小説を読むことは美しくて、非効率で、嫌いになりたくない
社会人になって、ここ1年間は、ひたすらにビジネス書を読んでいた。
上司に紹介してもらった本を、期待に応えなきゃ、成長しなきゃと片端から詰め込むように読むうちに、ずっと大好きだった読書が好きではなくなった。
きのう、久々に小説を読もうと、本棚に手を伸ばした。少し前に話題になった2部作の物語で、母が貸してくれたもの。
外は雨だった。風の音を聞きながら、ページに目を落とす。
ぱら、ぱら、ぱら。
ものの数分で、10ページほど読んでしまい、気づく。
自分が文章を読んでいないことに。
単語を拾って、抜き出して、攫っていた。
無意識にストーリーラインだけを追っていた。それは明らかに、ビジネス書を効率的に頭に入れるための習慣だった。
ストン、と悲しみが降りてきた。
わたしはもう、繊細な形容詞や、感度の高いオノマトペ、文章、単語のひとつひとつに精緻に組み込まれた表現の美しさを、感じることはできなくなってしまったの?
そんな小説も自分も、嫌いになってしまいそうで、
好きなものを好きなままに、大人になれるような器用さが、ほしいよ。
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