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【映画】おバカ映画のすすめ/洋画編


脳を使いたくない時

 なんとなくスカッとしたい気分のときに見たい映画の候補をあらかじめ出しておくと便がいい。

 私もそういう時に観る映画が洋邦各1本ずつある。
 全く違う映画のタイプに思えてしかし、鑑賞後の感覚は非常に似通った感じのある映画である。
 名画名作という言葉の対局にあるような映画で、そんなにしょっちゅう観るわけでもなくせいぜい数年に1度程度なのだが、それでも何度も繰り返し観ている。
 感想としては。
「なんか意味もなくスッキリする」
 それだけなのである。

ハーレーダビッドソン&マルボロマン(1991年)

監督:サイモン・ウィンサー
主演:ミッキー・ローク、ドン・ジョンソン

 もうタイトルからしてバカっぽい。
 このタイトル、主役2名の人名である。
 ハーレーダビッドソン(ミッキー・ローク)、マルボロマン(ドン・ジョンソン)。
 余談だが、ヴァージニア・スリムとかジャック・ダニエルとかいう人物も出てくるアメリカ万歳みたいな映画で、コメディ仕立てのアクション映画となっている。

 ストーリーについても特筆スべきことはない。

「ダメ不良中年のバイク乗りふたりが行きつけのバーの存続のために現金輸送車を襲撃したところ、大量のドラッグを発見して、それを取り返そうとする組織や警察から逃亡し闘う、てんやわんやの大騒動」

 この3行でだいたい言い尽くせているという自負がある。

 単純なストーリーの中、バカふたりが半泣きで大暴れする様にハラハラしたり笑ったりしてでも、最後にちょっとほろっとして、観た後にスカッとした気分になるのだが、これと言って得るものもないしマイ・フェイヴァリット・ムービーにはならないけど時々思い出すというような類の映画である。

 私はミッキー・ロークという役者が好きなので、たしかに贔屓目で観ている部分はある。
 実際、彼の主演した「ランブル・フィッシュ」はまさにマイ・フェイヴァリット・ムービー/洋画編なのだ。

 他にもこの人の映画には「バー・フライ」「死にゆく者への祈り」「ホームボーイ」「エンゼル・ハート」等、好きな映画がたくさんある。ただ、どっちかっていうとシリアスな作品が多い上に、スッキリとは真逆の傾向というかどれも後味がよろしくない作品が多く、その中にあってこの「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」は異色と言える作品なのだ。

 という、スッキリするという以外に特筆すべき点のない映画。
 なのだが。

バイク乗りのヒーロー

 実はこの映画、作品云々というより、ハーレーダビッドソンの衣装と彼の乗るバイクが世界中のバイク乗りに大ウケしてしまってレプリカが大量に製造された経緯がある。
 30年以上経過した現在も検索をかけるとゾロゾロ出てくる。


検索画像

 まぁたしかに30年前としては先鋭的なファションでかっこいい。

かっこいいけど銃を持たせると一気にヘタレ男に変身。

 バイクがまためちゃくちゃかっこいい!

ラストシーンあたり

 画像だとわかりにくいのだが、ブレーキやシフトのペダルが通常よりもだいぶ前に変更されていて、いわば足を投げ出すような姿勢で乗ることになる。
 またフロントフォークを長くして通常よりもかなり角度をつけ、シートなんか中のアンコをほとんど抜いてペッタンコ、リアのサスペンションも外してしまってリジッド(単なる鉄の棒)にし、車高をギリギリまで落としてあることから、サスペンションが効かず当然路面の凹凸が画用紙のように薄いシートから直接尻から腰そして脊椎までを直撃するわけで、おそらく乗り心地は最悪だろうけれども、限界まで低く長く改造してあるマシンで、映画の冒頭で疾走するシーンからすでにバイク乗りは歓声を上げてしまう仕上がりになっている。

要するに

・映画の単純明快なバカっぽさ
・鑑賞後の爽快感
・ミッキー・ロークの外見のかっこよさと銃を持った時のヘタレっぷりのギャップ
・バイク乗りの心をくすぐる最強マシン

 これらの要素から、変に脳を使うことなくスカッとする。
 そんな映画なのである。

↓ラストシーンになってミッキー・ロークがエロ男っぷりを発動

余談

 因みにご多分に漏れず私もこの当時バイクに乗っていて、手始めにリアをリジッドに交換した経験がある。
 交換して数週間後、エンジンをかけて疾駆しようとしたところ、エンジンは動いていてギアーも入っているのにバイクが走らない。えっ?と思って確認すると、リジッドが盗まれていた(笑)まぁほら、単なる鉄の棒なのでスパナがあれば簡単に外れるのである。
 
 田舎の小悪党の「金はないけど欲しいものは盗んでも手に入れる」というアウトロー精神を舐めてはいけない。
 この映画のふたりも、どっちかって言うとそういう類の迷惑人間なのであった(笑)

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