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読書の秋

 先日朝井リョウさんの『正欲』という本を読んだ。前々から目をつけていたので凄く読むことが楽しみで仕方なかった一冊の一つであった。あとはオードリーのオールナイトニッポンやDJ松永さんとのラジオの話を聞いていたので、単純に朝井リョウさんの作品に物凄く興味を持っていたので。

 読み終えた時の感想。読破してスッキリ爽快感という感覚とは正反対の感覚に陥った。それこそ私が最近も思っていた多様性についてのテーマだったので、余計に考えさせられ自分の価値観について知見を深める良い一冊となった。自分にとって考えられない、あり得ないと思う事も誰かにとってはそうではない。世の中自分の考えや想像とは大きく離れたことが起こりうることがある。

 世間体という言葉や、当たり前、普通だからという言葉で押し付けることは時に他人を傷つけ、追い込む事となる。自分の物差しで他人の気持ちに入り込み分った気になってしまうなんてことはこの時代においてはよくある話である。そんなマジョリティの膨大な力でマイノリティが吸い込まれいつしかその強大な勢力に飲み込まれてしまう。結局人は敷かれたレールの上を歩くことを好み、そこから逸脱してしまったことに対して糾弾されることもしばしば。

 多様性、個性的。この言葉で簡単に片付けることで相手のことを理解し分かったような気になって自己満足に浸っているだけのような風潮が蔓延る前に、今一度その本質を追究する必要があるのではと再認識させられた一冊であった。本作品は今年の11月に映画化されるみたいで、久しぶりに映画館に足を運んで見たいと思う作品であるので皆様もお時間が良ければ是非。
お読みいただきありがとうございます。


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