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ぶらり気ままな妊婦一人旅

10月最後の土曜日、私はソファーでひとりダれていた。

夫はひとりギターレッスンに出かけており、私はスマホ片手に暇を持て余していた。そんな時だ、思い立ったのは。

”そうだ旅に行こう”

そもそものきっかけはその3日後に一泊二日のドイツ出張に行く夫の存在だった。

その間夕飯やお弁当を用意する必要はないし、独り身のように家でのんびり出来るゴールデンタイムだと思うだろう。まぁ実際そうなのだ。思えば前回の旦那の出張ではかつての東京でのひとり暮らしそのまま、気づけば夜中2時までスマホ漫画を読み耽るわ朝は11時くらいまでベッドでゴロゴロしてるわご飯も適当になるわ...結果本当にしょーもない2日間を過ごしてしまった。私は盛大に後悔した。人間というのはケアする他人の存在に実は感謝しなければいけないのかもしれない。

そんなわけで、ソファーから飛び起きた私はmacbookをバコっと開いた。どこに行こう。

妊婦ゆえ、あんまり遠くに行くと怒られるかもしれない(誰かに)でもオランダ国内はちょっとつまんないから違う国に行きたい。ドイツ?いやいや、同じところに行ってどうする。ドイツならベルリンに行きたいし、ベルリンはさすがに遠いし...

というわけで、ベルギーにしよう。

その中でも、行ったことないブルージュにしよう。

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(*ヨーロッパの地理がサッパリな人へ。ざっくりこういう感じ。こう見ると本当オランダもベルギーも小っちゃい。)

ブルージュ自体知ったのは最近だった。この間新婚旅行にアムスに来ていた友達夫婦が「ブルージュ行きたかったんだよね〜」と話していたからだ。なんか街が可愛いくて、ボートで小さな運河をクルーズするのが良き感じらしい。それで決めた。

*ちなみにベルギーという国は面白く、オランダとフランスに挟まれたこの小さな国は九州くらいの大きさしかないのに訪れる場所によって言語が変わる。ベルギー北部にかかるフランダース地方(「フランダースの犬」の舞台)であるアントワープやブルージュの人々はFlemish(フラマン人)と呼ばれ、フラマン訛りのオランダ語を喋る。一方ベルギー南部はフランス語を話すWalloons(ワロン人)がばっかりだ。

場所は決まった。ただどうやって行こう。

3日後の旅行となると電車で行くのもずいぶん高い、往復15000円くらいかかる。いやだ、そんなお金あったら私はお洒落カフェで美味しいブランチ食べたい。

そんな時に思い出したのが、最近ベルギー・ブリュッセルから我が家に泊まりに来た旦那の友達、ガブくんの存在だ。彼は旅費を抑えるべく、電車ではなく格安バスで来ていた。

「1時間くらい長くかかるけど、それで20€くらい抑えられるならバスの方が全然いいよ。」

その通りだ。私も同じ系統の人間なのでよく分かる。

というわけで早速その格安バス会社「FlixBus」のページに行く。そうしたら、出るわ出るわ安いチケット。びっくりするくらい安い...3日前で高くなっているのを差し引いても安い。結果ブリュッセル乗り換えのブルージュ行きを片道20€くらいで手に入れた。往復40€、4800円くらいだろうか。お金を節約したい一人旅バックパッカーにはオススメしたい手段だ。

そんなわけであとは宿の手配だった。自他共に認めるAirbnb(エアビー)愛用者の私は、ホテルなんてそっちのけでAirbnbのサイトを開いた。一度やったらやめられない...それがエアビー。初めて利用した2016年以降、イタリアでもスペインでもインドでもお世話になっている。だってホテルより安いし、楽しいんだもの。人好きな人にはとにかく一度オススメしたい。そうこう言ってたら宿の手配完了。

夫がギターレッスンから帰ってきた。

振り向いて叫ぶ。

「私ブルージュに行ってくる!」

出張の度に「夫くんばっかり色んな国行ってズルイ!」とブーブー言っていたおかげか、『そうか、楽しんでおいでね。』と暖かく(?)言ってもらえた。いや、仕事だって分かっているんだよ?でもさ?

