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ワーパパと組織のネコ

こんにちは。
3人娘を育てている、ベンチャー企業のCTOです。


楽天大学の学長をされている仲山進也さんの「組織のネコ」という働き方という書籍を読みました。

組織の中にいる人たちを「イヌ」「ネコ」「ライオン」「トラ」に分類して、それぞれの働き方の特徴について解説しています。
大抵の人間は組織の中にいると思うので、そのまま社会の人々の特徴を示しているともいえるでしょう。

仲山進也さんの書籍は楽天での活動体験をベースにされているため、非常に実践的です。
しかも読みやすい文体で書いてくださっているので、すっと読むことができます。

Kindle Unlimitedの読み放題対象となっていますので、暑い夏のちょっとした夕涼みの読書などにいいのではないでしょうか。

なお、仲山進也さんの別の書籍「組織にいながら、自由に働く。」について以前noteを書いています。

こちらの書籍で触れている「加減乗除の法則」は、社員に伝えると「そんな考え方があったのか」と好評です。
「組織のネコ」本にも「加減乗除の法則」についての記述があるため、本書を読んでしっくりきたら、「組織にいながら、自由に働く。」もオススメです。

4タイプ

二つの軸を持った四象限を描きます。
軸の一つは「パフォーマンスが高いか普通か」。
別の軸は、「組織にいながら自由か、組織の中央を志向か」。
そして、各領域ごとに動物を割り当てます。

このマトリックスは書籍の表紙にもなっているので、そちらを見ていただいた方が早いかも知れません。

  • ライオン:パフォーマンスが高く、組織の中央を志向

  • トラ:パフォーマンスが高く、組織にいながら自由

  • イヌ:パフォーマンスが普通で、組織の中央を志向

  • ネコ:パフォーマンスが普通で、組織にいながら自由

それぞれの特徴を一言で表現すると、以下のようになります。

  • ライオン:群れを統率

  • トラ:社命より使命

  • イヌ:組織に忠実・社命第一

  • ネコ:自分に忠実・群れから外れがち

それぞれの動物を個別に細かく見ていきます。

ライオン

パフォーマンスが高く、組織の中で高い地位に上り詰めていった人がライオンにあたります。
ヒエラルキーの頂点に位置し、組織を引っ張る立場にあります。
立場上、組織の中でもメインストリームとなる仕事を担うことが多くなります。

「優秀なリーダー」という言葉が最も似合うタイプでしょう。

彼らにとって、ルールやキャリアのレールは、設定するものです。
組織のパフォーマンスを最大化するために、ルールやレールを用意します。

トラ

パフォーマンスが高く、組織とは少し距離を置いた位置で活躍する人がトラにあたります。
フラットな関係性を好み、様々な現場に顔を出します。
彼らの仕事は様々なものが入り交じるカオスな環境で行われます。
周りからみたらよくわからない働きをし、物事をつなぎ合わせて成果を作り出していきます。

彼らにとって、ルールや「ここからはみ出すとNG」といった境界線であり、他人を縛り付けるようなルール設定は行いません。
その中で自由に行動します。

イヌ

パフォーマンスが普通で、組織に忠実な人がイヌにあたります。
ライオンに憧れ、ライオンを目指すために組織内の出世レースに参加します。
組織からの指示に対して、納得できようができまいが、しっかりと職務を遂行しようとします。

彼らにとって、ルールは守るべきものです。
組織に従って指示命令をこなします。
そして失敗やレールから外れることを極端に恐れます。

ネコ

パフォーマンスが普通で、組織にではなく自分に忠実な人がネコにあたります。
組織からの指示に納得がいかない場合は、しれっとスルーしたり、やらなくて済む方法を工夫して回避したりします。

彼らにとって、ルールは自分を縛り付ける嫌なことであり、自分の価値観を優先しがちです。
昇進や肩書にも興味がなく、レールから外れても特に困らないということを知っています。

相性

組織に対するスタンスが親しい者同士、相性がよいです。
イヌはライオンに憧れ、ネコはトラに憧れます。

ハイパフォーマンスのライオンとトラ同士も相性がよいです。
優秀ゆえに互いの価値の高さを理解できるため、戦う領域は異なるが相互にリスペクトしあえる間柄となることが多いです。

一方、イヌとネコは反発するケースがあります。
イヌからしたらネコは「ルールを守らないヤツ」となり、「ちゃんと言われた仕事をしてほしい」と思います。
ネコからしたらイヌは「ルールを押し付けるヤツ」となり、「もっと大切な仕事があるのに言われたことだけやってるな」と思います。

組織内の割合

ライオンとトラは希少種であり、組織内の人数は限られます。
トラは比較的「変わり者」「変人」と思われがちであり、ライオンよりも数が少ない傾向にあります。

組織の大半はイヌです。
イヌに比べるとネコの数は少なくなりますが、著者は「本質はネコなのにイヌみたいに働いている隠れネコがいる」と指摘します。

高度経済成長期、日本では工業化が進みました。
その環境下では、ライオンの下に大量のイヌがいて、職務を忠実にこなせる体制が重要視されていました。
今の日本社会にはその時の名残が色濃く残っていますが、それ故にネコとして働けないイヌのフリをした隠れネコがいることとなります。

トラ・ネコの重要性

かつては、ライオン・イヌで組織を構成することが成功への近道でした。
わかりやすい正解があり、その正解を早く実行することを得意とするのがライオン・イヌの構成でした。

しかし、複雑化が進み、時代の流れが早くなっている現代において、トラ・ネコの人たちの重要性が高まっています。

彼らは組織に縛られないがゆえに、組織を変革させるトリガーとなりえます。

ネコからトラへの道のり

働き方の進化のステップとして加減乗除という考え方があります。
これは「組織にいながら、自由に働く。」という書籍に細かく書いてあり、その書籍の内容は別のnoteに記載しているため詳細は割愛しますが、このステージを進んでいくことでネコからトラに進化します。

このステージを進んでいく上でよくある罠について、本書の中で触れています。
それは「加」のステージの量と質が不足しているケースです。
トラの人たちは、ネコの人たちと比べて「加」の量が圧倒的に多く、質も高いです。

トラとネコの境界線の判断基準としては、本を1冊分かけるか否かです。
本1冊は約10万字です。
ブログで2千文字の文章を書いている人であれば、ブログ50記事に相当します。

ひとつのテーマに対してそのくらいの量のアウトプットができて初めて、強みを一つもっていると言えるようになります。

ワーパパと組織のネコ

この書籍には、ライオン・トラ・イヌ・ネコの特性を挙げた上で、以下のテーマについて取り上げています。

  • トラ・ネコの存在意義と活かし方

  • トラの働き方や特性

  • ネコからトラへの道のり

どのタイプが良い・悪いを評する内容ではなく、以下のようなことを促す内容となっていると感じました。

  • イヌのフリをしてつらい人はネコとして生きたっていい。
    その先にはトラという生き方があるのだから。

  • 組織には様々なタイプの人がいてよい。
    トラ・ネコの存在、重要性、特性を認識しよう。

自分自身がどのタイプなのかを認識するのももちろんですが、一緒に仕事をしている仲間がどのタイプなのかを把握することも重要だと感じました。

そして、この生き方の選択は、子供にとっても大切な考え方だと感じました。
すでに、画一的な生き方を選択する時代ではありません。
親の社会の認識が「ライオンとイヌのみで構成することが良い」と思っていると、本来ネコ気質だった子供にイヌ的挙動を強制することにもなりかねません。

その価値観の強制よりも、興味をもっている領域で本1冊に相当するアウトプットを出来ることのほうが重要に思えます。

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