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スラム街ってどんなところですか?

私は仕事柄、社会活動でよくスラム街に足を運ぶため、「スラム街ってどんなところですか?」と質問をいただくことがある。

なので、今回はスラム街について少し紹介してみたいと思う。

スラム街とはそもそも何なのか。

スラム街とは、貧困層の人たちが集団となって住んでいる区域のことである。

私が活動する、インドのデリー近郊のスラム街は、彼らの親類あるいは本人が農村部の出身で、農村に雇用の機会がなく、経済的に厳しい状況であることが原因で、出稼ぎ労働者として都市に移住してきた人たちが住む場所だ。

スラムによって規模は異なるが、私が過去に訪問してきたデリー近郊のスラムだと、100~300世帯くらいの人たちが暮らす規模のスラムが多い。

彼らは出稼ぎをしようと都市に出てきたものの、その多くの人が教育を受けてきておらず、読み書き・計算もままならないため、低賃金・重労働な日雇い労働に従事せざるを得ない。



最近、日本から研修やスタディツアーでインドに来る学生たちに、何度かスラム街の案内をさせてもらう機会があった。

以前、私はスラム街の女性たちにパソコンのスキルトレーニングを行っていたが、その際に活動地にしていた、デリーの中心部から離れた場所に位置するスラムを案内した。

そのスラムはいわゆる絶対的貧困(=1日あたりの生活費が1.90ドル未満)の状態にある人たちが住む。

世帯月収は、約9,000円~18,000円程度で、子供は3人前後の家庭が多い。
そのスラムは都市中心部から離れており、仕事の機会がとても少ない。

彼らの仕事の選択肢としては、日雇い建設労働者、お掃除のメイドなど。その中でも最も多いのは、ラグピッカー(ゴミを拾い集めて換金することで生計を立てる仕事)だ。

スラム街の様子。ゴミ山のすぐ隣で暮らしている。

ゴミ拾いをしている両親の子供たちの中には、学校に行かずにゴミ拾いを手伝う子もいる。

また、このスラム街は、ごみの山と隣り合わせの生活で衛生環境が非常に悪いため、皮膚病を患っている子をよく見かける。

貧しくてご飯を十分に食べられないので、明らかに栄養失調の子供たちもいる。

子供たちと話していると、こんな大変さがあるということだった。

水と電気の供給が安定せず、日常生活がままならない。また、電気がなく、夜に部屋が暗いので勉強ができず、夜は街灯の下に勉強しに行っているそうだ。

スラム街の生活はもちろん大変で、私たちに想像できないことが沢山あるのだと思う。

一方で、彼らからハッとさせられたことがあった。


スラムである中学生くらいの男の子に会った。彼は両親がゴミ拾いをする傍らで、ゴミを拾い集め、なんとBluetooth接続できるスピーカーや、VRゴーグルを自作していた。

さらに、一つ一つ作品を日本の学生たちに見せた後、なんと大事にしていたであろうはずのその作品を学生たちにプレゼントしていた。

インドには、「ジュガール」という考え方がある。
ジュガールとは、「革新的な問題解決の方法」「独創性と機転から生まれる即席の解決法」という意味で、インドに根付く精神だ。

富豪のインド人の思考法として紹介されることが多いが、私はスラム街でもジュガールの実践を垣間見ることができた。


また、そのスラムの子供たち向けにフリースクールを運営するNGOの子供たちと日本の学生たちの交流会も行ったのだが、

インド人の子供たちに「みんなの将来の夢は?」と聞くと、
「科学者!」「医者!」「先生!」と我先にと皆夢を答えていった。しかし一方で、日本の学生たちは何も答えれず言葉に詰まってしまっていた。

さらに、インドの子供たちは、自己表現も豊かで、自信たっぷりに歌やダンスを披露してくれた。

交流会の途中、隅で誰とも話さず見ているインド人の中学生くらいの女の子がいたので話しかけると、
「もっと英語が話せたら日本からきた友達に沢山質問できたのに」と悔しがっていた。





スラム街では、貧しく、厳しい状況に置かれた人たちが生活を送っており、私たちには到底想像もできないような苦労があるだろう。

でも、何もないからこそ生み出される才能もあれば、外部の人からの刺激を受けて向上心を燃やすこともある。

「何か自分にできることを考えたい」「貧困問題を深く知りたい」など意志のある方は、ぜひ一度自分の目で見てみてほしい。

ただ、インドのスラムに行こうと思っても、なかなか訪れる機会はないだろう。
実は以前超有名YoutuberのKohさんがグルガオンのスラム街に遊びにきてくれ、Youtube動画を作成してくれた。
普段なかなか触れることのない、スラムのみんなの生活を垣間見れるので、ぜひ見てみてほしい↓



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