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初夏の能登旅 〜後編〜
恋人のBさんと、石川県は能登地方の七尾市に一泊旅行した話です。
前編はこちらから。
和倉温泉
能登島から本島に戻り、私たちが向かったのは和倉温泉。
車だと、能登島大橋を出て曲がったらもう和倉!というぐらい近かった気がする。
和倉温泉は、いわゆる温泉街のイメージとはやや異なる。
いや確かに温泉街なのだが、私の印象では「温泉旅館街」というほうがしっくり来る。
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このように海に沿って旅館が立ち並んでおり(赤で表示されているのが主だった旅館)、基本的に「旅館の中ですべてが完結する」スタイルなのだ。
ごはんを食べるのも、お茶を飲むのも、お土産を買うのも、もちろん温泉に入るのも、旅館。
なので温泉街にひしめいていそうなお土産屋だの和菓子屋だの食事処だのは、勿論ないわけではないのだがあまり見当たらなかった。
この温泉旅館街における中心的存在が、有名な「加賀屋」である。
なんでも「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」にたびたび選出されているらしい。
加賀屋の建物は街の中でもよく目立ち、威風堂々とした趣きがあった。
今回私たちが泊まったのは、その加賀屋…ではなく、系列の「あえの風」。
加賀屋姉妹館 あえの風
車のキーを(Bさんが)預けて館内に入ると、開放的なロビーに迎えられる。
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ホテルのカフェラウンジのようなものだと思ったので「チェックイン手続きの間、こちらでお待ちください」と言われて頭にハテナが浮かんだのだが、ここはフリードリンクスペースなのだった。座り放題、飲み放題。(アルコールは有料)
吹き抜けの地下1階は広いお土産屋さんスペースになっている。もうワンダーランド。
ちゃきちゃきした仲居さんが、部屋へ案内してくれた。
目の前が!海!!!
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本当に「一寸先は海」という感じの臨場感。すごい。
こんなにも海に面して建てられるのは日本海側だからなのだろうか。太平洋側であまりこういうロケーションを見たことがない気がする。
…と適当なことを書きながらいまググったら、日本海側は干潮と満潮の差が少なく、30cmぐらいしかないらしい(太平洋側は2m以上)。なるほど〜。
着いてさっそく浴衣に着替え、大浴場へ。
お部屋からタオルを持っていかなくてもちゃんと大浴場に用意されているし、髪留めのゴムやアメニティ類も充実しているので完全に手ぶらで行ける。至れり尽くせり。
温泉ももちろん、目の前が海である。
泉質が塩辛いこともあり、もはや海に浸かっている感覚。露天風呂なんて完全に海。
塩気が強いので短時間でもじんわり汗をかく。本当に気持ちの良いお風呂だった。
福ちゃん
私たちは、外で夕食を摂ることにしていた。
浴衣が気に入ったらしいBさんが「このまま出かける?」と言い出し、私は「さすがに館内限定じゃない?」と止めたのだが、Bさんが大浴場のスタッフさんに聞いてみたところ
「大丈夫ですよ!ウチの宣伝にもなるし、酔っ払っても浴衣でここって分かるから帰って来られるし」
と太っ腹なお返事が返ってきたそう。
というわけで、二人して浴衣で出かけた。
このあたりに泊まるお客さんはやはり旅館で夕食を食べる人がほとんどなのだろう。往来は静かだった。
行ってみたのは、「福ちゃん」さん。
七尾湾の恵みをふんだんに活かした海鮮を食べさせてくれる。とりあえずお刺身2人前の量にびっくり。
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右下の、細かいブロック状の物体は、かわはぎの肝を冷凍したもの!
