな彼を表した作品もあります。

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実はチリーダは面白い経歴の持ち主で、なんと若い頃は地元のサッカーチーム・レアル・ソシエダでゴールキーパーとして活躍、その後大学で建築を勉強するも途中で辞め、パリ留学を経て抽象彫刻の世界に入っていったとのこと。
でも共通しているのは「空間デザイン」。空間をどう使うかを考えることに長けていたと、博物館では考察されていました。
まるで重力に逆らうかのような、巨大で不動の岩や鉄を用いた作品が多いので、一瞬自然の摂理に反しているような印象を受けるのですが、彼の作品はそれだけで成立するのではなく、周りの空間との共存が考えられているようです。

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サンセバスチャンという街へのオマージュであるとも言われている「風の櫛」に代表されるように、取り付けられた先の岩と、海と空と風など、周りのものと「一つ」になってはじめて完成されるものなのだろう、と感じました。
このように、彼自身はバスクのアイデンティティを強く認識しているけれど、恐らくフランコ政権時代の禁止令によって、バスク語は話せなかったようです。バスク人のアイデンティティと言語の関係は以前の記事でも少し触れましたが複雑だな、と思います。

実は英語も得意ではなかったらしいですが、フィリピン育ちの奥様が彼の最大の理解者で、事業の海外展開やマネジメント等を一手に引き受けていたらしく、奥様に捧げた展示室もあります。敷地内にはカフェもあり、彼の作品をゆっくり見られます。
サンセバスチャンの市街地からは、G2というバスに乗ってChillda Lekuまで30分程度。土日も含めて30分ごとにバスが出ています。
実は、今回宿泊したラ・コンチャ湾目の前のホテル(Hotel Niza)は、チリーダのご家族が経営に関わっているとのことで、彼の作品が多く飾られています。なんと100年以上前のエレベーターも現役で使われています。NHKの「旅するスペイン語」バスク編でも取り上げられていました。
そんなこんなで、チリーダ作品を堪能したサンセバスチャン滞在でした。

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