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【詩】十字路

籠絡し震え跪く如何わしい想いの流れを断つことが叶わぬその
本性を暴かれた

性具の嗚咽
跪きまた
跪け

はっきりと気付いている自身の浅ましさ
奇怪に折り曲がる指先は繊細で
微かな匂いも
僅かな嬌声もその指の
捻れた関節が感知しまた
暴かれるあの行為の中で得た格別の味わいに
皮膚からも染み込む快楽
溺れる溺れる暴かれて
溺れる

十字の磔台にその肉体を
赤黒く幾多の粘液で穢た十字の
十字の磔台にこの肉体が

いまや
ぎこちなく
カタカタと霞み明滅するこの視界の隅
あの黒々として艷やかな鱗に
貫かれやがて覆われて
そして

そして

そして

磔台に裂かれ最後の臓が千切れる間際に
その恐怖から逃れようとのたうち
土に汚れて這いずり回り
漸く辿り着いたこの十字路で

彷徨うではなく
苦悩するでもなく
泣きも嗤いもせず
ただ呆然とあの
悍ましい行為に耽溺した日を
あの日々だけを感じ
あの地獄だけを想い

漸く辿り着いたこの十字路で踵を返し

あの地獄へ
あの鬼の元へ

擦り付ける額が砕けるほどに踏まれ蹴られ
繰り返す恫喝と凌辱の中へ

悍ましいのは誰?
忌まわしいのは誰?
呪われるべきは?

漸く辿り着いたあの十字路で踵を返し
悪魔の足元で堕落の告悔を果たす

脛を舐め
膝に縋り
太股に顔を埋めてあの地獄を求める

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