『ただ無理しないでね...咲ちゃん、妊婦なんだから。』

「大丈夫!別にブルージュでそんなやることもないし(失礼)散歩しながら写真撮るだけだから^^」

そう、まさにブルージュに旅するその日私は妊娠9ヶ月に突入しようとしていた。「マタ旅していいのはいつまで??」というサイトを見ると、大体安定期の7ヶ月までと書かれているが私は ”全然お腹出てないし身軽だから大丈夫である" という謎のオレ理論でそれらの記事を見なかったことにした。(そもそもそれに従うほど素直なら、一番NGだった妊娠初期の新婚旅行だってキャンセルしている。)

【一日目】

というわけで旅当日、バスが早かったので旦那に見送られて(何気に初めて)ボストンバックを抱えて家を出た。あー楽しみだな。

↓これから先は、写真ばっかりになります。

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(*朝8時前のアムス・スローターダイク駅。3℃とか、やたら寒い。)

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FlixBusアプリでQRコードを見せてスムーズに乗車....と思ったら「パスポート見せて」って言われる。あっぶねー(笑)オランダ国内で使える ID(在留証)でもダメで、わざわざパスポートを見せないと乗れないなんて...意外としっかりしてるねFlixBus。念のため持ってきておいて本当に良かった(ヨーロッパはバスや電車で国をまたげるから、パスポートとか要らないんじゃないかと思ってしまう。)

1.50€(200円)多く支払って指定席にしたおかげか、隣も人がいなくて快適だった。バスは定刻よりも早く出発し(あるある)ブリュッセルに向けて旅立つ。冬には珍しく気持ちの良い快晴だ。ああ素敵だねえ。

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(*牛さんたくさん)

と、しばらくしてある異変に気づく。

あれ、私気持ち悪い...?

....^ー^

そうなのだ、妊婦である自分の変化をなめくさっていたが、体はしっかり9ヶ月の妊婦だった。そうだ、思い出した。妊婦になってから車酔いするようになったんだった私...!しかも微妙に息苦しい....!(子宮で肺が圧迫されてるため)

金がなくて日本では夜行バス乗りまくっていたので「東京から福岡までの15時間ドライブに比べれば、ブルージュまでの6時間ちょっとなんて何てことないもんね〜」と高を括っていたが甘かった。私はもう25歳でもなければ、なんなら妊婦(=不自由さの塊)だった。しまった。

奇跡的に取り付けられていたエチケット袋を握り締め、隣の席フル活用で横になる。ああ早くブリュッセルに着いてくれ...。

というわけで寝てたらブリュッセルに着いた。助かった。

ブルージュ行きのバスが発車するまでその辺で時間を潰すことにするが、荷物もあるし大概治安が悪いから、駅の中のスタバに入る。

入った瞬間「Bonjour!(ボンジュール)」と言わてビビった。

そうか、ここはフランス語圏なのか(笑)

「ボ、ボンジョール」と答え、季節のパンプキン何たらを頼もうかと思ったけれど馬鹿みたいに高かったので一番安いお茶にした。いい加減こっちの物価の高さに慣れろよとも思うが、ブリュッセルからブルージュに行くバス代とほぼ同じというのがどうしても許せなかった。ケチだろうか、そうなのか。

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(*スタバから見るブリュッセル)

途中お腹が減ったので、近くのファストフード的フォーを食べに行く。

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(*ミニサイズで丁度良い。普通に美味い。)

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時間になったので、バスに乗り込む。が、中々発車しない。バスの運転手が叫んだ。

「何故だか席が足りない!これブルージュ行きだけど、間違って乗ってる人いないか!?」

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「このままだとまた全員のチケットを再度確認しなきゃいけないけど、本当にいないか!?」

シーン

やれやれ...と運転手が一人一人のチケットをスキャンし始めた。ていうか最初に全員チェックして乗ってんじゃないの(笑)? 何この状況。

スキャンしてもよく分からなかったらしいが、よく分からないままバスは発車した。ちなみにこのバスは清掃された形跡がなく、リクライニングはされたままだったり、備え付けのテーブルはベタついていた。まぁ全然ご愛嬌だろう。

最初のバス以上に混んでて、よりいっそう息が苦しく気持ち悪かったが、時間が短かったおかげで無事吐かずにブルージュに着いた。グッジョブ自分。

早速エアビーの宿に向かうべく駅のバス乗り場でバスのチケットを買う。チケット売り場のおばちゃんのオランダ語が聞いたことない訛りで面白い。

「Dank je wel~ (ありがとう〜)」

静かで綺麗で平和だ。

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バスに揺られて5分...観光地から少し離れた静かな住宅街をのんびり歩いてエアビーの宿に向かう。家がアムスより低くて可愛いなぁ〜

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5分ほど歩いて宿に到着した。

ピンポーン!

