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フリースクールの選び方④ いよいよ見学

前回の「フリースクールの選び方③ 情報を整理して選びます」で,子どもに合ったフリースクールが選べましたか?

フリースクールが選べたら,見学に行きましょう。

見学はとても大切!

フリースクールは人手が足りなくてホームページの更新がされていなかったり、後で書いていますがその時々で状況が変化しますから,最新の状況を確認してください。

また,親は早く子どもの居場所を見つけたくて焦りがち。「ここならうちの子が楽しく過ごせるかも」と希望を描いてしまうかもしれません。でも、見学の時点ではなるべく公正な目で見たいものです。

気合いを入れて、そして冷静に見ていきましょう。

親だけで行くか,子どもと行くか

最初に見学に行くときは,親だけで行く方がいいです。

見学の後,1日体験することが多いですが,子どもには,親が思う以上に負担がかかりますから,子どもに合った場所を見極めてから体験すべきです。桜川さんは,理念に惹かれて1日体験させた場所が子どもに合わなくて,可哀そうなことをしたと後悔したことがあります。

見学に行ったら確認するポイントを挙げていきます。

見学の時期

小規模のフリースクールは,生徒数が10人に満たないので,生徒の年齢・性別の構成が変わると雰囲気がガラリと変わります。特に子どもの自主性重視のフリースクールは,年齢分布が小学生か中学生かで活動内容が異なってくることがあります。

また,たまたま進学する子どもが多くて3月末に半数近くの生徒が卒業して入れ替わる,ということもあります。

できるだけ通う年度に行くこと,数年前の情報に頼らないことが大切です。

アクセス

電車で行くなら,電車の混雑具合は子どもでも大丈夫な程度か。

乗り換えはできそうか。

場合によっては,一般的な経路でなく,混雑を避けたり乗り換えしやすい経路を選ぶこともあります。

駅からのフリースクールまでの道のりは子ども一人で行けるか。危険なところはないか。

自転車なら,同じく子ども一人で行けるか,危険なところはないか。

途中にコンビニがあるといいです。フリースクールは弁当持参なので,弁当を持たせられなかったときに昼食が買える場所は(特にワーママにとっては)必須です。

第一印象

いくつものフリースクールなどを見学し、実際に入会したり一日体験をしました。最初に見学したときの印象は,やはり当たっていたと思うのです。早く子どもの居場所を決めてしまいたくなり,多少の悪いところは見なかったことにしたくなるのですが,自分の感覚を研ぎ澄まして第一印象を大切にしたいものです。

ご挨拶

さて,フリースクール内に通されてスタッフの方とお話しします。ここでフリースクール側からの説明を受けたり,こちら側の状況をお話しします。不登校ばなしって,話せる相手が少ないから,ついつい語ってしまいたくなりますが,今日は見学が目的ですから,ほどほどに。フリースクールによっては会員以外の相談を受けているところもありますので,語りたい・聞いてほしいときは別の機会にしましょう。

スタッフ

スタッフの人数は?総人数と1日当たりの人数は?

フリースクールは,少ないスタッフで運営しているところが多いです。子どもの自主活動中心型の場合,ある程度の人数のスタッフがいないと,いくら子どもが「これがやりたい」と思っても実現できないことがあります。

あまりに少ないスタッフでやりくりしているところは不安です。多くのフリースクールはそこをスタッフの熱意で補ってはいるのですが。

スタッフの年齢構成や性別は?

スタッフの在籍年数は?

スタッフはその居場所を肯定的にとらえていますか?

適応指導教室を見学した際,スタッフの方がその教室を否定的なニュアンスで言うのを聞いてがっかりしたことがあります。そういうところで,子どもが生き生きと成長できるとは思えません。

見学中にスタッフどおしの関係性もよく見てください。フリースクールを「職場」として見ると,人数が少なく人事異動もないため,ともすると閉鎖的になりがちなようです。スタッフどおしが自由に意見を交換できる空気があればいいですね。

子どもたち

子どもたちがリラックスした表情をしていますか。生き生きしていますか。

子どもの年齢や性別の構成はどうなっていますか?

