#エッセイ|30歳になって思うこと
30歳。
女性にとって、人生を考える年齢だ。
漏れることなく私もそのひとり。
30歳の女性に対して、世間はどんなイメージを持つだろう。
経済的に自立し、ある程度の仕事はこなせる。
会社では後輩に頼られ、上司からも信頼される。
プライベートでは、気の合う相手を見つけ結婚し、充実した毎日を過ごしている。
…こんなところだろうか。
このイメージに今の自分を重ねてみる。
うん、そんなにズレていない。
仕事で言えば、会社員として働いているが、この不安定な情勢の中、ありがたいことに安定している。
プライベートにおいても、数年付き合った彼と昨年結婚することができた。コロナ禍でかなり迷ったが、結婚式を挙げることもできた。
たぶん、充実しているのだろう。
客観的に見れば。
月並みだが、人の幸せはそれぞれ違う。
与えられた仕事をこなし、新婚生活も楽しい。
でも「これが一生続きますよ」と言われたら、きっと手放しでは喜べない。
就活生の当時、第一志望だった企業に内定をもらった。
自分がどんな大人になりたいのか、毎日毎日、頭がおかしくなるくらい考え、悩み、そこで見つけた答えを叶えるのに、その企業はぴったりだった。
新入社員同士の研修では、いつも上位の成績を残し、配属も希望通りになった。
当時は頑張ったことが周囲に評価されることが嬉しくて、休日も勉強に明け暮れた。
仕事をする中で上司から批判的な意見をもらうこともあったが、自分が成長する種にしか思えなかった。
その成果もあってか、仕事もある程度こなすことができた。
「誰かの役に立っている」と感じると、これがやり甲斐なのだと、充実感をひしひしと感じていた。
しかし30歳の私は、明日にでも仕事を辞めたいのだ。
30歳が近づき、
自分の人生を考える時間が増えた。
考えれば考えるほど、
自分の人生は自分のものではないように感じた。
あれだけやり甲斐を感じていた仕事も、
よくよく考えれば、自分ではなく他人を喜ばせる仕事だ。
本来、仕事とはそういうものなのだろう。
ただそういう仕事を、自分のライフワークとしてこの先ずっと生きていくのだと思うと、これまでの感情とは裏腹に、絶望してしまったのだ。
「自分の人生」といいながら、
誰かの人生のために生きている。
これからそんな生き方をしたら、
死ぬ直前に人生を振り返った時、
中身のない、空洞なものになってしまう気がした。
30歳。
自分の人生を考える年だ。
いい大人だが、まだ自分の人生に迷っている。
誰かではなく、自分のために自分の人生を歩きたい。
自分のしたいことに素直に従う。
「いつか」したいと思ったことを、
「今」やってみる。
30歳。
もしかすると人生の折り返しかもしれないこの歳から、もう一度人生を考え直そうと思う。
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