思春期の水曜日 其二
幼なじみの男子をからかいつつ、私は中学校に着いた。学年は同じだが組が違うので、幼なじみとは下駄箱でお別れである。
「おはよう〜」
同性の級友に、教室前で挨拶された。
「よっ、おはよ」
私も挨拶を返した。級友は周りを窺いながら、
「ねぇ、例のカップルの事、聞いた?」
と、聞いてきた。 相手の言いたい事が読めた。
「学級委員同士のでしょ?私なんか昨日の帰りに、手を繋いで歩いている現場を見たよ」
相手は悔しがった。
「さすが、情報早すぎ〜!あたしなんか、今朝になって噂をやっと聞いたっていうのに」
ため息混じりに嘆く級友に、
「そういう情報なら、私より早そうなのに、意外ね」
そう尋ねた。級友曰く、
「あの子、ガード堅かったからさ、同年代の男子とは付き合わないのかと、思い込みがあったのかも。先入観は駄目ね」
との事らしい。
私は言った。
「将来は週刊誌で、恋愛スクープを量産してそう」
級友は豪快に笑った。
「はははっ!あたしの情報網で、世間をあっと言わせてやるぜ!」
級友がポーズを決めたところで、チャイムが鳴った。廊下でお喋りを楽しんでいた生徒たちが、一斉に教室に駆け込んでいく。
「んじゃ、また後で」
級友は私より先に教室に入った。私は教室に入る前に、廊下の窓から空を見た。雲はちぎれ、晴れてきていた。
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