...バタバタバタ...ガチャッ

「Hello!」

笑顔で現れたのは、ホストのクリスティーン。茶目っ気のあるお洒落なマダムだ。

Good to see you! とにこやかに挨拶。外寒かった?超寒かったよ〜

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元々は娘の部屋だったという最上階の部屋に通される。男性にはちょっと抵抗があるかもしれない、可愛らしい屋根裏部屋だ。ヨーロッパによくある三角屋根の三角部分にあたる部分で、ちょっと秘密基地感があってワクワクする。


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諸々説明を受けた後、「ねぇ、写真撮らせてもらっていいかな?」と聞くと、『え!私の??そんなこと言われたの初めて...服も髪も普通なんだけど、えー』と言われたが、大丈夫、素敵だよ!と言ってポートレートを撮らせてもらった。恥ずかしそうだが、少し嬉しそうなのがキュート。

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明日は朝ごはん何時が良い?と聞かれた。そう...エアビー宿によってはホストが朝食を付けてくれるのだ。これが楽しみなんだ。

少し話して、身軽になって家を出た。この時点でもう15時、急がねば。

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(*馬車、その後50回くらい見る。)

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運河をエンドレスに行き来するボートを見ながら、これが噂のボートツアーかと思い、早速参加すべく近くのボート乗り場に向かう。残念ながら丁度前のが出発した直後だった。

「チケット一枚お願い」

『10€ね〜』

「ちなみに次は何分後?」

『15分くらいかな〜』

15分か〜...と一番前に陣取って待つ。その間数え切れないくらいのボートと白鳥が行き来する。空をぼーっと眺める。良い冬模様だなー。

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15分くらいして、ようやく前のボートが帰ってきた。運転手のおじいちゃんがウィンクしてくれる。超可愛い。

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それから10分くらいしてようやくボートに乗車。”しめしめ、これだけ待ったんだから私は一番前に座るぞ... ”と思っていたのに「後ろから順に詰めてね〜」と言われて心が砕けそうになる。おい!!ひどいな!(泣)

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(*結局30分待った。犬からも同情の目を向けられる。 )

気を取り直してボートは出発。日は少し落ちてきていて、その分西陽が眩しい。そして目の前に座るアジア人女子二人の自撮りスマホ画面も眩しい。ええいスノーやめい!一体何枚撮るんだ!(小言を言う大人女子になってしまった...マタニティブルーなんだ...)仕方ないので全力で無視する。

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(*昔の人が飛行機雲を見たらどう思うだろう、と想像する)

あっという間に30分の乗車が終わってボートを降りる。

その後はブラブラ散歩。アンティーク屋を発見。

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(*この玄関マット、結構欲しかった。)

そしてさすがベルギー、地元ブルージュのものからGodivaに至るまで、そこら中にチョコレート屋がある。街がチョコレートであふれている。

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大好きなオレンジピールのチョコを量り売りで買う。ケチって8本しか買わなかったけど、アムスに帰ってすぐ後悔した。二人で分けたらひとり4本やん...瞬殺やん...ちなみにやっぱりベルギーチョコはやたら美味しかった。

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(*店によっては色んなチョコがあり、とてもじゃないが口に出せないほど卑猥なチョコもあった。なんで作ったんや。)

歩き続けて疲れたのでベンチに座る。よくよく考えたらずっーとお腹が張っていた。ごめん梅ちゃん...母は不良妊婦です。でも寒いからまた動き始めるね...。

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しかしながらお酒も飲めないし夜になったらやる事もなくなるので、少し早めの夕食を取ることにした。フランダース料理を食べようかと思っていたが、そんな量も食べれないし一人だしな〜と思って結局ピザにした。良さげなお店を発見。

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そもそもこの店はピザとベルギービールのお店らしく、全てのピザメニューにそれにピッタリはまるビールが書かれていた。壁のメニューボードも読み切れないほどのビールの銘柄と細かい説明がバーっと書かれている。ビール好きならたまんないでしょう。私は自家製レモネードコーラだけど。

