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#エッセイ|私個人として仕事を受けること

" 25万円 "

この半年の間、副業で稼いだ金額だ。

だが、副業を始めた理由は "稼ぐ" ことではなかった。


私の副業は、よく聞く形とは少し違うかもしれない。

「久しぶりに飲みにいかない?」

元同僚のLINEから、私の副業は始まる。

彼は数年前に起業していた。
何かある気はしていたが、
久しく会っていない友人からの誘いに、断る理由はなかった。

当日。

同窓会のような空気のまま時間は過ぎ、
店員から退店の催促を受けるまで、
彼は本題を切り出さなかった。

「一緒に働かない?」

転職の誘いだった。

正直、そんな気はしていた。
しかし断る気でいた。

彼の会社は起業して間もないスタートアップ。
従業員を10名ほど抱えるほど大きくなっていたが、まだ安定感はない。

加えて、夫もスタートアップ企業に勤めているのもあった。

だが、楽しそうに仕事の話をする彼に惹かれ、
一緒に働いてみたいと思った。

" 楽しそう "と直感が言うなら、それが転機なのかもしれない。

しかしその日、結論は出なかった。

  • 仕事に対して久しぶりに味わう「楽しい」という感覚

  • 安定した収入

どちらも捨てられるものではない。

だが、悩む私の中で 高揚するものがあった。
それは " 仕事を依頼されたのが、私個人であること " だった。


私の勤め先はいわゆる大企業である。

会社のネームバリューのおかげで、
仕事の依頼は待っていればやってくる。

もちろん、与えられた仕事には丁寧に取り組んだ。
成果も出し、人に教えられるほどのスキルも身に着けた。

しかし日々感じてしまうのは、
" 私は会社のおかげで生かされている " ということ。

仕事があるのは、私の努力の結果ではない。
会社のおかげである。

仕事に対してやりがいを感じられなくても、
今の自分が生きていられるのは、
その仕事をつくりだしている会社のおかげなのだ。

" 好きではないものに、自分は飼われている "
そんな感覚から抜け出したくて、
会社員以外の自分を持ちたいと思った。

そんな時にあった友人からの誘い。

会社ではなく、私個人として必要とされている。

これが副業を始める決定打となった。

友人と相談した結果、
業務委託として仕事を受けることになった。

金銭面で転職はリスクだが、
その仕事もしてみたい。

そんな中見つけた折衷案。

これが私の副業である。


副業を始めて約半年。

生活で言えば、時間の使い方は大きく変わった。
無意識にSNSを見て消化していた時間は、
稼働時間へと変わる。

そして個人として仕事を受けることにより、
個人として責任も負うようにもなった。

副業としてのアウトプットは、
私個人への評価につながる。

未経験であることなど、何も考慮されない。

そういった緊張感は
副業を始めて感じた変化の一つだ。

しかし何よりも大きい変化は、
" 自分を大切にするようになった " ことだ。

程度の大きさはわからないが、
少なからず他人に評価された自分。

"他人が評価する自分を、自分自身が大切にしないでどうする"
そんなふうに考えるようになった。

私個人として仕事を依頼されたことが、
私の自己肯定感を大きく上げたのだ。


本業と副業。

自分を支える軸が2本になったことで、
自分が安定するようになった。

社会では副業に対して、マイナスイメージを持っている人もいるだろう。

本業が疎かになるなど、理由は様々あると思う。

だが、私個人においては、
副業によって自己肯定感が上がるとともに、
本業でもより成果を出したいと思うようになった。

自分を大切に思うからこそ、
中途半端なアウトプットをする自分ではいたくないと思うのだ。


今週、人と会う予定がある。

その方も最近起業し、人を探していたところ、
過去に私の上司だった方が、私を推薦してくれたらしい。

なんともありがたいお話である。

経緯を聞いた時、今の会社で頑張ってきてよかったと心底思った。

まだ仕事の詳細は聞いていないが、
" 楽しそう " と直感が言えば、
まずは挑戦しようと思っている。

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