お店の方曰く、肝はすぐに悪くなるので、新鮮なうちに冷凍しておくらしい。
もちろんかわはぎの身と一緒に食べても美味しいのだが、これを単体で口に含むと、舌の上で少しずつ肝が溶け出してきて脳天がくらくらする。ものすごい日本酒泥棒だった。
かますの塩焼き、へしこ(鯖のぬか漬け)、牛すじの煮込み(いわゆる土手煮とは違い、スープが澄んでいて美味しい!)などをいただき、お酒もたくさんいただき、満腹で旅館へ戻った。
カラオケ
あえの風はワンダーランドなので、もちろん宴会場もあればパーティールームもある。
そしてまさかのカラオケボックスまであるのである。
チェックイン時にこの情報を仲居さんから入手した私たちは、夕食に出かける前、フロントで空室状況を確認していた。
今日は空いているとのことだったので、「福ちゃん」から戻り、再度フロントへ。
すぐにスタッフさんがカラオケボックスへ案内してくれる。このあたりの連携や動きが本当にスムーズで、旅館のおもてなしっていいなぁと思う。
普通に2時間がっつりカラオケした。笑
部屋に戻ると、お布団が敷かれていた。
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コンビニで買った缶ハイボールを飲みつつスナック菓子を食べ、二人ともベロベロになって就寝。
カーテンを閉めずに寝たら朝の4時台にはもう明るくなって目が覚める。
夜は酔っててすぐ寝てしまったので、そのタイミングでエッチした。やっぱり布団と浴衣というシチュエーションでは一度しておきたいですよね。
Bさんはもう一度寝て、私は朝風呂へ。朝の大浴場も最高。
Bさんは寝ぼけているときすごく優しいのだが、私がお風呂から戻って布団に潜り込んだときも寝ぼけながら
「おふろはいってきたん?はやかったねえ」
とハグしてくれて優しかった。
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朝食
朝食は、1階にある大きなレストランでのビュッフェ形式。ビュッフェを取るときはマスクとビニール手袋を着用することになっている。
Bさんがマスクを忘れて朝食会場に行ってしまったのだが、会場に向かう途中で仲居さんが
「お客様、ご朝食ですか?よろしければこれを」
と声を掛けてくれて、帯の間からスッと個包装のマスクを差し出してくれた。一連の流れに無駄がなさすぎる。
ビニール手袋は、触らずに着用できる機械のようなものが導入されていた。両手に手袋をはめ、「メス!」と言うBさん。はい可愛い。
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ビュッフェで冒険できないタイプの私は、ごはんとお味噌汁、スクランブルエッグとソーセージとサラダ、あとはごはんのアテをこまごまと。
佃煮を食べ、いくらおろしを食べ、残った大根おろしを明太子と一緒に食べ…とちまちま箸を動かしていたら、Bさんに
「楽しんでんなー笑」
と言われた。(関西弁なので文字だとヤカラっぽいが、実際は優しい)
「楽しいよ!」と答えたが、昨日のイルカショーの件といい、どうもBさんの前だと幼稚になってしまうな。アラフォーなのに。
Bさんは和洋折衷でいろいろ食べ、最後にカレーライスを食べ、それで終わりかと思ったらクロワッサンを食べていた。
二人でコーヒーを飲み、私はフルーツを食べて締めくくり。
チェックアウト前にもう一度お風呂に入る。気持ちよかった…!
旅館という体験
チェックアウトしたあともフリースペースでしばらく寛いでいたのだが、気づいたら荷物を預かってくれていて、気づいたら車は車寄せに出してくれていて、最後はスタッフの皆さんがあたたかく見送ってくださって、ただただ快適だった。
私は旅館かホテルかで言うと断然ホテル派で、いわゆる「全方位型」の旅館に泊まるのは子どもの頃以来だったが、こういう旅館もしみじみ良いものだなと思った。
ホテルが一部屋一部屋独立したプライベートな空間を約束してくれるのに対して、旅館はまるごとひとつの「家」なのだと思う。家の中にすべてがあり、どこでも自由にくつろげて、スタッフの方が細やかにケアしてくれる。そんな心地よい旅館体験だった。
能登ミルク
最後に立ち寄ったのは「能登ミルク」さん。ここのジェラートが美味しいと聞いて、ぜひ行きたいと思っていた。
昔ながらの建物が多い和倉温泉エリアで、ひときわ目立つスタイリッシュなお店。
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フレーバーがたくさんあって悩みに悩んだのだが、私が選んだのは「宙」と「黒ごま」のダブル。
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「宙」はここの代表的なフレーバーで、杏仁とブラッドオレンジとマンゴーが混ざったもの。見た目も美しいし、杏仁が利いていてさっぱり美味しい!
黒ごまは濃厚で、ふたつの相性もとても良かった。
Bさんは「宇治抹茶」と「能登塩」のダブルを食べていた。
帰路
楽しかった和倉温泉を出て、ふたたび車で帰る。
途中で岩盤浴に立ち寄り、昼食やお風呂を含めて3時間くらい滞在してしまった。
翌日肌がツルツルだったのが、和倉温泉効果なのか岩盤浴効果なのかは謎のままである。
何はともあれ、楽しい2日間だった。
社畜のBさんはあまりきちんと有休を取ったことがないらしく、この旅のために有休申請をするとき
「デートのために休み取るの、生まれて初めて」
と言っていた。
そして旅のあと、
「平日休むのってええな!全然アリやな!」
と休みに目覚めていた。
また二人でどこかに行けるといいな、と思う。
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