近い年齢の子どもがいた方がいい,と考えがちですが,そんなことはありません。近い年齢の子どもがいなくても,上級生が面倒見が良くて楽しく過ごせることもあります。(うちがそうでした。)異年齢がまじわることのプラス面は多いですよ。

規模が大きいフリースクールでは,年齢によって部門を分けていることもあります。

活動内容の決め方

毎日の活動を朝のミーティングで決めているところ,ミーティングは週に1回長めの時間をかけているところ。

行事はミーティングで決めているところ,フリースクール側が決めているところ。

小学校低学年だとミーティングが面倒くさくて参加したがらないのですが,ほかの子どもが意見を言ったり,それを実現していく姿を見て,自分もミーティングに積極的に参加するようになります。自分の意見が採用されて実現することは,子どもの大きな自信につながります。

また,違う意見を聞く,意見が違った場合に調整していく,ということも学ぶことができます。

一方で,プログラムがあらかじめ決まっているフリースクールもあります。「勉強したい」など,子どもの目的があらかじめ決まっている場合はこのタイプでもいいでしょう。

外遊び・運動・外出

特に小学生男子の場合は,外遊びや運動がどれだけ活動に取り入れられているか,が重要です。

毎日公園で遊んでいるところ。

公園が近くにあるけれど,そこへ行くのは週に1,2日,というところ。

体育館を借りてスポーツをするところ。

自転車で遠出をするところ。

外出の範囲が決められているところ。

学習

学習を時間割に入れているところと,遊びや生活の中で学ぶところ。

学習スペースがあるところと,ないところ。

学習指導するところならば、不登校で学習が学年より遅れていることが多いので,そこのフォローがされているか。宿題は適切な量か。

中学生で高校進学を希望しているならば,都立のチャレンジスクール対策(作文)など,個別の目標に合わせた指導をしてくれるか。

生活や遊びの場としてのフリースクールの場合,学習の場とは必ずしも両立しないことがあるので,フリースクールと別に塾や家庭教師をつける場合もあります。うちもしばらくは,週5日のフリースクール+別のフリースクールの個別指導で数学を週1回,でした。これはフリースクール側の問題ばかりでなく息子側の希望だったのですが、お金はかかりましたね。

時間外に学習のフォローをしているところもあります。

今は勉強したがらないお子さんも,いつかはやりたくなることがありうるので,方針を訊いてみてください。

親どおしの交流

親の会などの親どおしの交流の場を月1回もうけているところ,学期に1回のところ,全くないところ。案外親どおしの交流のあり方はフリースクールによって異なります。

親の会ってPTAみたいなもの?面倒…

と思うかもしれませんが,不登校ライフでは親どおしの交流は本当に大切です。私も不登校ママ友とのおしゃべりに助けられました。

上級生の子どもが成長して進路を決めていく話を聞くと勇気づけられます。

また,不登校あるある話で盛り上がったり,学校や周囲との付き合いの愚痴を語り合ったり,ほかの居場所の情報を交換したり。

ただし,親の会が親どおしの交流の場として機能しておらず,フリースクール側の事務連絡が中心になってしまっている場合もあります。親の会を活発化させる仕掛けができていないのです。

入会前でも親の会だけ参加OKというところもありますから,参加できるといいですね。

学校との関係

ここは,親のスタンスと合っているか,がポイントです。

学校と積極的に連絡を取り合おうとするところと,そうでもないところ。

親のスタンツがどちらであっても、同じ子どもに関わる大人として,フリースクールと学校が円満な関係であるに越したことはないと思います。

親が希望するあり方に添って対応してくれるところがいいです。

学校復帰を目的にしているか

最終的に学校復帰を目的としているのか,子どもの居場所として子どもが成長する場所を目指しているのか。本人や親の考えと合っているか,確認してください。

学校復帰をあまりに前面に押し出しているところは,私は抵抗感があります。子どもが成長したその先で,本人が学校を選択したらそうすればいい,と考えるからです。

適応指導学級の多くは学校復帰を目的にしていて(最近は変化してきましたが),学期ごとに一度は学校に行くように指導しているところもあります。これ,子どもによってはキツいな…と思うのですが。

まとめ

学校とは違う理念で運営しているフリースクールは,戸惑ってどこを見ていいのかわからなくなりますが,冷静に見てくださいね。

さて,親の見学が終わり,子どもに合っていそうなフリースクールが見つかったら,体験入会します。

(つづく)



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