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外に出たらもうすっかり夜だった。ああ寒い〜早よ帰ろ。

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19時すぎに帰宅。20時にはシャワーも浴びてヨガもして、寝る準備万端だ。

長い1日だったなぁ。

ベッドにもぐり混んで、ドイツにいる旦那にLINE。

”今日はピザを食べました。そちらは何を食べましたか?今日は早く寝ます。”

なんだか結婚前を思い出す。こういうのもたまには良いね。

おやすみなさい。

【二日目】

用意してもらった朝ごはんを食べて、出発。

ありがとうクリスティーン、お世話になりました!

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昨日は通らなかった道を通って市街地へ向かう。川沿いの林道はジョギングや犬の散歩をする地元の人たちでいっぱいだった。和むなぁ。

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そのまま絶景ポイントらしい場所に歩いて行ってみる。ブルージュは小さな街だから、基本全部徒歩で完結できるのが素晴らしい。

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(*日本人?団体客が来て、よく分からない気まずさで逃げる。)

そのまま歩いてマーケット広場、と呼ばれる名所に行ってみた。クリスティーンから「ちょうど今日マーケット広場で週に一回の市場(マーケット)が開かれるのよ!行ってみたら?」と言われていたのだ。どうでも良いけどマーケット広場でマーケットってややこしい(笑)

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(*ブルッヘの鐘楼。ブルッヘというのは、"g"を発音しないオランダ語読みのBrugge ブルージュ。またまたややこしい)

市場はとっても賑わっていて、八百屋に肉屋にチーズ屋に花屋になんでもあった。

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ほんとは柿10個買って帰りたかったけど旅行先なので自粛。

賑わってる市場ってやっぱり楽しい〜

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その後はバスに乗って、隠れ名所の「hof de jonge 」へ。

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ニッチな旅行客が書いた「Secret Spots in Brugge」というブログを読んでいた私はとにかくここに来てみたかった。予想通り、人っ子ひとりいない。

ここは一言で言えば「果樹園とそれを守る(?)羊たち」が見れる場所だ。

ていうかそれだけだ。

そんな「羊の園」に着いて早々、可愛い子が寄ってきた。

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(*いた!!あれ、でも...)

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(*ヤギやん!笑)

そう、ずいぶん可愛い子だが、ヤギだった。

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(*「え...嘘、何もくれないん?」)

早々に飽きられて背中を向けられたが、遠くの方をみたら羊たちがいた。やっぱりヤギに比べて、臆病だし大人しい動物なんだろう。

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(*おしりがキュート)

満足してまた市街地に戻る。バスに乗る前に、ようやく晴れてきた。

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バスの中ではイケメンから微笑まれる。キュン。

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市街地に戻って、時間まで教会に入ってみたりする。ヨーロッパはどこ行っても教会だらけだ。クリスチャンでもないのに、落ち着けるのはなぜだろう。

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そんなこんなで、最後にランチで(なぜか)タイ料理を食べてブルージュを後にした。ありがとう、楽しかったよ。さようなら!

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帰りのFlixBusは一時間以上到着が遅れたけれど、体調は良かったので問題なかった。格安バスは安いけどその分時間通りにならないのが常識みたいなので、使う人は注意しよう。これで飛行機逃したりしたら笑っちゃうからね!

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というわけでやたら長い旅行記、読んでくれてありがとうございました(笑)

ヨーロッパ国内をとにかく安く旅したいorブルージュに遊びに行く予定がある人に少しでも役立てば。

おわり

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【おまけ】

*Airbnbワンポイントアドバイス

ちなみに今回泊まった宿は一泊4500円ほどで、それに清掃代1900円&サービス代900円が追加されて結果7400円ほどでした。エアビーに泊まる上でこの「清掃代」と「サービス代」が中々の曲者で、しっかり確認しないと ”あれ!宿代安いけど結局高くなっちゃったぞ!?"ということも。この清掃代うんぬんが泊まった日数で加算されるのか一回の滞在で固定なのかも宿によってマチマチなのでそれも踏まえて決めると◎。2人以上でかつ数泊する場合にエアビーの良さを引き出せることが多い!























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